西尾まりから「ひと言」

無事に牛深から帰りまして、こうして、収録させて頂きました。
確か牛深に行くまえに収録したのが最後でした。
そして、牛深へ行くんですゥ~と話していたので、
今回の収録(と、その後の飲み会が)が報告会の様になり、
楽しいかぎりでした。

コラムを見てくださっていた、ミキサー森田さん、地曳豪くん、
大川さん、ありがとうございます。
そして、誰よりも私よりも牛深について詳しくなって、
毎回コラムをUPしてくださった中山さんありがとうございます。

森田さんが私に牛深について質問したのに、
それはね~と、いって、答えている中山さんが凄いと思いました。

あ、
今回の原稿、なんだか面白かったです。

西尾まりちゃんの牛深通信、全部読みたいかたは下のURLからどうぞ
http://www.01-radio.com/tcs/columnindex/西尾まりの牛深通信

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佐藤義浩 2012年2月19日

夜の道を

         ストーリー 佐藤義浩
            出演 西尾まり

夜の道を走っている。
こうやって深夜走るようになって半年くらいか。

飽きっぽい私がこんなに続いてるなんて自分でも不思議。
ごちゃごちゃした毎日を忘れる時間が欲しかったのかも、と思う。
だから走るのは夜がいい。

夜の街は思った以上にしんとしていて
その中で、自分の足だけが懸命に働いている。
いつもいろんなことにとらわれているアタマは
苦しさと若干の気持ちよさだけにスペースを使っている。

それでもそのうちに、アタマは別のことを考え始める。
それは取り留めなく、次から次へといろんな思いが
浮かんでは消えて行く。

そういえば駅伝。箱根はすごかったね。
あれ、走ってる人はどんな気持ちなんだろう。
もちろん私なんかと比べようもないくらい苦しいし、
母校の名誉を背負ってるから重いだろうし、
ペースとか順位とか、いろいろ考えるから、
今の私みたいにつまらないこと考えるスペースはないんだろうな。

それでもいろいろ考えるんだろうか。
「前の選手の走り方、ちょっとヘンだな」とか思うのかな。
マラソン走ってる友達が、応援ってすごくありがたいって言ってたけど
やっぱり応援はうれしいのかな。沿道の人は見えてるんだろうか。

選手の横でいっしょに走り出す中学生を見て、
バカだなあ。とか思うのかな。
そういえば箱根の山道で、やっぱり急に走り出したおじさんがいて、
「子供じゃあるまいし」と思ったら急いでる係員だった。
あれは笑ったな。

もしあの箱根の山道がこんな暗い夜だったとしたら
沿道の応援は、私が今見ている街の灯りみたいなもんなんだろうか。

私が、暗い夜道が気持ちいい。と言いながらも、
路地の家々に灯る小さな灯りに、なんか励まされる気分になるのと
同じような感じなんだろうか。

そんなもんじゃないよね。
いっしょにするな、って怒られそうだ。

彼らが走ってる先にはタスキを待つ仲間がいて、
それはひときわ大きい灯りなのかもしれない。
目指す場所はやっぱり明るくて、人はそこに行かずにはいられない。

それに比べたら私は、
いったいどの灯りに向かって、こうやって走っているのだろう。
こうやって街をぐるぐる回って、
たどり着く先は、いつもの自分の部屋だ。
それはゴールなんだろうか。
たしかにホッとする場所ではあるけれど。

テレビでやってた。宇宙から見た地球。
カメラが進歩して、夜の地球の映像を撮ることができるようになったんだって。

宇宙から見た夜の地球は、はっきりは見えないけれど、
大きな街に輝く灯りで、そこが陸だということがわかる。
その灯りだけで、だいたいの陸地の形がわかる。
日本列島の形ははっきりわかった。
東北はまだまだ暗くてちょっと寂しかった。

あの灯りもゴールだ。
いろんな人の、いっぱいのゴールが集まって光ってる。
いろんな人がいろんなところを走っていて、
それを応援してくれる灯りがあんなにもいっぱいあるんだ。

そんなことを考えながら走っていたら、
うちの灯りが見えてきた。

やっぱりあれは私のゴールなんだ。
旦那とネコが灯りを消さないうちにラストスパートしよう。
タスキは持ってないけれど

出演者情報:西尾まり 30-5423-5904 シスカンパニー

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西尾まりから「ひと言」

今月29日から、熊本の天草で、映画のロケーションにいってきます。
帰りは、二月の下旬。長い撮影です。長男を連れて行きます。
天草では、一軒家を借りてすみます。
過疎化が進んでいて、ホテルもないそうです。
テレビも映りません。
暖房は、石油ファンヒーター、コタツ、ポカポカカーペットです。
保育園は、地元のに通います。
お弁当と説明書きにあったので、ぎゃー朝から弁当なんて作れないとおもったら、
白飯だけ、詰めてもってきてくださいとのこと。
これならできる!

