いわたじゅんぺい 2026年3月22日「かんな 2026春」

かんな 2026春

ストーリー いわたじゅんぺい
       出演 齋藤陽介

かんなは小学4年生である。
好きなもんじゃはめんたいもちチーズ。
好きなおでんの具はきくらげ。
どこにでもいる小学4年生だ。

最近は
ミラノ・コルティナオリンピックを
熱心に見ている。

スキーのジャンプで
二階堂選手が銀メダルに終わり
「悔しい〜」
と言っているのを見て、
「こういう名言なんかあったよね。なんも見えねえ?みたいな」
と言っていた。

「なんも言えねえ、だよ」
と妻や長男から
総ツッコミにあっていたが、
北島康介選手が
「なんも言えねえ」
と言ったのは
2008年なので
知らなくて当然である。

かんなはまだ影も形もない。
なんなら長男も影も形もない。

いずれにしても、
冬のオリンピックを楽しそうに見ている。
スケルトンとフィギュアスケートが
お気に入りのようだ。

この前、
料理を手伝ってくれて、
「シングルオイラー」
と言いながら
ごま油をひと回し入れてくれた。
オイルとオイラーがかかっていたけど
多分本人は気づいていない。

油で思い出したが、
この前、
唇が妙に赤かったので指摘したら
「油がついてるんだよ。
油の乗った餃子を食べたからね」
と言っていた。
油の乗った餃子、
という響きが新鮮だった。

この一年のトピックといえば
塾に行きはじめたことだ。

特に中学受験をするという
感じでもないし、
勉強が好きという
感じでもないのだが、
通いはじめた。

塾を見学しに行った時、
自分の知っている知識を
なんでもひけらかす
うるさい男子がいたので、
帰り道に
「うるさい男子がいたね」
と言ったら
「男の子はそういう子もいるよ」
とたしなめられた。
かんなは人の悪口を言わない。

塾は電車を乗り継いで
30分くらいのところにある。
終わるのは夜なので、
会社帰りに迎えに行って
一緒に帰る。

帰り道にいろいろ話してくれる。

社会があった日は、

「防災の問題で
『公民館に避難する』を
『古民家に避難する』って書いちゃったの」

とか

「排他的経済水域って言おうとして
はえたたき経済水域って言っちゃったの」

とか

算数があった日は

「樹形図の問題は我に帰ったらできた」

とか。

結局その日に
何を習ったのかは
よくわからないのだが、
何かしらを学んだらしい形跡は
伝わってくる。

いつもは迎えに行くと
眠そうな感じで出てくるのだが、
とてもシャキッとしていた日に、
「今日はシャキッとしてるね」
とほめたら、
「今日はねむくならなかった。
じゅくに行く前にひるねというか
目をとじて失神してたからね」
と言っていた。
いつも眠くなるのは心配だが、
目を閉じて失神していた、
という表現は、
リアリティがあって良い。

問題を出し合いながら帰る日もある。

「リンカンは何をした人でしょう?」
「けいざいを変えた人?」
「おしい。アメリカの大統領で奴隷を解放した人」
「だれかにころされたんだよね」
「う、うん」
「わたし人の死に方だけはおぼえてるんだよね」
「そうなんだ」
「マリアントワネットはゼラチン?
で首をちょんぎられたんだよね」
「ギロチンだね」

と、スプラッタなことを
平然と言い出したりもする。

唐突に
「さいばんかんってカンカンってする人?」
と聞いてきたり
「べんごしってはんにんの味方する人?」
と聞いてきたり。
弁護士は犯人の味方をする人、
という説明は正しすぎて、
大人にはなかなかできない。

女の子らしく
服にも興味があるのだが、
いつも散々迷って結局
同じ服のローテーションに
なっているので
「いつもそのTシャツ着てるね」
と言ったら
「この黒とグレーの間の色がいいんだよ。
ゾウさんがぬれた時の色」
と言っていた。
「ゾウさんがぬれた時の色」
という表現もとてもよい。

