2011 年 1 月 29 日 のアーカイブ

岡安徹 11年01月29日放送


千葉すず

天才と呼ばれたスイマー。千葉すず。
中学記録、高校記録を塗り替えた。
大きな期待を背負いオリンピックに出場するも、
メダルに手は届かなかった。

バッシングにさらされ、1度は引退。
しかし、3年後に現役復帰し、日本選手権で優勝した。

「がんばる」という言葉は、
私はあまり好きではありませんでしたが、
結局、振り返ってみれば、
がんばりっぱなしでした。

もがいた分だけ、進んできた。
天才と努力家は、結局ほとんど区別がつかないのだ。


弁護士 大平光代

弁護士 大平光代の一生は、波瀾万丈。
少女時代はいじめをうけ、割腹を図る。
一命は取り留めるも非行にはしり、
16歳で極道の妻となる。

そんな人生を一転させたのは、
後の養父となる男性のコトバだった。

あんたが道を踏み外したのは、
あんただけのせいやないと思う。
親も周囲も悪かったろう。
でもな、いつまでも立ち直ろうとしないのは、
あんたのせいやで。甘えるな!

この出会いを転機に、猛勉強の末
難関の司法試験に1回で合格した。

人生に迷ったら、本気で叱ってくれる人に会いに行こう。


北林谷栄

「メイちゃ~ん」。
映画『となりのトトロ』で迷子になったメイを捜す声。
これぞ日本のおばあちゃん、というその声を担当したのが、
北林谷栄。

30代という若さで
老婆役を数多くこなした名女優。
その役づくりは徹底していた。

生活感がしみこんだ服が必要と思えば、
案山子の服を買いとる。
老婆の表情に真実味が必要と思えば、
健康な歯を抜き、入れ歯にして顔と声を変えた。

女優という人生を、演じきった。
その心意気は若々しく、老いなかったのだろう。

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岡安徹 11年01月29日放送


水木しげるの妻/武良布枝

ゲゲゲの女房こと、
漫画家水木しげるの妻、武良布枝さん。

ふたりは見合いの席で出会い、5日で結婚。
売れない漫画家だった水木さんとの暮らしは、
食べものの心配と質屋通いが日課だった。

土手の野草をつんで食卓に並べたこともあれば、
ペンを握りアシスタントをこなしたこともあった。
お金はいつもなかったけれど、
夫の才能を疑ったことはいちどもなかった。

水木さんのとなりに布枝さんがいなかったら、
鬼太郎も悪魔くんも生まれていなかった。
というのも十分ありえるお話。

漫画を描くのが才能なら、
その才能を開花させるのもまた才能。

水木さんは言う。

家内は「生まれてきたから生きている」ような人間です。

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宮田知明 11年01月29日放送


オノ・ヨーコ

人の何倍もの、困難な経験をしながらも、
強い女性として生きてきた人、オノヨーコ。

気丈に見える彼女だが、
本人が自分自身を分析しているとおり、
人には想像もつかないような弱いところがある。

その一端を垣間見せた、
近年のジョンレノン スーパーライブでの、
大勢の人の前で泣きながら語った、彼女の言葉。

彼は私にたくさんアイラブユーを言ってくれた。
私ももっとたくさん言えばよかった。

そこには、アーティストでも、シンガーでも、
フェミニストでもない、
1人の男性を愛する、だた1人の女性がいた。

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岡安徹 11年01月29日放送


並木路子とリンゴの唄

戦後の大ヒット曲『リンゴの唄』。
世の中をパァっと明るくした、と言われる
この曲も、レコーディングは決して
明るく楽しいものではなかったらしい。

歌い手並木路子は、終戦時
身内を失い、悲しみの底にいたからだ。
そこでスタッフがかけたコトバがある。

「君ひとりが不幸じゃないんだよ。」

並木は、ひととき悲しみを忘れて、歌った。
その唄はやがて日本中の悲しみをどこかへやってしまった。
暗い時こそ、小さな明かりが目立つのだ。

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渋谷三紀 11年01月29日放送


文筆家・岡本太郎の母/岡本かの子

文筆家、そして岡本太郎の母、岡本かの子。
彼女は、恋多き女性、そして恋深き女性。

若い頃のかけ落ちに始まり、
夫と恋人とが同じ屋根の下で
生活した時期もあったという。

人一倍傷つきやすく
誤解もされやすかったが
相手と真正面から向き合う生き方を
曲げようとはしなかった。

人間は悟るのが目的ではない。
生きるのです。
人間は動物ですから。

その言葉通り、本能のまま生きる
かの子の子として生まれたことは、
太郎にとって大きな幸運だったに違いない。

だって、子どもも子どもの感受性も、
母親に産み落とされ、育まれるものだから。

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