2013 年 10 月 5 日 のアーカイブ

佐藤延夫 13年10月5日放送



あの人の息子 菱川師房

父親は、偉大な芸術家。
その背中を見続けていた息子が、
同じ道を目指す。

そんな光景は、江戸時代にも
もちろんあった。

浮世絵の祖、菱川師宣の息子、菱川師房。

小さいころから浮世絵を教わり、
作風は、師宣の技法を忠実に再現した。

しかし、父と同じような作品は残せても、
父を超えることにはならない。
やがて師房は、筆を捨て、染物屋に転職したという。

親の七光りとは言うけれど、その輝きを維持することは難しい。

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佐藤延夫 13年10月5日放送



あの人の娘 近藤たま

新選組局長、近藤勇は、子煩悩な父親だったそうだ。
一人娘の誕生日に、京都西陣織の帯を贈っている。

その娘の名前を近藤たま、という。

戊辰戦争で父親を失ったとき、たまは6歳。
やがて叔父の家に引き取られ、息子の許嫁となる。
そして長男を出産したあと、25歳の若さでこの世を去ってしまう。

このとき生まれた男の子も日露戦争で命を落とし
近藤勇の直系は途絶えることになる。

戦争はいつも、人の運命を残酷にねじ曲げていく。

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佐藤延夫 13年10月5日放送



あの人の息子 夏目純一

夏目漱石の息子、夏目純一は
小説家を目指さず、音楽の世界へ飛び込んだ。

なにしろ、父親の印税は山ほどある。
ヨーロッパでヴァイオリン学びながら、
休日は貴族と豪遊して過ごしたそうだ。

その後、ヴァイオリニストとして東京交響楽団に参加。
ドイツ語やイタリア語にも堪能で、
通訳としても活躍した。

お金持ちの道楽かと思いきや、
しっかりと自分の居場所を見つけている。

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佐藤延夫 13年10月5日放送



あの人の息子 トーマス・エジソン・アルヴァ・ジュニア

目の前に、絶対に越えられない壁があるとして。
その壁が自分の父親ならば、
息子はどう立ち向かえばいいのだろうか。

たとえばトーマス・エジソンの次男、アルヴァ・ジュニアの人生。

発明王の息子として
周りから甘い言葉を囁かれ、
科学会社を設立する。

詐欺まがいの手口で資金を集めていたところ、
エジソンに告発され、会社は倒産。
そのかわりに、週200万円相当の仕送りをもらう契約を結んだそうだ。

親の甘茶が毒となる。
そもそも息子に、壁なんて見えなかったのかもしれない。

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