ある時は、

「おもしろいゆめを見たよ」
「どんな夢?」
「ほかほかのごはんをそのまま手にくばるの。
それをはふはふって食べるの。
しかもお店はダイソーだった」

と、父が喜びそうな話を
教えてくれたり。

ある時は、
塾から駅までの
長い地下道を
目をつぶりながら
手をつないで
点字ブロックの上を歩き、
そのままパスモで改札も通ったあとで

「目の見えない人は
かいさつでパスモをピッてやった時
ざんだかがいくらかわからないんだね」

と言っていて、
その気づきにハッと
させられたこともあった。

宿題が多くて大変そうだが、
文句も言わずに通っている。
それなりに楽しんでいるようだ。

その分、
前からやっていたそろばんは
わかりやすく伸びなくなっていて、
毎回迎えに行くと
「今日は10点だったー」
「今日ななんと0点」
と教えてくれる。

あまり器用なタイプでは
ないのだろう。

でも手先はまあまあ器用なようで
秋刀魚を箸で上手に食べられる。

食欲も旺盛だが、
物欲も旺盛で、
いまはとにかくシールが欲しいらしい。

クリスマスの
サンタクロースへの手紙には
「Amazonで〇〇を検索して、
そこに出てくる上から3つ目のを
クリックしてください。
そうしたら・・」
というようなAmazonでの
欲しいシールの買い方が
詳細に書かれていた。

物欲は旺盛がすぎて、
来年の誕生日プレゼント代まで
前借りするような状態に
なってきたので、
最近妻に割とちゃんと怒られた。
それを真摯に受け止めたのか
「芸能人が活動休止するみたいに
かんなも前借りするのを休止するの。
コールドスリープ」
と言っていた。
活動が再開されないことを
父は祈っている。

あっという間に季節は巡る。
何かのブームが終わり、
次のブームがやってくる。
気を抜くと子どもは成長している。

今年も桜は早そうだ。

.
出演者情報:齋藤陽介 03-5456-3388 ヘリンボーン所属




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いわたじゅんぺい 2025年4月20日「かんな 2025春」

かんな2025 春

ストーリー いわたじゅんぺい
       出演 齋藤陽介

かんなは小学3年生である。
ジャンガリアンハムスターの
モノマネが得意な
どこにでもいる小学3年生だ。
将来は
チームラボをつくる人になリたい、
と言っている。

朝は「ZIP」をつけていて、
7時54分になると
「めざましテレビ」に変える。
で「きょうのわんこ」を見る。

犬が好きなのだ。
一番好きなのはブルドッグ。
理由は「人間みたいな顔をしてるから」

夏。

2024年の夏はパリオリンピックがあった。
もちろんパリには行っていないが、
毎日テレビでオリンピックを見ていた。

TOKYO2020の時は
まだオリンピックに
興味がなかったので
パリがオリンピックデビューになる。

スケボー、柔道、フェンシング、バレー、ブレイキン。
ルールはわからなくても
日本選手が勝つと大喜びしていた。

体操の鉄棒を見ていた時、
急に「ひらめいた!」という顔で
「ということは、橋本大輝は
空中逆上がりを何回もやってるってこと?」
と言っていた。
自分ができなかったことに
置き換えてみたら、
そのすごさが実感できた!
という瞬間の表情だった。

パリオリンピックの影響は
国語のテストにも出ていて、
「国」という漢字の部首を書く問題で
「くにがまえ」と書かなければ
いけないところで、
「がいせんもん」と書いていた。
間違いではあるのだが、
部首名「がいせんもん」はかっこいいので、
いつか採用していただきたい。

そのテストでは、
「百円玉」と書くところで
「百点玉」と書いていたり、
「近所の行事に出る」を
「近所のいくじに出る」と読んでいたり、
漢字の画数を書く問題で
「九画」を「丸画」と
漢数字を書き間違えて
バツになったりしていた。
ケアレスミスの多い人生に
なりそうである。

近所の市民プールに行った時、
併設されているバイキング形式の食堂で
昼ごはんを食べたのだが、
「わたしクルトンが好きなの」
と言って、
サラダのトッピングのクルトンを
茶碗一杯に入れて食べていた。
安上がりでよろしい。
食費には困らなさそうである。

一緒にとうもろこしの皮を
むいていた時は、唐突に
「つちのこみたい」
と言うので、
なかなかいい感性だぞ、と思い
「いいね」
と言ったら
「まちがえた。たけのこだ」
と言っていた。
つちのこの方が良かった。

秋。

「かんなキンモクセイのにおい
あんまり好きじゃない。
ちょっとくさいにおいする」
と言うので、
キンモクセイの匂いが嫌いな人も
いるんだなあ、と思っていたら、
「あ、キンモクセイじゃなくて
ギンナンだったかも」
と言い直していた。
多分ギンナンだろうと父は思った。

