2019 年 1 月 13 日 のアーカイブ

佐藤日登美 19年1月13日放送

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il_baro
酒の肴 ロングバーのピーナッツ

シンガポールの老舗高級ホテル、ラッフルズ・ホテル。
このホテルのロングバーには二つの名物がある。

一つは、ロングバーで生まれたカクテル、シンガポールスリング。
マラッカ海峡に沈む美しい夕日を思わせるジンベースの一杯だ。

もう一つは、シンガポールスリングと合わせてつまむピーナッツ。
麻袋いっぱいに入ったピーナッツがすべての席に置かれ、
お客は無料で食べることができる。
ここでの流儀は、ピーナッツの殻をそのまま床に捨ててしまうこと。

ポイ捨て厳禁のシンガポールのなかで、
ここだけはゴミを放ることが許される。

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佐藤日登美 19年1月13日放送

190113-02
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酒の肴 からすみのルーツ

日本三大珍味の一つ、からすみ。
そのルーツは紀元前の古代ギリシャやエジプトに遡る。
冷蔵保存ができなかった当時、
初夏にとれた魚の卵を保存させるために生み出された。
やがてアラブ人によって地中海沿岸へと伝えられ、
中国を経て日本にまで渡ってきた。

塩辛くねっとりした味わいが飲兵衛にはたまらない酒の肴。
薄く切ったり、大根と合わせたり、軽く炙ったり。

遥か昔の人々のおかげで、
日本人はからすみとの「ちょっと一杯」が楽しめる。

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蛭田瑞穂 19年1月13日放送

190113-03
HAMACHI!
酒の肴 乙な味

「乙な味」という表現は、日本の伝統的な和楽に由来するといわれる。

和楽では高い音域の音を「甲」と書いて「かん」と呼び、
低い音域の音を「乙」と呼んだ。

一段低くしんみりとした乙の音。
そこから趣のある状態を「乙な」と表現するようになったという。

乙な味と聞いて思い浮かべるのは、カラスミやくさやなどの酒の肴。
珍味ともいわれ、好みが分かれるが、
酒飲みにとってはたまらなく「乙」なのだろう。

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蛭田瑞穂 19年1月13日放送

190113-04
The Travelling Bum
酒の肴 タパス

酒をメインにさまざまな種類の小料理を提供する日本の居酒屋。
居酒屋のような業態の飲食店は世界的に見ても珍しいと言われる。

唯一の例外ともいえるのがスペインのBAR(バル)。
バルではワインを片手に、タパスと呼ばれる小皿料理をつまむ。

アンチョビのオリーブオイル漬け、イベリコ豚の生ハム、
エビのフリッター、チョリソのワイン煮込み、スパニッシュオムレツ。

洋の東西を問わず、酒のうまさを知る人は料理のうまさも知っている。

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星合摩美 19年1月13日放送

190113-05
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酒の肴 酒盗

魚の内臓を使った塩辛「酒盗」
酒を盗むと書くその名の由来は、江戸末期まで遡る。

第12代土佐藩主の山内豊資(ヤマウチトヨスケ)が、
「盗んで飲みたくなるほど酒が進む」と絶賛したことから名付けられたという。
栄養価も高く、豊富に含まれるオルニチンには
肝臓の機能を高める効果があるともいわれる。

美味しさのみならず、体にも嬉しい酒盗。
とはいえ、飲み過ぎにはくれぐれも気をつけたい。

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星合摩美 19年1月13日放送

190113-06
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酒の肴 ぬき

蕎麦屋で酒を楽しむ江戸っ子の、粋な肴といえば「ぬき」。

蕎麦を抜いたものを意味する略語で、
中でも人気は、天ぷら蕎麦から蕎麦を抜いた「天ぬき」だ。
かつお節が香る熱々のつゆと天ぷらを肴に、酒を楽しむ。

「天ぬき」が生まれた背景には、
酒を飲んでいる間に蕎麦が伸びるのを避けるため、という説もあるが、
腹が膨らむつまみはよろしくないという、酒飲みの美学もあるのだとか。

ところで、蕎麦屋で蕎麦のない「ぬき」を頼むのは失礼に当たることから、
注文が許されるのは10年通った常連だけ、という話もあるようです。

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森由里佳 19年1月13日放送

190113-07
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酒の肴 サカナのはじまり

酒の肴。
この場合のサカナの語源は、「お惣菜」の「菜」。
つまり、おかずのことを示したものだ。
では、泳ぐ魚はどうか?

実は、そちらのサカナの本来の読み方は「うを」「いを」である。
諸説あるが、
江戸時代に酒のアテとして魚類が楽しまれることが増えたのがきっかけで、
じょじょに「うお」が「サカナ」に変化したらしい。

カラスミ、塩辛、刺身、佃煮、しらこ、エイヒレ、スルメ…
島国だからだろうか。
確かに、旨い肴には、魚が多い気がしてくる。

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森由里佳 19年1月13日放送

190113-08
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酒の肴 竹鶴政孝のお気に入り

ニッカウヰスキーの創業者、竹鶴政孝。
スコットランドで修行をつんだ竹鶴が、
好んで飲んだウヰスキーは何でしょう?

それは当時1本500円という安さで人気を博した「ハイニッカ」。
では、竹鶴が好んだ酒の肴は?

それは、くちどけ滑らかなチョコレートでもなければ、新鮮な牡蠣でもない。
極薄焼きの小さな四角い煎餅だという。

醤油の香ばしい香りと程よい塩味が、
パリパリと小気味よい音と共に、ウヰスキーの香りを引きたてたに違いない。
ウヰスキーと煎餅のマリアージュ。
竹鶴の、この意外なエピソードは、
いつかあなたの酒の肴になるかもしれません。

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