蔦温泉

蔦温泉

       ストーリー 堀内有為子(ほりうちゆいこ)
          出演 内田慈

青森駅から十和田湖へ走るバスを奥入瀬で途中下車して
蔦温泉に立ち寄った。
次のバスは2時間後だが急ぐ旅でもない。

蔦温泉は
十和田樹海とよばれる樹齢数百年のブナ林にひっそりと佇む。

およそ千年前に開かれたという源泉かけ流しのお湯は、
無色透明でやわらかく
からだ中のコリがほぐれて、溶けだしていくように思えた。

湯から上がり、宿の前のベンチで
風にあたりながら心地よさを反芻していると、
手持無沙汰に見えたのか、
宿のご主人が自慢の散歩道を教えてくれた。

それは宿を囲む森を
いくつもの沼をめぐりながら歩く散歩道で
キラキラと木漏れ日が降りそそぎ
まるでモネの絵の中にいるようだった。

奥入瀬に来るたびに新しい散歩道が増える。
来てよかった!と感動をくれる場所は、
案外目指していた場所ではなく、
出かけた先で迷い込んだり、教えられたりした場所が多い。
奥入瀬という、地図の中の小さなスペースが、
いま私の中でグングン大きくなっていく。


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内田慈から「ひと言」

先日配信されました、「ミキサー車、きゃりーぱみゅぱみゅ、ハンバーグ」と
七つの雪」を読ませて頂きました、
わたくし、内田慈とかいて「うちだちか」とよみます。
はじめましてのかたも、そうでないかたも、よろしくお願いいたします。

TCSは、何度めの出演でしょーか、
何度も読ませて頂いております。
ふふ、このブログには、二回めの登場です。

「ミキサー車」のほうに、
きゃりーぱみゅぱみゅさんのお名前が出てきますが、
テレビに彼女が登場するたびに、または話題がでるたびに、
番組の司会さんや、ワイドショーのコメンテーターさんや、
アナウンサーさんや、みなさん名前読めてすごいなーさすがー。
と。
のんきに思っていましたが。

ついにわたしに彼女の名前を読む役目がまわってきてしまいました。

あぁ…。
作者の岩田さんよ…!
くー、、、!

うーむ。
いっしょうけんめいよみました。
それこそ、アナウンサーさんとかではなく普通のママの役なので、
発音があやしいことも、ディレクターの中山さんは、
むしろよしとしてくれました。
わーい。

でも、そーですよね、と、おもいつつ。

それから、お話の最後にあります、息子の誕生日。
今月は、大事な人がことごとく誕生日でした。
誕生日はうれしいですね。
ハンバーグではないですが、わたしもご馳走にあやかりましたし…
へらへら、笑

あと、「七つの雪」。
雪好き。今年はふるかなぁ。来年かなぁ。

あ、だいぶ無理やりな気もしますが(笑)
これ、雪がふる季節まで、やってますのでお願いします。

紫陽花とバタークリーム
映画です。
渋谷と三軒茶屋にある、マメヒコというカフェが、
コーヒーだけでなく映画までつくってしまいました!

田口トモロヲさん主演で、
内田もすてきな役で出演させていただきました。
日曜日だけの上映なのですが、
とーても!いい映画なので、是非いらしてくださいね。
http://www.mamehico.com/mamehicopictures/

それから、12月にリーディング公演をやります。
リーディングというのは過去に二度ほどやったことがありますが、
なかなかどうして、面白い可能性のある分野だなぁと思っておるのです。
ひろーい意味で「読む」ってことしか決まりごとないから!

というわけで、今回も、
一筋縄ではいかない面白いものになるとおもいます。
ひとりの人間がうんうん言いながら頭のなかでぐるぐるしているお話です。

ウォーキング•スタッフプロデュース
リーディング公演
2012年12/4(火)〜12/9(日)
@サイスタジオコモネコモネA
「回転する夜」
作 蓬莱竜太(モダンスイマーズ)
演出 和田憲明
出演 遠藤雄弥
伊達 暁
内田 慈
多根周作(ハイリンド)
原 慎一
逸見宣明
酒向 芳

•チケット取り扱い
WEB予約:http://www.show-go.net/walkingstaff/

•お問い合わせ
ウォーキング•スタッフ[石井光三オフィス内]
03-5428-8736
Twitter:@walkingstaffpro

ぜひぜひっいらしてくださいませ〜

ではでは、内田慈でした!