玄関の前にショウリョウバッタがいて
そのシュッと尖った外見に驚き、
「かんなバッタってもっと
トノサマバッタみたいな
ぶっといオクラみたいなのだと思ってた」
と言っていた。
トノサマバッタは
ぶっといオクラ。
とてもよい。

「今日学校でバレー見たの。体育館で」
と学校であったことを教えてくれた時、
「どうだった?」
と尋ねると
「パイプ椅子に座ったよ」
と教えてくれた。
詳細に説明するポイントが
ややずれているが、
楽しそうだからよかった。

学校公開で授業参観にいった時、
壁に貼ってあった絵のタイトルが
他の生徒は
「くさもち」とか「トゲトゲの花」
だったのだが、
かんなだけ
「朝と夜、くもりと風のお友だち」
という、妙にポエムなものだった。
意味はよくわからなかったが、
父はなんだか誇らしかった。

そろばん教室で川柳を募集していて、
「みとりざん なんどやっても にじゅってん」
というのを書いて出したら、
佳作に選ばれていた。
経験から生まれたメッセージは強い。

そろばんの他には
テニスも3年ほど習っているのだが、
その日の感想や反省を書く
テニスノートに
「しりもちはいたい。きをつける」
と書いていた。
3年目に気づくことではない気がする。

また、テニスがあった日に
「来週、野生のコーチなの」
と教えてくれたので、
「野生のコーチ?」
と聞いたら
「野生のコーチ」ではなく、
「学生のコーチ」だった。
野生のコーチを見たかったので残念である。

冬。

「年末っていつ?」
と聞くので
「年末は一年の最後」
教えてあげた。
「一週間の最後は週末って言うでしょ」
と付け加えると、
「なるほど」と納得したような顔をしていたので、
「じゃあ月末はいつ?」
と逆に質問してみたら、
「月曜日の最後!」
と言っていた。
全く理解していなかったようだ。

正月の朝。
「かんな初夢すごくいい夢を見たの!」
と興奮した顔で起きてきたので、
どんな夢か聞くと
「5円玉が2枚出てくる夢」
と言っていた。
お金が好きなのだ。

お年玉をあげた時は
「かんなちゃんペラペラのお金だーいすき」
とうれしそうにお札をひらひらさせていた。

箱根駅伝を見ながら、
「これは夜も休まずに走ってるの?」
と聞くので、
「昼だけだよ」
と教えてあげたら、
「じゃあ自分がここまで走ったって
ところを覚えているの?」
と不思議そうな顔で聞いてきた。
日没になると、今日はここまで、
という仕組みではない、
ということを丁寧に教えてあげた。

カードゲームをやっていて、
どうしてもぼくが勝ってしまうので、
かんなに有利な条件を提示したら
「そんなことしたらずるずるしくなっちゃう」
と言っていた。
「ずるずるしくなる」は
新語としてぜひ辞書に載せて欲しい。

スーパーで売ってる焼き芋が好きすぎて、
芸人の紅しょうがを見て
「なんだっけこの人たち、べにはるかだっけ?」
というくらいにさつまいもを愛している。

ある時は唐突に
「ものごころがつくって何?」
と聞かれた。
「世の中のいろんなことがわかってくるってことかな」
「じゃあ、かんなはものごころついてる?」
「そうだね」
とぼくは言いながら、
もうものごころついちゃったんだな、
と感慨深かった。

とはいえ、
風呂上がりに
第九のメロディで
「おーばか かんなが ララララ ラーララー」
と歌いながら出てきたり、
素っ裸の兄を見て、
「お兄ちゃん、おちんちんの後ろに
2個ポケットがあるよ」
と言っていたり、
まだまだものごころがついたわりには
幼いので安心している。

また、春が来る。
かんなは四年生になる。
集団登校の副班長をやるらしい。
最後尾を歩く係だ。
遅れないように歩いて欲しいと思う。

出演者情報:齋藤陽介 03-5456-3388 ヘリンボーン所属





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いわたじゅんぺい 2024年7月28日「かんな 2024夏」

かんな 2024夏

ストーリー いわたじゅんぺい
       出演 齋藤陽介

かんなは100円ショップが好きだ。
100円ショップだと、
3回くらいお願いすると
1回くらい買ってもらえるから。
買うのは大体メモ帳かシール。
時々マスキングテープ。
どこにでもいる8歳の女子である。

そんな物欲強めの性格なので、
タダでプレゼントがもらえるクリスマスを
何よりも楽しみにしている。
楽しみすぎて、
サンタクロースに手紙を書いていたのだが、
その書き出しがなかなかよかった。

