蛭田瑞穂 19年5月12日放送

星船
風 春の風

春はいつ終わり、夏はいつ始まるのだろう。

気象庁の「季節を表わす用語」では、
春は「3月から5月までの期間」、
夏は「6月から8月までの期間」となっている。

それに従えば、春はあと3週間ばかり。

風薫る5月。
その風は春に別れを告げる風でもある。


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森由里佳 19年5月12日放送


風 風の神さま

風の神様、ときいて、
金屏風に描かれた風神雷神図を思い出す人もいるでしょう。

青い鬼のような見た目をした風神が、
白い布を頭上にたなびかせ、
対となる雷神と共ににらみを利かせる有名な絵。

この白い布は、風を蓄えた袋だと言われますが、
実はこの風神のスタイルは、日本固有の物ではありません。

風の袋を持つ神をうつした美術品は、
なんと、およそ1900年前のアフガニスタンの地でも発見されています。

大陸を超えて吹く風のように、
文化もまた、自在に世界をめぐるのですね。


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森由里佳 19年5月12日放送

Tim Ertl
風 祈りの音へ

アドリア海に面した国、クロアチアの海沿いに、
不思議な和音が響き渡る場所がある。

名はザダル。
1991年から約5年の間つづいた内紛で
戦渦に巻き込まれた街のひとつだ。

その海岸の一部に、
楽器のような仕掛けをつくったのは、
クロアチア出身の建築家、ニコラ・バシッチ。
故郷の平和を祈ってつくられたこの仕掛け。
和音の奏者はなんと、波がつくりだす海風だ。

きっと今この瞬間も、
平和を願う、祈りの和音になったアドリアの海風は、
ザダルの街を吹いている。


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星合摩美 19年5月12日放送

bichxa
風 春の風

自然豊かな日本には、100を超える風の呼び名がある。
その種類は、風の吹く時期、強さ、方角などによって様々だ。

例えば、今の季節の風は、
みどりの風と書いて「緑風(りょくふう)」、
若葉を揺らす様子から「若葉風(わかばかぜ)」などいかにも清々しい。

少し変わった呼び名の風もある。
我が家の方から吹いてくる風を「家風(いえかぜ)」、
艶めかしく感じる風は「色風(いろかぜ)」
今夜、あなたの街にはどんな風が吹いているだろう。


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星合摩美 19年5月12日放送

Evan-Wilson-Photography
風 セントアンドリューズ

スコットランドにある
ゴルフ発祥の地「セントアンドリューズ」
この町には世界一難しいと言われるショートコースが存在する。

障害物はバンカーと川のみというシンプルな構造だが、
プレイヤーを翻弄するのは、
向きと強さを頻繁に変える風の存在だ。
マスターズ・トーナメントの創始者も、
生涯で一度だけ棄権をした場所だという。

時に気まぐれな風との戦いになる
セントアンドリューズ・オールドコースは
「神の造ったコース」と呼ばれている。


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永久眞規 19年5月11日放送

afagen
温泉の話・セーチェーニ温泉

日本から遠く離れた国ハンガリーは、
ヨーロッパ有数の温泉大国だ。

その歴史は2000年以上、
ローマ帝国時代からと非常に長い。

中でも、ヨーロッパ最大とされる
セーチェーニ温泉には、
日本にはない楽しみ方がある。

それは、風呂チェス。
じつは、ハンガリーはチェスの多面打ち世界記録保持者や
歴史上最強の女性チェス選手がいるなど、
チェス大国でもあるのだ。

水着を着てぬるめの温泉に浸かりながら、
1日中おじさんたちがチェスを嗜む。

しかもそのチェス盤は、
備え付きではなく全て彼らの持参。
好きな場所で好きなことをする、
なんという贅沢だろうか。


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福宿桃香 19年5月11日放送

Opqr
温泉の話・小浜温泉

2020を前に
いま、日本の温泉がアツイ。
では、日本一アツイ温泉はどこだろうか?

答えは長崎の小浜温泉。
ここの源泉の温度はなんと105℃。
そう、日本で最も放熱量が多い温泉なのだ。
橘湾に面した小浜温泉のお湯はナトリウムがたっぷりで、
保温効果をさらに促進してくれる。

この熱すぎるお湯、実は、舌でもたのしむことができる。
備え付けのカゴに卵やとうもろこしなど好きな食材を入れ、
蒸し釜にセット。
あとは温泉に入りながら待つだけで、
おいしい天然蒸し料理のできあがりだ。

身も心もとびきりあったまる名湯。
人気はまだまだ続きそうだ。

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村山覚 19年5月11日放送


温泉の話・福島の微温湯

お風呂の温度、あなたは何度くらいがお好みだろうか。
ぬるめのお湯にゆったり浸かるのが好きな方に
おすすめしたい秘湯が福島県にある。
その名もずばり「微温湯温泉」。

源泉の温度は約32℃。ある定義によると
25℃以上であれば「温泉」とされるそうだが、
だいぶぬるめ。ゆっくり長湯できるので
居合わせた人との会話も弾む。

趣のある茅葺きの建物の周囲には
高山植物が咲き誇り、秋には紅葉も楽しめる。
冬は、雪で道路が通行止めになることもありお休み。

長い冬を越え、ちょうど今の時期に再開する微温湯温泉。
何百年前からずっと変わらないぬるさと景色の良さで、
旅人の心を温めている。

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仲澤南 19年5月11日放送

Nickmard-Khoey-Historical-Archive
温泉の話・パムッカレ・テルマル

トルコ西部にある温泉、
「パムッカレ・テルマル」。
その底にはなんと、
古代ローマ時代の遺跡が沈んでいる。

深いところで水深7mにも及ぶが、
透明度が高く水底の遺跡ははっきりと見える。
水着を着れば、入浴も可能だ。
踏まずには入れないほど、
大理石の柱がごろごろと転がっている。

底に沈むその遺跡は、
紀元前2世紀頃に建てられた都市、
ヒエラポリスの一部。
ローマ帝国の温泉保養地として栄えたヒエラポリスだったが、
度重なる地震によって廃墟となってしまった。
そのうち、かつて水の神様を祀る神殿だった場所に
温泉が溜まってできたのが、パムッカレ・テルマルだ。

ちなみにお湯の温度は少しぬるめで、
ゆっくりと浸かれる。
沈む遺跡に腰掛けながら、
悠久の歴史に思いを馳せるにはぴったりだ。

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藤本宗将 19年5月11日放送

Ippukucho
温泉の話・川原毛大湯滝

秋田県湯沢市にある「川原毛地獄(かわらげじごく)」
かつては硫黄の採掘場があったところで、
岩肌の至る所から水蒸気や火山性ガスが噴き出している。
古くからの霊場でもあり、
草木も生えず荒涼としたその光景は
まさに地獄さながらだ。

そこから湧いた温泉は沢の水と合流し、
落差20mほどの滝となる。
その名も川原毛大湯滝(かわらげおおゆたき)。
巨大な滝そのものが温泉になっているというわけだ。

ちなみに入浴できるのは滝壺とその周辺だけ。
川原毛地獄に湧き出ている温泉は
高温で危険なためご注意を。
かつて湯沢市のホームページには
こんなおそろしい警告文があったそうだ。

「誤って足を入れたりすると、
生きながらにして地獄を体験することになります。」

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