2012 年 9 月 2 日 のアーカイブ

0歳0ヶ月の育児の話し

みなさんこんにちは。
薄組の石橋涼子です。

いきなり何の記事?
と驚かれていることと思います。

実は私、1歳1ヶ月の子ども(美少年)を
育てております。
美少年です。かわいいです。毎日はぐはぐしてます。

という話しを厚焼玉子さんに延々としていたところ、
なんと、Visionに連載の枠を設けて頂けたのです。
光栄です!
玉子さんが、親バカ話しを聞くのが
めんどくなっただけかもしれませんが。

いや、とにかくですね。
せっかく連載枠を頂いたのだから、
すでに親になった人にも、これから親になる人にも、
ちょっとだけ「あるある」「なるほど」「へえー」と
感じて頂けるお話しができたらいいなと思っています。

赤ちゃんの生態は日に日に変化するので、
記事タイトルは月齢にしようと思います。
この頃の赤ちゃんって、こうなのね、と。

ゆるやかに連載する親バカコラムになると思いますが、
何卒よろしくお願いいたします。

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石橋涼子 12年9月2日放送


Fernando Stankuns
果物のはなし 古賀稔と渥美清のバナナ

独特の節回しと愉快な口上で人々を楽しませる
バナナのたたき売りにプロがいることは、あまり知られていない。
そのひとり、古賀稔は、50年以上前から
九州・中国地方を渡り歩いてバナナのたたき売りをしている。

遠い昔のある日、古賀の前にひとりの男がふらりと現れた。
ちょいと教えてくれよ。
と声をかけてきたので、ちょいと教えてやったのだと言う。

その男は、フーテンの寅さんこと、若き日の渥美清だった。


new-york-city
果物のはなし 世界一有名なリンゴ

1700年代後半、
ひとりの若者がカナダの開拓地に移住した。
彼は、森で見つけた野性のリンゴの木を
庭に植えかえて育てることにした。

若者はやがて父になり祖父になり、
たった一本だったリンゴの木もていねいな接ぎ木によって
一族を増やしていった。
いつしかそのリンゴはアメリカでもっともポピュラーな品種になった。

そして1980年、
ひとりのエンジニアが開発中のマシンに
好物のリンゴの名前をつけた。

リンゴの名前は
最初の一本を育てた若者にちなんで
マッキントッシュという。
2012年の今、世界でもっとも有名なリンゴだ。

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熊埜御堂由香 12年9月2日放送


windyboy
果物のはなし 木村秋則のりんご

葉っぱが真っ白になるほどの農薬を散布してこそ、
真っ赤な美味しいりんごが収穫できる。
それがりんご農家の常識だった。

その常識を変えた男、木村秋則(きむらあきのり)。
青森のりんご農家の婿に入り、
農薬散布に疑問を抱いた。
そして試行錯誤をはじめる。
数年収穫はゼロ。
水道代も払えずメモを取るノートも買えない。
死のうと、ひとり入った山で、ふと気づいた。
一滴の農薬も使わない木々が、葉をつけ生きている。
畑の土を山の土と同じようにしよう。

それから木村は畑の雑草を刈ることをやめ
害虫をむやみに殺すことをやめた。
だんだんと畑は元気を取り戻し無農薬栽培を
はじめて9年後に畑いっぱいにりんごの花が咲いた。
畑には野山のような連鎖がおこっていた。
その実は奇跡のりんごとよばれ、評判になった。
木村は愉快そうに言う。

りんごの花は上を向いて咲くのな。
桜の花は下を向いて花見を
するひとのほうを見て咲くでしょ。
リンゴは人間を気にもしてないの。
ちょっと威張っているのな。

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小野麻利江 12年9月2日放送



果物のはなし 大楠道代の水密桃

実り、熟れて、やがて朽ちる。
果実の中には、「死」のイメージが
少なからず見え隠れする。

映画監督・鈴木清順の代表作
『ツィゴイネルワイゼン』は、
果実のそんな側面を、
描写の中に、みごとに取り入れている。

主演女優・大楠道代が、
劇中でむさぼるように桃に齧りつき、

水密桃は腐りかけているときがおいしいの

こう言い放つさまは狂気と幻想をはらみ、
今でも多くの映画ファンの心を、捕えてやまない。

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薄景子 12年9月2日放送



果物のはなし アレックスちゃんのレモネード

その女の子の名前は、アレックスちゃん。
1歳になる2日前に小児ガンが見つかり、
物心つく前からガンと闘ってきた女の子。

アレックスちゃんは、同じ小児ガンと戦う友だちと
ふたりでガンをやっつけようと約束します。
しかしその矢先、友だちの死に直面。
そして、彼女は決意するのです。

「ママ、私、レモネード屋さんやりたい」

売り上げを病院に寄付して、ガンの薬をつくって、
子どもたち、みーんなを元気にしたい。
そんな一心で、自宅の庭でレモネードスタンドをはじめます。

おつりを寄付する人、遠いところから駆け付けてくれる人。
アレックスちゃんの夢を支えたいと、
やがてスタンドはアメリカ全50州に広がり、
病院への寄付金は膨大な額に上りました。

8歳で天国に旅立つまで、ぎりぎりの力を振り絞って
みんなを元気にする夢を追い続けたアレックスちゃん。
そんな彼女が残した言葉。

「人生が、酸っぱいレモンをくれるなら、
 それで甘いレモネードをつくればいい」

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茂木彩海 12年9月2日放送



果物のはなし 角田光代と梨

忙しくなると、めっきり果物を食べなくなる。
バナナのように簡単に皮がむけるものはさておき、
りんごや梨など秋の果物は、冷やしたり、切ったり面倒だ。

梨好きの作家、角田光代は、果物は娯楽であると言いきる。
ごはんや野菜と違って食べなくともなんの支障もない。
だからこそ、果物には、毎日の余裕があらわれる。

角田は言う。
「そんなに駆けまわらず、あくせくせず、優雅に梨の皮を剥きたいものです。」


rocky
果物のなはし 吉本ばななとバナナ

新人文学賞選考委員の中村真一郎は、
なによりもその「途方もない筆名」に驚いたという。

吉本ばなな。

学生のころアルバイトをしていた喫茶店でバナナの花を見かけた彼女は、
その姿、形に一目ぼれ。
「あんなに大きくて変なものがこの世にあるなんて、それだけで嬉しい」

ばななのそんな感性に出会いたくて、
今日も誰かが、彼女の本を手に取るのだろう。

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小野麻利江 12年9月2日放送



果物のはなし 酒井順子のマンゴープリン

日本のサクランボだのみかんだのといった
生娘のような果物は、
束になってかかっても、
マンゴー姐さんのお色気には
太刀打ちできません、という感じ。

『負け犬の遠吠え』をはじめ、
切れ味鋭く軽妙な語り口に定評のある
エッセイスト・酒井順子。
彼女は人間のみならず、果物にも手厳しく、
マンゴーそのものに対して以上に、
マンゴープリンに手厳しい。

本当に美味しいマンゴープリンには、
生のマンゴーを食べる時の喜びを
さらに増幅させたような感動があると、彼女は言う。
そんなマンゴープリンの存在の希少さを
酒井はまた、独特の表現で言い回す。

美味しいマンゴープリンが少ないのは、
本当に美しい大人の女性が少ないのと、同じこと。

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