小野麻利江 19年8月11日放送


太陽のはなし 太陽が光を奪われた年

「人類史上最悪の年」。
中世を専門とする歴史家によると、それは「西暦536年」。
「太陽が光を奪われた年」だという。

その年の初め、アイスランドで噴火が起き、
火山灰が、北半球中に撒き散らされた。
その火山灰が微小な固体の粒子・エアロゾルの幕となって、
太陽の光を遮ってしまった。

ヨーロッパ、中東、アジアの一部で霧が垂れ込め、
なんと18ヶ月にも渡って、昼夜を問わず暗闇が続いたという。

夏の気温は3度近く下がり、
中国では夏に雪が降り、
東ローマ帝国の3人に1人の命を奪う
「腺ペスト」の蔓延のきっかけとなった。

東ローマ帝国の歴史家・プロコピウスは、こう記している。

1年中、まるで月のように太陽の光から輝きが失われた

人間の営みに、太陽は欠かせない。
この先、さらに、科学が進歩しても。


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石橋涼子 19年8月11日放送


太陽のはなし 太陽は何色か

太陽の絵を描いてください。
と言われたら、何色を使うだろうか。
日本では赤が多いかもしれないが、
海外では黄色やオレンジが主流だ。
朝日や夕陽、シーンによっても違うかもしれない。

宇宙空間で観察すると、太陽は白だと言う。
いくつもの光が混ざり合っており、
全ての光を重ねあわせると白色になるのだ。

それでも私たちが異なる色だと認識するのは、
地球にある空気のせいだったり、
人間の目が感じる色のちがいだったり、
あるいは、単なる思い込みだったりする。

空は青く、雲は白く、太陽は赤い、
というイメージを
一度リセットしてみるのも楽しいかもしれない。


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石橋涼子 19年8月11日放送


太陽のはなし ゲーテと太陽

ドイツの文豪ゲーテは、多くの名言を残したが、
総じて、人の持つ感覚の前向きな部分を
肯定する言葉が多いことでも有名だ。
そんな彼の言葉。

 太陽が素晴らしいのは、すべての塵を輝かせることだ。

午後の昼寝から目覚めると
カーテンの隙間から差し込む太陽の光が
塵をキラキラと照らしている。
そんな風景に覚えはないだろうか。

空気中には塵や埃が意外と多いと驚くこともできるが、
見方を変えれば、
塵のように取るに足らないものだって
光の当て方ひとつで輝いて見える、と思うこともできる。

ここはひとつ、ゲーテの言葉を信じて
明るい方を向いていきませんか。


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薄景子 19年8月11日放送


太陽のはなし 太陽という万能薬

イタリアのことわざに、こんな言葉がある。

 陽が差し込まぬところに医者がくる。

逆を言えば、陽が差すところに医者はこない。
そう。太陽には、人間を健やかに保つ、
計り知れない力がある。

朝の光を浴びれば、体内時計がリセットされ、
眠気は覚め、夜の眠りの質も高められる。

また、太陽光を浴びることで、「幸せホルモン」といわれる
セロトニンの分泌が促され、鬱々とした気分も晴れる。

さらに、日光浴はビタミンDの体内生産を促し、
脳機能の維持、情緒の安定、骨粗しょう症の予防など
さまざまな効果をもたらすという。

太陽はすべての命を輝かせる万能薬。
美白ブームで忘れられがちな
その恩恵に、あらためて感謝したい。


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熊埜御堂由香 19年8月11日放送


太陽のはなし 太陽常温説

真夏の日本を焦がす太陽。
その表面温度は6000度もの高温と言われている。
でも、それを確かめに行った人間はいない。
実は、太陽の表面温度は26度程度とする
「太陽常温説」を唱えている学者もいるのだ。

太陽により近い上空が、地上よりも低温なのはなぜか?
18世紀に、天王星を発見した天文学者、
ウィリアム・ハーシェルが疑問に感じ、最初に唱えた。

正直、こんなに暑いのに、
それが太陽の放つ熱の仕業でないとは思えないけれど。
太陽みたいな絶対的な存在さえ疑ってみる。
その知的好奇心があれば、事の真偽を確かめるため
人類が、太陽へたどり着く日もくるかもしれない。


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若杉茜 19年8月11日放送


太陽のはなし たんぽぽのお酒

レイ・ブラッドベリの名作、『たんぽぽのお酒』。

少年ダグラスの目を通してみた、1928年のひと夏が描かれた小説だ。
彼の見たみずみずしい夏は、太陽が昇るシーンから始まる。

夏の始まり、丘の上から「みんなおきて」と街の人々に呼びかけるダグラス。
さながら、指揮者のように。
最後にダグラスがパチン、と指を鳴らすと
太陽がゆっくりと昇ってくるのだ。

たんぽぽのお酒は、小説の中で夏の間毎日作られる。
そして、1日1日のラベルを付けて、夏の終わりには棚にずらりと並ぶ。
1928年の太陽が注がれたお酒は、いったいどんな眩しい味がするのだろう。


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佐藤理人 19年8月10日放送


発明の真相  電話

電話は1876年、イギリスの発明家、
アレキサンダー・グラハム・ベルによって発明された。

彼はもともと耳の遠い人たちに、
振動で言葉を伝える機械を作ろうとしていた。

ある日、機械の実験に取り掛かろうとしたとき、
うっかり劇薬を服にこぼしてしまった。

彼は慌てて受話器を取り上げると、
家の地下室で待機していた助手に向かって、

 早く来てくれ!

と叫んだ。

以来、電話は世界中で、
離れた場所にいる人同士の声を届け続けている。


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佐藤理人 19年8月10日放送


発明の真相  点字

点字は、10歳の少年によって生まれた。

1819年、ルイ・ブライユという盲目の少年が、
パリの王立盲学校に入学した。

彼はそこで「ソノグラフィ」という文字に出会った。

兵士が夜でも命令を読めるよう、
アルファベットを12個の点で表した暗号だったが、
複雑すぎるという欠点があった。

ブライユはそれを6個の点で表すことに成功。
以来、ブライユ式点字システムは世界中で、
目の不自由な人たちに字を読む喜びを届け続けている。


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佐藤理人 19年8月10日放送

Mr.TinDC
発明の真相  ジャイロコンパス

1905年のある日。アメリカ人、
エルマー・アンブローズ・スペリーの息子が尋ねた。

 なぜコマは立っていられるの?

彼はコマの軸が常に一定の方向を向く原理に注目、
北を指し続けるジャイロコンパスを発明した。

この技術は1910年にアメリカ海軍で実用化されたのち、
自動操縦装置や方向検知器などに発展した。

なぜ飛行機は夜でもまっすぐ飛べるのか。
なぜ船は嵐でもあまり揺れないのか。

彼の発明は、今日も地球という巨大なコマの上で、
安全で快適な旅を届け続けている。


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佐藤理人 19年8月10日放送


発明の真相  圧力鍋

圧力鍋は蒸気エンジンから生まれた。

フランスの物理学者ドニ・パパン。
1679年、彼は蒸気機関の研究中に、
水の沸騰温度が圧力に比例することを発見。

気圧を高めることで、

 骨まで柔らかくする鍋

を発明した。彼はこの鍋を

 ダイジェスター

と名付けた。

蒸気の威力を知っていた彼は、
爆発を防ぐ世界初の安全弁まで開発したが、
鍋はまったく売れなかった。

圧力鍋が普及したのは260年後。
第二次世界大戦中の主婦たちが、
熱心に倹約を心がけたときのこと。

以来、圧力鍋は世界中の食卓に、
美味しい笑顔を届け続けている。


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