さて、どうなることやら。 西尾まり

*上の写真は熊本県天草市牛深町です。
 西尾まりちゃんがロケに行く映画「ワッゲンオッゲン」は
 あまくさ映画製作支援の会とワッゲンオッゲン製作委員会による映画です。
 映画の製作と映画そのものによって
 日本全国に天草のことを知ってもらいたい、
 そして天草市民の繋がりを強化し、天草が好きと言えるように
 なってもらいたいいう目的があります。

 この映画ではいま1000人のエキストラを募集しています。
 ボランティアスタッフも募集しています。
 詳細は「あまくさ映画プロジェクト」のHPをご覧ください。

 あまくさ映画プロジェクトhttp://amakusa-movie.com/index.html
 ワッゲンオッゲンfacebookhttp://ja-jp.facebook.com/waggenoggen
 ワッゲンオッゲンTwitterhttps://twitter.com/#!/waggenoggenn

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李和淑 2011年10月23日



ねじ
           ストーリー 李和淑
              出演 西尾まり

机の下に、小さなねじがひとつ、転がっていた。
どこのねじだろう。
チェスト、サイドテーブル、扇風機、充電式クリーナー・・・
自分で組み立てた家具やら電化製品やらを、
持ち上げたり、ひっくり返したりして、ひとつひとつチェックする。
けれど、ねじがはずれているところは、見当たらない。

私の心のねじかな。
なんて、ガラにもなく感傷的。
でもたしかに、私の精神状態は、
このところなんだか、グラついているのだ。

3ヶ月ほど前に、父が死んだ。
心肺が停止して、意識がないまま、半年後に旅立った。
母も、姉も、私も、出来る限り世話をし、祈り、願い、
そして、絶望した。

べつに一緒に暮らしていたわけでもないし、
仕事に追われていたせいもあって、
何日も涙で明け暮れる、ということはなかった。

私って意外と強いじゃない。
少し父に申し訳なく、少し自分に誇らしく、そう思っていた。
なのに、いまになって、やたらグラグラするのだ、心のどこかが。

「教養のある人になりなさい」
「辞書を愛読しなさい」
「リスクという言葉は使っちゃダメ」
「AB型とは付き合わないように」
「シングルマザーになってはいけない」
「箸を置くとき、音は立てるな」

父の教訓というか、口ぐせのいくつか。
知的だったり、偏見だったり、幼稚だったり。
あまりに脈略がなく、姉とよく真似しては笑っていた。

こんな話をだれかにしたらきっと、
とても仲のいい、愛情あふれる家族と思うだろうけど、
ほんとのところは正反対。
給料を博打で使い果たす父と、
飲食店を切り盛りしながらそれをカバーする母。

ケンカが絶えず、あげく、離婚。
当然のように、私も姉も父と別れ、母と暮らした。
あれは、18のときだった。

父と再会したのは、それから23年後。
場所は、病院のICU。
もう、あの口ぐせを聞くことはなかった。

「辞書を愛読しなさい」
「AB型とは付き合わないように」
「箸を置くとき、音は立てるな」

ひとつひとつ、思い出してみる。
そして、そのひとつひとつが、
私という人間を、組み立てていったのだな、と思う。
そう、父は、私のねじだったんだ・・・。

我に返って、もう一度、小さなねじを見つめる。
とがった先を胸にあて、グリグリと食い込ませてみる。
チリッとした痛みとともに、
父の声が、よみがえる。父の笑顔が、よみがえる。

不覚にも、涙が出てきてしまった。
痛みのせいではない。
いや、痛みのせいかもしれない。
声をあげて、えんえんと、こどものように泣いた。

窓の外に広がる秋の空は、どこまでも高く、青かった。

出演者情報:西尾まり 30-5423-5904 シスカンパニー

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たくさんの香り



たくさんの香り

            ストーリー 船木愛美(東北芸術工科大学)
               出演 西尾まり

たくさんの香りがここにある
海の 森の 川の
他にも同じ香りがあるのに
どうしてここにきてしまうのだろう。
立ち止まって
両手を大きく広げて大きく息を吸って
私は今日も ふぅ・・・と幸せのため息を吐くのだ
「どこに行ったって やっぱり男鹿の良さは変わらないなあ」
なんて、また帰ってくるときに呟くのだろうな。
何度でも戻ってくるよ 男鹿市(おがし)

男鹿市観光協会http://www.ogakk.or.jp/
男鹿ナビhttp://www.oganavi.com/


*「東北へ行こう」は
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東北の旅館復興プロジェクト「種」http://save-ryokan.net/

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マイネージャー



マイネージャー

           ストーリー 赤羽麻凛(東北芸術工科大学)
              出演 西尾まり

高校に上がり、初めての夏。
お母さんの実家の青森に久しぶりに行くと、
おばあちゃんが笑顔で迎えてくれた。
おばあちゃんはときどき、何を言っているのかわからないけれど、
お話していると心が和む。

「おばあちゃん、私高校でサッカー部のマネージャーすることになったの」
 「んだのがー、よかったねえー」
「でもすっごく大変なんだよ。この前は疲れて宿題もできなかったし」
 「あらー、それだばまいねーじゃー」
「おばあちゃん、マイネージャーじゃなくてマネージャーだよ」
 「だからマネージャーだっきゃまいねーじゃ」
「……。ま、いっか」

おばあちゃんがマネージャーのことをマイネージャと呼ぶのを
東京の友達に教えると、
みんなそれからマネージャーをマイネージャーと呼ぶようになった。

「タオル!マイネージャー!」
「マイネージャー、今日調子悪いな!」

それから、まいねーじゃ、という言葉がダメだなあという意味だと知ったのは
高校を卒業してからだった。

五年後、同窓会でそのことをはなすと、みんな大笑いしていた。
••何年も先まで楽しくさせてくれる、青森。

● 青森県観光情報http://www.aptinet.jp/index.html

● 青い森の写真館http://www.aosya.com/index.html


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