* 内田慈:http://www.y-motors.net/actor/uchida.html

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津軽・七つの雪

「津軽・七つの雪」篇

         ストーリー 山中貴裕
            出演 内田慈

拝啓 あなたへ

こんなメールやケータイの時代に
ぎょうぎょうしく手紙をしたためて送ることを驚かないでください。
なにか深刻な告白や、初めて明かされる新事実があるわけではなく、
ただ、なんとなく、
津軽の冬が私をそういう気分にさせただけなのです。

津軽に降る「七つの雪」を小説に書いたのは、太宰治です。

こな雪
つぶ雪
わた雪
みず雪
かた雪
ざらめ雪
こおり雪

私がこの町に辿り着いた日は、
こな雪が地吹雪になって吹き荒れていて
息もできないほどでした。
乗っていたストーブ列車がぐらぐら揺れたりして
ちょっと怖かった。

きのうの夜は、ざらめ雪が降りました。
宿のトタン屋根にぱちぱちと何かが爆ぜるような音がして、
おもわず窓をあけて外を見ました。
てのひらで受け止めると、
確かにざらめのような荒い雪の粒が
肌にあたって弾んで、やがて私の体温に溶けてゆきます。
しばらく暗闇に手をさしのべて
雪の冷たさをたのしみました。

毎朝、宿の前を
キシリキシリとこおり雪を踏んで
新聞配達の少年が通ります。
「こどもの頃に新聞配達をしていた」と
あなたが言っていたことを思い出して、
少年時代のあなたを想像したりしています。

津軽の七つの雪をぜんぶ見たら、
私はこの旅を終えてあなたの町へ帰ります。

それまで、
プロポーズの返事は待ってもらえますか?

―――東北へ行こう。

津軽ナビhttp://www.tsugarunavi.jp/

白神山地ビジターセンターhttp://www.shirakami-visitor.jp/

青森案内名人http://www.atca.info/

東北観光博http://www.visitjapan-tohoku.org/


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岩田純平 2012年11月11日

「ミキサー車、きゃりーぱみゅぱみゅ、ハンバーグ」

        ストーリー 岩田純平
           出演 内田慈

うちの一歳半の息子は
きゃりーぱみゅぱみゅが好きで、
ビデオを見ながら
マネして踊ろうとします。
でも動きが息子には複雑すぎて
まったく何もできず、
結局、自分ができる唯一の技である
「いーとーまきまき」の動きでごまかしていて
超かわいいです。

うちの一歳半の息子は
クルマが好きで、
初めての言葉も「ブーブ!」でした。
というか、いまだに「ブーブ!」しか喋れません。

はじめての寝言も「ブーブ!」でした。
あまりにはっきりとした寝言だったので、
起きているのかと思いました。
それくらい「ブーブ!」は自信を持って喋ります。

「ママ」も言いますが、
指しているものは私より、ごはんの時が多いです。
ただ単に「ママ」と「まんま」が混ざっているのか、
「ママ」といえば私が機嫌よくご飯をあげるからなのか、
その真意はわかりません。
息子はまだ「ブーブ!」しか喋れないので。

「じいじ」も言いますが、
これはうんちを指して言うことが多く、
うちの子はいまのところ「じいじ」を
うんちの意味だと理解しているようです。

そんな「ブーブ!」好きの息子ですが、
基本的にクルマがついていれば何でも「ブーブ!」です。
ベビーカーも自転車も、台車もぜんぶ「ブーブ!」。
この前は掃除機を見て「ブーブ!」と言ってました。
身長80センチの目線だと、
掃除機も立派な「ブーブ!」なのだと思いました。

一番好きなのはミキサー車で、
ミキサー車を見るとあまりの興奮に
「ブーブ!」という言葉も忘れてしまい、
「あはははは!」とものすごい勢いで笑います。
もう大爆笑に近い笑い方です。

私の住んでいる東京の東の方は、
朝、けっこうな数のミキサー車が通るので、
息子は保育園に行く道すがら、
4~5回大爆笑します。
周りの人は驚いてこっちを見ます。
そして、大笑いしている息子を見て
ちょっと笑います。

今日はそんな息子の一歳六カ月の記念日です。
昨日夫に
「明日何の日か覚えてるよね」と聞きましたが、
さっぱり答えられず、
ちょっと腹が立ちました。
腹が立ったので答えは教えませんでした。

今日は息子の大好きなハンバーグです。
きっと息子は食べ過ぎることでしょう。
そして明日の朝、
ハンバーグみたいな立派な
「じいじ」をすることと思います。

出演者情報:内田慈 03-5827-0632 吉住モータース

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内田慈から「ひと言」

山口みたいなパン。

先日実家に帰ったとき、
ひさびさに、わたしが小学校くらいのときからずっとある、
目の前のパン屋さんをのぞいてみたのですが。
なんだかやたらとどうぶつ(パンの)種類が充実していたのでした。

いいな、なんか、そこひろげるのってなんなんだろ、なんか….
アレだな…いいな…!


