澁江組・田中真輝

田中真輝 19年1月20日放送

190120-05 Paul Mannix
改元リスク

今年は新たな元号が始まる年。

改元にあたって、2000年問題が頭をよぎった人々が
エンジニアを中心に少なくないようだ。

当時、稼働していたコンピューターシステムの多くが
西暦の下二桁のみしか記録されていなかったため
2000年になった瞬間に誤作動を起こす可能性がある、
ということで多くのエンジニアが対応に追われた
この問題。
蓋を開けてみると大きなトラブルもなく終わり、
今回の改元についても、大手企業からは対応可能との
発表もなされているようだ。

とは言うものの、今回もシステムの不測の事態に
対応すべく多くの人々が稼働することは間違いない。
新たな時代を無事迎えられる背景には
そうした無数の尽力があることも忘れてはならない。


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田中真輝 19年1月20日放送

190120-06
幻の元号

今年は新たな元号が始まる年。

長い元号の歴史の中で、幻の元号なるものが
あるのをご存じだろうか。
その元号とは「光文」。

西暦1926年12月25日午前1時25分、大正天皇崩御。
各社が天皇崩御を報じる朝刊を発行する一方、
東京日日新聞号外には「元号は光文」の文字が。

あまりの情報の早さに人々が仰天する中、
正式発表された元号は、なんと「昭和」。
世紀の大スクープは、一点、世紀の大誤報となる。

果たして誤った情報だったのか、それとも情報漏洩を
知った政府が急遽元号を変更したのか、その辺りの
事実は定かではない。

時代が下り、東京日日新聞は毎日新聞と名を変える。
その毎日新聞が、昭和からの改元の際、小渕長官の
発表の30分以上も前に「新元号は平成」と報じたのは
時代を超えてその雪辱を果たさんとした
記者魂だったのかもしれない。


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田中真輝 19年1月20日放送

190120-07
予想合戦

今年は新たな元号が始まる年。

ネット上では早くも新元号の予想合戦が過熱している。
明治、大正、昭和、平成の表記として頭文字の
アルファベットM、T、S、Hが広く使われているため、
それ以外の文字が頭にくる元号になるだろう、
という予想が大勢を占める中、安心の「安」に「久しい」
と書く「安久」ではないか、との声が下馬評では
優勢であるらしい。

「生前退位」によって、元号予想のタブー感が薄れたことも
予想合戦に拍車をかけているようだが、
いずれの候補にもにじみ出ているのは、
先の読みにくい未来が、できるだけ穏やかであって
欲しいという人々の切なる願いである。


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田中真輝 19年1月20日放送

190120-08 il_baro
あなたの平成

今年は新たな元号が始まる年。

その節目に振り返ってみる。
「平成」とはどんな時代だったのか。

冷戦終結、ソ連の崩壊。
バブル景気とその崩壊。
地下鉄サリン事件、アメリカ同時多発テロ、
リーマンショック。阪神淡路大震災、東日本大震災。
インターネット、スマートフォンの爆発的普及。

悲しみに彩られたニュースも多いが、
それは喜びに満ちたニュースが、小さな声で語られる
からかもしれない。
今一度、あなたの平成に、耳を澄ませてみては
いかがだろうか。


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田中真輝 18年11月11日放送

181111-01 Photo by Josh Wilburne
漆黒の誘惑

秋と言えば食欲の秋。

食欲をそそる香り、と聞いてあなたが
思い浮かべるのは、どんな香りだろう。

焼き鳥屋や、焼きトウモロコシの屋台から
流れてくる、香ばしい匂い。
あの焦げたしょうゆの香りを思い浮かべた人も
多いのではないだろうか。

実はしょうゆの香りは非常に複雑。
ウイスキーやコーヒー、バナナやリンゴ、
バラなどの香り成分がなんと300種類も
含まれているらしい。

複雑で豊かな香りが立ち上る漆黒のスパイス。
今日も、その香りの誘惑に負けた人々が、
嬉しそうにのれんをくぐっていく。


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田中真輝 18年11月11日放送

181111-04
食欲色の季節

秋と言えば食欲の秋。

食欲と色との間に密接な関係があることを
ご存じだろうか。

赤や黄、橙などの暖色は人間の食欲を
促進する「食欲色」と呼ばれている。
また、赤の補色である緑も、差し色として
使うことで、強すぎる赤を抑えつつ、
お互いを引き立てることができる。