サンタさんへ
サンタさんにあげる手紙なのに
うら紙でごめんなさい。

チラシの裏紙に
書いていることへの謝罪から
文章をはじめていた。
裏紙であることに
気分を害して、
プレゼントをくれなくなることを
恐れたのだろう。

正月にはカルタを
自分でつくっていた。
「あ」から順に文章を書き、
絵を描いて色を塗っていたのだが、
その言葉も独特でなかなかよい。


あしをつけてもらった
とべないちょう


いまにもこわれそうないす


うらやましそうなうさぎ


えらくないのに
えらそうな口をするねこ


おばけやしきで
人形をこわがる大人


くだらない
えんぴつのミニチュア

という6枚をつくったところで
急に飽きてしまって
カルタは未完成なのだが、
父はなんとか続きを書いてもらいたくて
いろいろ交換条件を提示しながら
交渉したものの、
結局この6枚で打ち切りになった。

正月といえば、
冬休みの宿題の
書き初めをやっていたとき
「じょうずに書けたんだけど
名前しっぱいしちゃった」
と言うので見てみたら、
名前を

岩田がんな

と書いていた。
自分の名前を間違える人を
野比のび犬
以外で初めて見た。

そんなかんなであるが、
本が好きで、
イケメン四兄弟の話とか
霊感のある探偵の話とか
けっこう小さな字の本を
すらすら読んでいる。

この前、
テレビで見た
麻布台ヒルズの素敵な本屋に
行きたいと言うので
行ってみた。

電車での帰り道、
何が一番記憶に残っているか、
と聞いてみたら、
ファミマで買ったメロンパンを
外で立ち食いしたことと、
お出汁屋さんの試飲で
舌を火傷したこと、
と言っていた。

国語は好きなようで、
ことわざの本もよく読んでいる。

「七ころび八おきってあるでしょ?
でもさあ、七回ころんだら七回おきるんじゃないの?」
と妻に聞いていたが、
七回転んだら八回目も転ぶだろうから
何回転んでも起きるように、ってこと、
という妻のいい加減な説明に
「う、うん・・」
と納得いかないような返事をしていた。

あと
「ことわざのもんだい出して」
と言われた時、
「じゃあ、石の上に三年」
と問題を出したら
「牛のいえにモー三年?」
と聞いていた。
ことわざは好きだが
得意ではないのかもしれない。

一方で算数は好きではなさそうなのだけど、
最近、そろばんをはじめた。
そろばんは楽しそうにやっていて、
いま5級に挑戦している。

土曜日のそろばん教室に行くときは
頼まれていないのに僕も勝手についていく。

歩きながらいろいろ話してくれる。

「好きな給食何?」
「ニラ玉」
「ニラ玉?そうなんだ」
「ぎゅうにゅうはいつものみきれないんだ」
とか

「きのうPKGたべたの。しってる?PKG
おしょうゆかけて、まぜまぜして、
すごーくおいしかった」
「PKG?TKGじゃない?卵かけご飯でしょ」
「そうだそうだTKGだ」
とか

「将来何になりたいの?」
「かんりえいようし」
「なんで?」
「バイキングのメニューをかんがえるしごとがしたいから」
とか

「いえに男の人がはいってきて、
ウィーヨーウィーヨーってならすのなんだっけ?」
「消防点検のこと?」
「そうそう」
とか。

雨が降りそうだった日、
傘を持ってお迎えに行った。
その帰り道、
スーパーでおでん用の餅巾着を買った。
かんなは餅巾着が好きなのだ。
店を出ると雨が降り出していて、
「かさもってきてよかったね」
と言いながら帰った。
雷がすごかった。

その晩、おでんの餅巾着を食べながら
「イソギンチャクおいしいね」
とかんなは言った。

この前、テレビで
はじめてのおつかいを見ていたら、
「あれから15年」みたいな
昔の映像を振り返るコーナーで、
当時、長男と録画してよく見ていた
スキー場におつかいに行く姉弟が出てきた。
「これお兄ちゃんとよく見たやつだよ」
と言っていたら、
そのお姉ちゃんの名前がかんなだった。
うちのかんなはこの頃
影も形もないわけだが、
なんだか縁を感じた。