写真の、くま カメ タコの他にも、
同じ値段なのにあきらかに他のパンよりでっかいゾウ 顔が
まのびしまくってなんかびろーんてしてる、
たぶんカエル ひげがやたら忠実に表現されちゃったタヌキ…うさぎ…?とか。

あ。申し遅れました、
3月11日配信の岩田純平さん作「山口は不器用だ。」を読ませていただきました
内田慈(チカ)です。
以前も「灯り」という作品で岩田さんの作品を読ませていただきました。
あっというところをふいにつくような作品を書かれる、大好きな作家さんです。

さて、パンですが、そのパン屋さん、とてもおいしく、
どうぶつたちも基本ないす!なフォルムなのですけれど、
どうしても予想外に膨らむやつがあるらしく、
その、何個かに一個いるぶさいくなどうぶつをみているとふいに、
「もう…ばか!」
っていとおしくなってきて、
さらに見続けているとだんだん、なんでこんなに種類多いんだろう、
「だから…ばか!っ」
って今度はぎゅっとしたくなり、
しまいには、多いにしてもなんでタコとかいるんだろう、
しかもなんでタコ、はちまきとかしてんだろう!!!
「ほんともう…だからっ…ばかっっ!!!」

……と思えてきて、結局いくつも買ってしまっているのでした。

そしてふと、あれ、これって、アレだな、
不器用な山口にわいちゃった気持ちと、きっとにてるいるな、
なーんて思ったのでした。

余談ですが、どうぶつパンはクリームパンです。
ピロシキとかミートパイとかじゃなくて、よかったな、
だってたべにくいじゃん、なんとなく、、、ふ、ふふ。

さて。
配信の日が、震災からちょうど一年の日でした。
確実に何かが変わってしまった世界の中で、そ
れでも心折れずに、
変わってしまったものを自分の意志でまたあらたに変えていこうとするひとたちを
たくさん見た一年でした。
配信翌日の12日に、29さいになりました。
そういうふうに、わたしもなりたいと思います。

不器用ですが、これからもよろしくお願いいたします。

内田慈

山口は不器用だ:http://www.01-radio.com/tcs/archives/21716

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岩田純平 2012年3月11日

山口は不器用だ。

ストーリー 岩田純平
出演 内田慈

山口は不器用だ。
「自分、不器用ですから……」
という自覚もないくらい。

たとえば、
切符を自動改札に入れ損ねる。
不器用だから。
それで、よく後ろの人に足を踏まれてる。
踏まれてるのに、
いつも山口が謝っている。
口ぐせなんだ。「すみません」が。

線路の上によくモノを落とす。
何度も落とすものだから本人も慣れっこで、
勝手に落し物を拾う棒を取り出して拾おうと
するんだけどその棒まで落としてる。

自動販売機でも、
小銭がうまく入れられない。
何とかジュースが買えても、
今度はプルタブがあけられない。
不器用な上に、いつも深爪だから。
不器用だから、
つい深爪しちゃうんだろう。

ゆでたまごの殻も満足にむけない。
コンビニのおにぎりも上手にむけない。
CDの包みも、開封口のリボンが
うまくつまめず、あけられない。
飛行機の救命胴衣も、きっと
一人だけふくらませられないんだろうな。
かわいそう。なむなむ。

ラーメンのレンゲは
すぐに器の中に落とす。
枝豆は必ず一粒落とす。
四粒入ってるさやだと、
二粒落とすこともある。

ケータイで「お」の字を打つのに、
「あ行」を何周もぐるぐるやってる。
一つ押しすぎてちいさい「あ」になっちゃって、
またもう一周して、行き過ぎて。
だから、メールの返信は遅いし、短い。
最初の頃は、嫌われてるんじゃないかと思ったくらい。

不器用だから、
告白される時もすぐわかった。
あきらかに、いつもと違う空気。緊張感。
告白中も沈黙が多いし。
わたしがいじわるく「で?」
とか言うと、「う」とかなっちゃって、
それはそれでちょっとおかしかった。

結局、告白されたのかどうか、
うやむやのまま、告白は終わり、
わたしたちは、何もなかったように、
いままでどおり過ごしている。

不器用だから、
ネックレスの金具が外せないんだろうな。
ブラのホックも外せないんだろうな。
あれとかも、すぐつけられないんだろうな。
そんなこともたまに想像してみるけど、
その時の精神状態によって、
「ま、それもいいかな」と思ったり、
「やっぱり山口はないな」と思ったり。

そんな山口が、最近、
なぜか告白されたらしい。
すごく熱烈に。
不思議だ。
でも、こう言ったんだそうだ。

「彼女はいないけど、好きな人がいるので、
いまお付き合いすることはできません。すみません、不器用で」

その話をした後、山口はわたしの方を見て、
ぎこちなく微笑んだ。

山口は不器用だ。
よく言えば、正直だ。
正確に言えば、バカ正直だ。
というか、正直、バカだ。
そうか、バカだったんだ。

わたしは小さく、「ばーか」と、つぶやいて、
何となく山口の手を握った。

出演者情報:内田慈 03-6416-9903 吉住モータース

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