2018 年 1 月 28 日 のアーカイブ

熊埜御堂由香 18年1月28日放送

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鍋の話 妹尾河童のピェンロー鍋

舞台美術家の妹尾河童が
中国からレシピを日本に広めた冬の鍋、
それがピェンロー鍋だ。
だし汁でたくさんの白菜と鶏もも肉などを煮込む。
妹尾が教える美味しくなるコツがある。
うーんと寒くなって、白菜がウマクなるまで待つこと。
寒いは、旨い。今夜は鍋にしませんか。

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熊埜御堂由香 18年1月28日放送

180128-02

鍋の話 池波正太郎の小鍋だて

鬼平犯科帳など時代小説の名作を数々残した作家の池波正太郎。
彼は美食家としても知られ、エッセイや小説には
「小鍋だて」という、ひとりかふたりで食する
小さな鍋料理が何度も紹介されている。
実際、江戸時代のひとも火鉢を囲み食べていたという。

池波は言う。

 江戸時代の男女も差し向かいで、小鍋だてをした。
 小鍋だてとは、実に粋な食べ物だ。

雑炊までたどり着かないかも?
と思うほど、具材が詰まった大きな鍋もいいけれど、
誰かとふたりで小さな鍋を囲むのも、最高にあったまる。

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石橋涼子 18年1月28日放送

180128-03
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鍋の話 大人のためのどぜう鍋

江戸時代から庶民に親しまれてきた鍋といえば、
どじょう鍋がある。
うなぎ一匹、どじょう一匹
という古い言葉があるように、どじょうの小さなあの体には
うなぎ一匹に匹敵する栄養が詰まっているらしい。

鍋料理として確立したのは、1800年代、
11代将軍徳川家斉のころだ。
どじょうを捌いて煮込み、卵でとじたものが柳川鍋。
どじょうを酒に漬けて酔わせてからまるごと煮込むのが、
どじょう鍋。

どじょう鍋を考案したのは、浅草にある
駒形どぜう(読みはどじょう)の店主・越後屋助七で、
彼は「ど、じ、よ、う」の4文字が正しい仮名遣いのところ
「ど、ぜ、う」の3文字にしたことでも知られている。
4文字は縁起が悪いから、というのが理由だ。
そのおかげか店は繁盛し、他の店ものれんや看板に
「どぜう」と書くようになったという。

作家の池波正太郎は、どぜう鍋を食べに
数えきれないほど通ったと言うが、
初めて食べたときのことはこう振り返っている。

 何か一人前の大人になったようで、いい気分だったのである

初めてだと戸惑う人も多い見た目のどぜう鍋だが、
大人の料理だと考えると、一層魅力的に見える。

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石橋涼子 18年1月28日放送

180128-04
cyclonebill
鍋の話 小津安二郎のカレーすき焼き

名監督小津安二郎は、食べることが大好きで、
自ら料理もした。時折、撮影後のスタッフに
「カレーすき焼き」なるものを振る舞ったという。

とある女優は
こんなにおいしいものはない
と言ったといい、
とある俳優は
誰がカレーをいれたんだ
と言って怒ったという。

美味しさの真偽のほどは定かではないが、
ぜひ味見させて頂きたい鍋ではないだろうか。

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薄景子 18年1月28日放送

180128-05
Tiberiu Ana
鍋の話 ヨーロッパの諺

ヨーロッパの諺にこんな言葉がある。

 見つめる鍋はなかなか煮えない。

まだかまだかと蓋をあければ
煮えきらない肉や魚が顔を出す。
しかしその間、小鉢の一品でも仕込めば
気づいた頃には火が通り、
美味しいおまけもついてくる。

この言葉は、人生にも当てはまりそうだ。

待ち合わせに遅れた相手に苛立ち
何度も時計を見れば、1分が1時間に感じられ、
その間、本でも読みだせば、待ち時間はあっという間だ。

或いは、いいアイデアはないかないかと
焦るほど何も思い浮かばず、
あきらめて散歩でもはじめると、
ふらりと閃きが降りてくることもある。

待つことは、そのことだけに意識を向けること。
それは、時によけいな力みや執着を
生み出してしまうのかもしれない。

鍋はじっくりコトコト放っておくのがいちばん。
その間、別のことに集中しすぎて、煮えすぎには注意したい。

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小野麻利江 18年1月28日放送

180128-06
Daremoshiranai
鍋の話 中国の火鍋

お隣の国、中国でポピュラーな鍋料理といえば、
唐辛子が入った「火鍋」。

具材や調理法は地域によってさまざまで、
たとえば、北京より北の地方では、
食材の並べ方にも決まりがある。
鍋の手前に鳥の肉。後ろに動物の肉。
左に魚、右にエビを入れて、野菜を散らす。

さらに、招かれざる客が来た時は、
鍋の手前に、特大の肉団子を入れるそうだ。

鍋を囲むと、人と人の距離は
縮まっていくものだが、
「早く帰れ」と、人を遠ざける鍋もある。

鍋の世界は、鍋の底よりも深い。

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茂木彩海 18年1月28日放送

180128-07
yoppy
鍋の話 宵から食べる宵夜鍋

ホウレンソウと豚肉を鍋に入れて
醤油かポン酢でいただく。

あまりに簡単すぎて料理店では出ることの無い
「宵夜鍋(じょうやなべ)」。

「宵夜鍋」の「じょう」には毎日食べられるという意味で「常(つね)」
という漢字を当てるのが一般的だが、
かの食通、魯山人の著書では、宵のうちから食べ始めても夜じゅう
食べ続けてしまうことから、「宵(よい)」の漢字を当てている。

いいかね、料理は悟ることだよ、拵(こしら)えることではないんだ。

魯山人が言うように、
丁寧に作られたものよりも、シンプルで素朴な味付けが、
時に究極のレシピとなるのだろう。

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茂木彩海 18年1月28日放送

180128-08
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鍋の話 韋駄天コタツの豆乳鍋

森見登美彦の小説の中には
常軌を逸したモノが入った闇鍋や、
とてつもなく辛いのに綿入れを着ながら食べなければならない火鍋など
個性的な鍋が数多く登場する。

ベストセラーとなった小説
「夜は短し歩けよ乙女」の作中には
屋外で通りがかる人を炬燵に誘い、豆乳鍋を無許可でふるまう
「韋駄天コタツ」と呼ばれる神出鬼没な集団が描かれる。

この韋駄天コタツ、実はその昔
京都大学に実在したと言われている。

寒空の下こたつに入って食べる豆乳鍋とは、どんなものか。
そのやさしい味を、いつか味わってみたいものだ。

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