動物番組を見ながら
「インパラってだいたいたべられるよね」
と言っていたり、

大相撲を見ながら、
「おすもう、いま東と西どっちがかってるの?」
と言っていたり。
相撲は東西対抗戦だと思っているようだ。

ニュースを見て
「せんそうでは人ころしてもつかまらないの?」
とも言っていた。

いま一番好きな食べ物は
ネギトロ丼のネギ抜き。
夢は旅行代理店のパンフレットで見た
モルディブの水上コテージに行くこと。

モルディブには行けないけれど、
夏休みは海に行く約束をしている。
6メートル泳げるようになったことを
誇りに思っているようだ。



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8月には齋藤陽介くんの芝居(2024年8月号の収録記)

8月月15日、齋藤陽介くんの芝居がはじまります。
劇団ホチキス「スクールバス」
詳細はこちらから。
https://hotchkiss.jp/bus/

ところで、写真の斎藤くんが持っているのは蕗の佃煮です。
この日は築地の佃煮を用意しておりまして、
暑中見舞いとしてナレーターに差し上げました。
佃煮は2種類、蕗と昆布があるのですが、その表示がなく
くじ運が悪い人は昆布が欲しいのに蕗を引いてしまったりします。
それも面白いと思ったのですが、
斎藤くんは「蕗、蕗」と言いながら選んだら、ちゃんと蕗を引きました。
斎藤くんはナレーションがとてもうまい人ですが、
もしかしたら強運な人でもあるのか…(なかやま)

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いわたじゅんぺい 2023年12月10日「かんな 2023冬」

かんな2023 冬

ストーリー いわたじゅんぺい
       出演 齋藤陽介

「なぞなぞで、
 上と下にしか行けないのりものなーんだ?
 ってもんだいがあって
 こたえはエレベーターだったの。
 わたしはシーソーだと思ったのに」
と納得のいかない顔でかんなは言った。
シーソーの方がいい答えだと
父は思う。

かんなは8歳だ。
なぞなぞが好きだ。
気になった謎も放置しない。

王様のブランチの
ほおずき市のロケを見ていた時
「ほおずきってたべられるの?」
と聞かれた。
「食べられないんじゃない?」
と答えると
「ただそだてるだけ?」
「・・ただ育てるだけ」
父はどう答えていいかわからず
とりあえず同意しておいた。

最近のトピックとしては
英語の教室に通い出した。

自転車で迎えに行った帰り道、
「今日は何を習ったの?」
と聞くと、

サンデー
マンデー
チュースデー
ウェンズデー
ファーズデー
フライデー
サタデー

と1週間をわりときれいな
発音で読み上げた。
が、
なんか一か所気になったので
もう一度聞いてみた。

サンデー
マンデー
チュースデー
ウェンズデー
ファーズデー
フライデー
サタデー

木曜日が
ファーズデー
になっている。

きっと
生まれて初めて聞いた
thの発音に
「???」
となり、
Thursdayを
聞こえたままに読んだら
フアーズデー
になったのだろう。

学校の英語の先生に習うと
サーズデイ
になってしまいそうだが
ファーズデー
の方がよっぽど
ネイティブイングリッシュな気がした。

先生にも
「GOOD!」
と言われたらしい。

あと、
生まれて初めて
インフルエンザになった。

コロナにもかからずにきたので、
伝染病が初めてだ。

我が家では
人にうつる病気にかかると
閉じ込められる隔離部屋がある。
半分物置なので、
布団を敷くのが精一杯な広さである。

ちょっと前までは
一人で寝るなんて
まったくできなかったのだが、
大人しく隔離部屋で
4日ほど寝起きしていた。

2日目からは熱も下がって
ほぼほぼ元気だったのだが、
絵を描いたり、
迷路を書いたり、
一人暮らしを満喫していたようだ。

でも居間の方で笑い声が起きると
気になるようで、
歯磨きなんかを持って行った時に
「さっきなんでわらってたの?」
と、すねたように聞いていた。

お絵描きも好きだが
工作も好きで、
家に帰ると
つくったものが
何かしら増えている。

ストローと爪楊枝と厚紙でつくった
クルマみたいなものだったり、
紙を切ってつくった
何に使うかわからない
細かなパーツだったり。
父からしたら
ゴミにしか見えないので
夜、かんなが寝た後に
勝手に捨てると
後々怒られたりする。

