2009 年 7 月 19 日 のアーカイブ

五島のはなし(21)

ちょっと前の話ですが、
落語専門情報誌「東京かわら版」の巻頭エッセーで
五島の「いあな」のことが出てました。
書いていたのは、爆笑新作落語家、林家彦いち師匠。
なんでも、落語家仲間とアフリカのギアナに行こうとしていたら
その仲間の都合で急遽行けなくなったとか。
じゃあ、せめて一人ででも、ギアナっぽいところに行こうと
全国の地図をくまなく探して見つけたのが、五島・福江島の「いあな」だったとか。
バカですね~。
彦いち師匠は、こういう普段の生活を落語に仕立てて爆笑させるのが得意です。

で、この「いあな」。漢字では井穴と書きます。
溶岩が噴出した際に、ああなって、こうなって、できた洞窟です。

隔離された生態系をもつため、世界的に珍しい生物がいます。
「なんとかハゼ」とか、「ほにゃららコウモリ」とか。
土器なんかも出土しており、大昔は人も住んでいたんだそうです。
何百メートルも続いた洞窟の先は海中に沈んでおり、
その先がどうなっているのかは「わからない」のだそうです。
ロマンあります。
恐竜とかいたらいいのになあ、と思います。

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名雪祐平 09年7月19日放送

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村上春樹 
  

小説家は、プロの嘘つき。

村上春樹は、
海外メディアのインタビューで
こう語っている。

 嘘をつくのが仕事の場合、
 誰よりも「真実」について
 知っていなくてはなりません。

 偽のレンガで、真実の壁を築くこと。
 それが僕の仕事です。

真実に飢えている人々が
小説『1Q84』を
超ベストセラーにしているのなら。

いまは、それだけこわい時代なのかもしれない。

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メリル・ストリープ

スピーチはむずかしい。

それが、アカデミー賞の受賞スピーチなら、
どうしても感動的な話を期待してしまう。

でも、よくあるのが、
何人も何人も関係者の名前を呼んで
感謝するパターン。

すこし、たいくつ。

そんなあきらめを、
メリル・ストリープはこんな受賞スピーチで
救ってくれた。

 大勢の人たちに感謝します。
 その人たちの名前を呼ばせてください。
 私の名前が呼ばれた時、
 両親は飛び上がって喜んだはず。
 その興奮をほかのご両親にも味わってほしいの。

メリルのてらいのない、思いやりがあふれた
名スピーチだった。

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モスクワオリンピック 日本選手団

戦争が、はじまっていた。

そして、
1980年のきょう、7月19日。
モスクワオリンピック開幕。

そこに、日本人選手はいなかった。
誰一人。

ソビエト軍のアフガン侵攻に抗議し、
50カ国近くが
モスクワ大会をボイコット。
日本政府も、ボイコットの最終方針を決定したのだった。

何年間も、すさまじい努力をしてきた選手たちは、
大会直前で、
国家や政治という強敵に、敗れてしまった。

 オリンピックは参加することに意義がある。

この言葉が、
とても重かった、夏。

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モスクワオリンピック イギリス選手団

ボイコットするか、しないか。
モスクワオリンピックは揺れた。

イギリス政府は、ボイコット支持を決定。
しかし、イギリスオリンピック協会は屈せず、
独自に大会参加を決めた。

そこから、政府の容赦ない圧力が始まる。
援助は打ち切られ、
企業の寄付も止められた。

選手たちは必死に世論に訴え、
市民の募金に頼った。
滞在費を切り詰め、
試合に合わせて
モスクワ入りを果たしたのだった。

スポーツは誰のものか。
絶対に、国家や政治のものではない。

彼らがそうおしえてくれた、夏。

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バズ・オルドリン

一番になること。

その魔力に取り憑かれた彼には、
二番は地獄。

1969年7月20日、アポロ11号、月面着陸成功。

バズ・オルドリンは、月面に降り立った。
アームストロング船長に続き、
史上二番目の人類として。

そこは地獄だったのだろうか。

月面には、100万年は消えない
彼の足跡が、たしかにある。

その足跡には、
二番とは書かれていない。
輝かしい栄誉が刻まれている。

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ピート・ローズ

4256安打。

大リーグの通算安打記録をもつ
ピート・ローズ。

 俺の脳みそは、いつまでも15歳のまま。
 これがベースボールを長く続けられる秘訣なのさ。

やがて現役を引退。
監督をつとめていたとき、
信じられない事件が起こる。
野球賭博に関わり、
大リーグを永久追放されてしまう。

無邪気な15歳のまま、
こんどは賭け事に夢中になってしまったのか。

偉大な記録は消えないけれど、
ピート、元気でやっていますか?

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勝海舟

勝海舟が亡くなった時、
最期に遺した言葉は、

 コレデオシマイ

作家・山田風太郎は、
「最期の言葉としては最高傑作にあたる」と絶賛した。

その言葉に、
すべてがあり、
すべてがない。

勝の豊かな人生を浮かび上がらせる名文句である。

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平賀源内

生まれては消えていく、広告。

けれど、200年もの間、
絶大な効果をあげ続ける広告コピーがある。

 土用の丑の日、うなぎの日。

夏場の不人気に悩んだ鰻屋のために、
平賀源内が
考案したと伝えられている。

小さなアイデアが、大きな流れをつくる。
ことばは、奇跡を生む。

平成21年、土用の丑の日に。

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