![110731-01mondrian](http://www.01-radio.com/vision/wp-content/uploads/2011/07/110731-01mondrian.jpg)
見る モンドリアン
世界は、最低いくつの色で
あらわせるだろうか。
オランダの抽象画の巨匠、
ピエト・モンドリアンは、
赤・青・黄のみで世界を見ることができた。
三原色と
垂直線と水平線を用いた
徹底的にストイックなスタイル。
あたりまえのように
はめられていた額縁からも、
絵を取り出し、解放した。
見えるこの世界に、
額縁など存在しないのだから。
![110731-02degas](http://www.01-radio.com/vision/wp-content/uploads/2011/07/110731-02degas.jpg)
見る ドガ
フランスの印象派の天才、
エドガー・ドガ
特にバレエの踊り子を
好んで描き、
なかでも『エトワール』は傑作とされる。
大胆な構図。
瞬間的な肉体の躍動感。
衣装の絶妙な表情。
奥にはパトロンの姿も描かれ、
シビアな現実も容赦なく表現している。
その絵は、
物の形の見方があり、
社会の形の見方がある、一枚の芸術。
![110731-03andy](http://www.01-radio.com/vision/wp-content/uploads/2011/07/110731-03andy.jpg)
見る アンディ・ウォーホル
ポップアートの鬼才、
アンディ・ウォーホルは、
機械になりたい。
と言った。
アトリエをファクトリーと呼び、
工場の流れ作業のように、
アート作品を大量に生産した。
難解な芸術ではなく、
選んだモチーフも、日常的なもの。
キャンベルスープの缶詰、
コカ・コーラ、
ドル紙幣、
有名人など、
ありふれたものたちが、逆に衝撃的だった。
これはいったい…何なのか。
とまどい、深読みしようとするインタビュアーに、
ウォーホルはこたえた。
表面だけを見てればいい。
それが僕だ。
裏には何もかくされていない。
つまり、
スープは、スープ。
![110731-04mane](http://www.01-radio.com/vision/wp-content/uploads/2011/07/110731-04mane.jpg)
見る マネ
フランス印象派の大スター、
エドゥアール・マネは語った。
不必要なものはすべて、
私に吐き気をおこさせる。
しかし、必要な存在だけを
見るのはむずかしい。
真実を見つけ出す、たった一つの方法は
他人の意見にまどわされずに
己の意志をつらぬくことだ。
なぜ、マネはその思いに至ったのか。
女性のヌードの描き方が不道徳だと
激しい反感を生んだ作品
『草上の昼食』『オリンピア』によって
社会に辟易した末の達観だったのかもしれない。
現在、その2作はまぎれもなく、
傑作と評価されている。
![110731-05noguchi](http://www.01-radio.com/vision/wp-content/uploads/2011/07/110731-05noguchi.jpg)
見る イサム・ノグチ
ただの石、
自然のままの石が、
すでにできあがった彫刻なのであると、
彫刻家イサム・ノグチは言う。
しかし、と彫刻家はつづける。
肝心なのは見る観点だ。
どんな物をも、一足の古い靴さえも
彫刻となるものは
その見方と置き方なのである。
それはおそらく、
マルセル・デュシャンが
男性用便器を横に置き、
『泉』と名付けたようなことなのだろう。
ふと、目の前のある物が
彫刻になるだろうかと
あれこれ思考をめぐらせてみるのも
おもしろい。
見方と置き方、
ミカタトオキカタ…
なかなかむずかしいけれども。
![110731-06klee](http://www.01-radio.com/vision/wp-content/uploads/2011/07/110731-06klee.jpg)
見る クレー
芸術の本質は
見えるものをそのまま
再現するのではなく
見えるようにすることにある。
スイスの画家、パウル・クレーの言葉である。
音楽一家に生まれ、
クレー自身も才能あふれるバイオリニストであったため、
たびたび色を音にたとえて、
色彩の理論研究をすすめていた。
たしかに、クレーの『魚たちのまじない』からは、
色の和音が幻想的に聴こえてきそう。
見えないものを見えるようにする、だけでなく、
聴こえるようにする。
クレーはそれができた
唯一の芸術家だったのかもしれない。
![110731-07bacom](http://www.01-radio.com/vision/wp-content/uploads/2011/07/110731-07bacom.jpg)
見る フランシス・ベーコン
アイルランド出身の孤高の画家、
フランシス・ベーコン
グロテスクな人物画を多く描いた。
歯をむきだし、絶叫する表情。
激しくゆがめられた肉体。
でも、彼は語る。
ぼくの絵は
いまの世界の恐怖にはかなわないよ。
見て学ぶことだ。
なすべきことは
ただひたすらに見ることだけなのだ。
世界で何が起こっているか。
ぼくはただその恐怖を
再現しようとしたんだ。
きっと彼は、
描かずにはいられなかった。
世界の叫びを
代弁するかのように。
![110731-08savignac](http://www.01-radio.com/vision/wp-content/uploads/2011/07/110731-08savignac.jpg)
見る サヴィニャック
フランスのポスター作家、
レイモン・サヴィニャックが
たいせつにしていたこと。
ポスターは、見られなくてはいけない。
通りを行く人に、ほんの一瞬のうちに、
伝えたいことがわかるかどうか。
そのためにサヴィニャックは
大胆に本質だけを表現した。
薄切りハムのポスターでは、
豚の胴体をそのまま輪切りにしたハムに。
ユーモアたっぷりに一目でわかる。
大絶賛された。
さて。
情報ぎゅう詰めの近ごろ、
気になるポスターはありましたか?