レゴも好きで
建物みたいなものを作っていたので
何を作っているのかと聞いたら
「サスケだよ」
と教えてくれた。
なかなかいい着眼点だと思った。

「インタビューごっこしよう」
と言われて、
最初は
「すきなたべものはなんですか?」
とか
「すきないろはなんですか?」
とか
オーソドックスな質問を受けていたのだが、
だんだん聞くことがなくなってきたのか、
「すきなかたちはなんですか?」
「すきなゆうぐ(遊具)はなんですか?」
「すきなてんきはなんですか?」
と後半はなかなかシュールな
インタビューになっていた。

質問をするのも好きだが、
答えるのも好きで、
「なんでもこたえるからきいてみて」
と聞かれたものを
瞬時に答える遊びを兄としていた。

中一になる兄は
とにかく負けず嫌いなので
なんとか答えられない
質問を出そうとするのだが、
それでもかんなは
瞬時に何かしらを答える。

「ルイビトンは何?」
「おべんとう!」
「エルメスは?」
「ヘルメット!」
「ロレックスは?」
「プロレス!」
「ウランバートルは?」
「しきしゃ(指揮者)でしょ」
という感じで
次々と突拍子もない答えを繰り出し、
兄は笑いすぎて
質問できなくなっていた。

この前、無印良品で
ソファーに座ったときは
「わあふかふか。
ゆめのなかにおっこちちゃう」
と言っていた。

「びょういんにいったらおいしゃさんが
おなかもしもしするでしょ」
と聴診器のことをお腹もしもしと言っていたり、

「どーメダルの『ど』って土?」
と聞いてきたり、

言葉を生業としている父としては
勉強になることばかりである。

僕は父の責務として
娘の独特な発想や発言を
メモしているのだが、
昔に比べると
その数はだいぶ減った。
それが成長なんだな
と実感する。

トランプが
逮捕されたニュースを見た時は、

「トランプは捕まったのに
なんでプーチンは捕まらないの?
ウクライナかわいそうじゃないかー」

と言っていた。
ゼレンスキーさんに
教えてあげたい。

明日は家族で
ディズニーランドに行く。
4年前に行った時は
プーさんのハニーハントでさえ
怖くて泣いていた。

そんな話をすると
「もうホーンテッドマンションでも
なかないよ」
と言って、余裕な顔で
♪パーフェクトスティ〜ック
とディズニーとは全く関係のない
CMソングを歌い出した。

子供の成長は
やっぱり
どこか切ない。
.


出演者情報:齋藤陽介 03-5456-3388 ヘリンボーン所属





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田中真輝 2023年9月24日「モヤモヤキッチン」

「モヤモヤキッチン」 

ストーリー 田中真輝
   出演 平間美貴

心にモヤモヤがたまってくると、
わたしはモヤモヤキッチンにいく。

その店は、わたしのモヤモヤを素敵な料理にしてくれるのだ。
さて今日のメニューは何だろう。

前菜は、ピリッと皮肉を効かせた、
部長のひとことテリーヌ。

そう、部長はいつも一言多い。
今日の提案よかったよー。
いつも、この調子で頼むよ。

そうだ、その一言が、わたしをモヤモヤさせて
いたのだ。こっちは、いつも全力だっての。
むしゃむしゃむしゃ。

続いては、元カレのインスタスープ。
匂わせアングルが香り立つポタージュ仕立て。

別に未練なんてないけれど、
別れてまだ間もないのに、
もうそんな笑顔できるんだ。ふーん。
ごくごくごく。

メインディッシュは、
友達が結婚したって噂、又聞きソテー。
バラ色のソースとともに。

親友だと思ってたのに、なんで直接連絡
くれなかったんだろう。素直におめでとうって
言いたかったのに、なんだか気がそがれてしまう。
そんな風に思ってしまう自分ってどうなの。
むしゃむしゃむしゃ。
モヤモヤを料理にして、どんどん平らげる。
辛いも、苦いも、酸っぱいも、ぜんぶ人生の味付けにして。
ひとつひとつ丁寧に味わえば、
ひとつひとつモヤモヤが溶けていく。

デザートは、甘い甘い片思いに、
自分を憐れむしょっぱい涙をひとしずく。

そうだ、何も始めなければ、何も壊れない、
そんな甘さに浸ってちゃだめなんだ。
ぱくぱくぱく。

言葉にならないモヤモヤを料理にして
味わい尽くせば、モヤモヤのモヤがすっきり
晴れていく。

ぜんぶおいしくいただきました。
ごちそうさまでした。
店を出たわたしは、ちょっと大きな歩幅で歩いていく。
.


出演者情報:平間美貴 03-5456-3388 ヘリンボーン所属

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