三國菜恵 13年2月23日放送


Clint Koehler
登場人物たち チャコ(渡辺ペコ『9時から5時までのチャコ』)

漫画家、渡辺ペコの作品『9時から5時までのチャコ』。
そこに登場する主人公の女の子、チャコは、
午後10時、新宿の居酒屋である男性と出会った。

若そうな見た目のサラリーマン。
話をきけば、つい3日前に、奥さんが出て行ってしまったのだという。

チャコもつい1時間前に、好きだった彼にフラれたばかり。
それは、ゆきずりの恋にでも発展しそうなシチュエーションだった。

けれども2人は、ホテルなんかには向かわず、なぜか卓球場へ。
カコッ、カコッ、と無心に球を打っては、ラリーをくり返す。
汗だくになりながら沈黙をシェアし合うのだった。

朝、ふたりは定食屋で
ふわふわな卵焼き定食を長い長い一日のしめくくりに食べ、
電車が動きはじめた駅へ向かう。
ふたりの別れ際のお礼はこんな言葉。
ひとりだったらきっと
ごはん食べる気になんてならなかったと思う

どんな関係であれ、
いっしょにおいしいごはんを食べてくれる人の存在が
人生をすこし、あたためる。

タグ:

«    »

topへ

コメントをどうぞ

CAPTCHA



login