また、白や黒も日本人にとっては食欲を
そそる色。そう、それは白米と海苔の色。
一方、外国の人にとって、黒は食欲を損なう色。
カリフォルニアロールが海苔を内側に
巻き込んでいるのは、それが理由なのだ。

秋といえば紅葉。まさに食欲色に色づく季節。
食欲の秋と言われる理由はそのあたりにも
あるのかもしれない。


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田中真輝 18年11月11日放送

181111-06 erin & camera
カワイイ臓器

秋と言えば食欲の秋。

お腹いっぱい食べて満腹のはずなのに、デザートを
見ると食べたくなる。いわゆる「別腹」。
もちろん、胃袋が二つあるわけもなく、
この別腹、いったいどこにあるのか。
実は人間の食欲は、脳からの命令によって
コントロールされている。

大好きな食べ物を見ると、脳の視床下部から、
「オレキシン」というホルモンが分泌され、
このホルモンが、胃袋の蠕動運動を刺激すると…
あら不思議。さっきまで一杯だった胃袋に
新たなスペースが生まれる、という仕組み。

英語ではdessert stomachとも言う別腹だが、
つまり、デザートに限らず、肉でも魚でも
大好物が出てくれば、別腹は生まれるということ。

食べたい気持ちに反応して頑張ってくれるなんて、
胃袋って、なんだかカワイイ臓器だな、と思えてくる。


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田中真輝 18年11月11日放送

181111-07 銀猫 夏生
おいしい一瞬

秋と言えば食欲の秋。

コマーシャルやテレビ番組などで、食品を美味しそうに
見せる映像を「シズルカット」と呼ぶ。
もっとシズル感を強く、というのは、
もっと美味しそうに、という意味だ。

この「シズル」という言葉、
肉がジュージュー焼けて、肉汁がしたたり落ちている
様子を表す英語が由来だという。
「シズル感」は、食品のコマーシャルではとても重要な要素。
一瞬で美味しそう!と思わせられるかどうかに
制作スタッフは心血を注ぐ。

ふわっと立ち上る湯気、グラスの表面を流れ落ちる水滴、
シズル感溢れる瞬間をとらえるために、何時間も撮影を
続ける。あなたが美味しそう!と感じたその一瞬は、
膨大な撮影素材の中の、一番おいしいひとくちなのだ。


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田中真輝 18年9月16日放送

180916-05 Aaron Huber(Unsplash)
世紀の大発見

今日はメキシコの独立記念日。

かつて、かの地に繁栄した古代マヤ文明。
いまも各地に残る遺跡に、
その卓越した技術力を垣間見ることができる。

2016年に報じられた、15歳の少年が未発見の
マヤ文明の都市を発見した、というニュースを
ご存じだろうか。

少年が使ったのは、なんとネットの衛星写真。
その写真にはジャングルに浮かび上がる
正方形の印影が見て取れる。

すわ新発見か、と大騒ぎになったのだが、
実はこれ、マリファナの畑だった可能性が。

指摘したのはその地に詳しい文化人類学者。
その地に行ったこともある彼によると、
大切なことは実際にその場所に行って、
自分の目で見てみることだととか。

世紀の大発見は一日にしてならず、である。


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田中真輝 18年9月16日放送

180916-06 jorgeparedes
リングの上の正義

今日はメキシコの独立記念日。

メキシコを代表する文化のひとつが、
ルチャ・リブレ。
一言で言えば、メキシカンスタイルの
プロレスリングだ。

スペイン語で「自由の戦い」を意味する
この格闘技を、メキシコ人はこよなく愛している。

派手なマスクを被ったレスラーたちが、
リング上で華麗な技を披露し人々を魅了する。

支配層に対する民衆の反抗心をそこに見て取る
向きもあるが、その姿を目の当たりにすれば
そんな政治的な話はどうでも良くなる。

悪者が倒れ、ヒーローが勝利の雄叫びを上げる。
どれだけ世界が複雑になろうとも、このリングの
上だけには、まごうことなき正義があるのだ。


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