2019 年 1 月 のアーカイブ

藤本宗将 19年1月26日放送


preetamrai
発酵食品 豆腐餻と泡盛

沖縄独特の発酵食品といえば
「豆腐餻(とうふよう)」。
琉球王朝時代から代々伝えられてきた珍味で、
沖縄では泡盛を飲みながら、
箸や楊枝で少量ずつそいでゆっくり味わう。
その風味はエダムチーズのようだとも、
ウニのようだともいわれる。

つくりかたはシンプルで、島豆腐を
麹と塩、そして泡盛で漬けておくだけ。
麹菌による発酵に適した環境は
25~30℃の温度と高めの湿度だが、
それがまさに沖縄の気候というわけだ。

もちろん雑菌も増えやすい環境ではあるが、
そこで活躍するのが豆腐を漬ける泡盛。
高いアルコール度数で腐敗を防いでくれている。

泡盛があるから豆腐餻ができる。
豆腐餻があるから泡盛がうまい。
ふたつの発酵食品は、
沖縄が育んだ最高のコンビなのだ。

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仲澤南 19年1月26日放送


FoodCraftLab
発酵食品 テンペと納豆

インドネシアの納豆とも呼ばれる、テンペ。
日本の納豆と同じように作り方はシンプルで、
火を通した大豆に菌を付着させ、
発酵させることで作られる。

しかし同じ大豆で、似た工程を経て作られる
発酵食品であるにもかかわらず、
テンペと納豆では見た目や味がかなり異なる。
納豆が茶色く、糸を引く強い粘りと
強烈な匂いを持つのに対し、
テンペはクリーム色のブロック状に固まっていて粘りはなく、
味や匂いも淡白だ。

この違いを生んだのは、
それぞれが誕生した環境。
藁が敷き詰められた日本の住居では、
稲の藁に付着している納豆菌が、
赤道直下のインドネシアでは、
ハイビスカスやバナナの葉に付着しているテンペ菌が、
それぞれ大豆に働きかけたのである。

同じ大豆の発酵でも、その環境や働く菌の違いによって
まったく別の食べ物が生まれる。
発酵は、食べ物の可能性を想像以上に広げてくれるのだ。

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福宿桃香 19年1月26日放送



発酵食品 チョコレート

納豆、チーズ、キムチ…
そんな発酵食品の定番と並んで、
チョコレートもその一つであることをご存知だろうか?

そのレシピは次のとおり。
まずカカオ豆を果肉ごとバナナの葉や皮で包み、置いておく。
すると、微生物の力で発酵が徐々に進み、
カカオ豆は50℃以上にまで発熱。
乳酸菌や酢酸菌が活発に動き、甘み成分やアミノ酸が生成される。
6日ほど発酵させたら、豆を乾燥させ、すり潰し、
私たちが良く知るチョコレートの形に完成させるのだ。

なんとチョコレートの味も、この発酵期間が左右する。
発酵が短いと酸味が強まり、
長すぎたものは、納豆のような出来上がりに。
数時間の違いでこれほど差が出るなんて、
発酵の世界はシビアである。

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澁江俊一 19年1月20日放送

190120-01

元号の漢字

今年は新たな元号が始まる年。

大化から平成まで
247もの元号が
日本の時代を彩ってきた。

だが元号に使われた漢字は
繰り返しも多く意外に少ない。
その数わずか72文字。

元号にもっとも多く
使われた漢字ベスト3。
2位と3位はともに27回で、
元気の「元」と、天下の「天」。

そして1位は
29回も使われた永遠の「永」。
古の人々も永く変わらぬ平和への願いを
この文字に込めたのか。

「元」「天」「永」
どれも明治以降、使われていない。
さて、次に選ばれる文字は何だろう。

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澁江俊一 19年1月20日放送

190120-02

信長と天正

今年は新たな元号が始まる年。

元号には、
その時代を生きる人々の
想いや願いが込められる。

西暦1573年。
織田信長は足利義昭を追放して
改元を朝廷に働きかけた。
その時いくつかの候補から
選んだといわれる元号は
天下の天に正しいと書いて天正(てんしょう)。

長く続く戦乱の時代に
天下を正そうとした
信長の意志を感じさせる元号である。

およそ20年間続いた天正時代。
しかし信長は天正半ばにして
本能寺の変により世を去る。

天下を正すという
信長の夢は幻となったが、
秀吉、そして家康へ
その意志は見事に受け継がれた。

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澁江俊一 19年1月20日放送

190120-03

元号の寿命

今年は新たな元号が始まる年。

日本の歴史上、
一番長く続いた元号をご存じだろうか?
正解は「昭和」。
64年を数えたのは、
世界で最も長い記録でもある。

反対に最も短いのは
わずか2か月と14日。
こよみの「暦(れき)」に、
にんべんに漢数字の二の「仁(にん)」で
「暦仁(りゃくにん)」という
鎌倉時代の元号だ。

その音の響きから
「人が省略される」などと風評がたち、
たちまち改元されてしまった。

多くの元号は3年もたずに
終わってしまうものが多かった。
天変地異や疫病などが起こると
しょっちゅう改元が行われた。

今年始まる新元号は
どうか、なるべく長く続くきますように。

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澁江俊一 19年1月20日放送

190120-04

元号を選んだ国

今年は新たな元号が始まる年。

かつては中国や朝鮮半島、ベトナムでも
それぞれの元号が使われていた。
しかし今、元号を使用している国は
世界でも日本だけになった。

元号は決して便利なものではない。
使いやすさなら西暦がまさるだろう。
それでも日本は元号を使い続ける道を選んだ。

大化の改新、応仁の乱、
元禄文化、明治維新など…
歴史上の出来事を
元号と深く結びつけて語り継いできた日本。

元号はいわば日本にとっての
豊かな歴史の象徴なのだ。

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田中真輝 19年1月20日放送

190120-05
Paul Mannix
改元リスク

今年は新たな元号が始まる年。

改元にあたって、2000年問題が頭をよぎった人々が
エンジニアを中心に少なくないようだ。

当時、稼働していたコンピューターシステムの多くが
西暦の下二桁のみしか記録されていなかったため
2000年になった瞬間に誤作動を起こす可能性がある、
ということで多くのエンジニアが対応に追われた
この問題。
蓋を開けてみると大きなトラブルもなく終わり、
今回の改元についても、大手企業からは対応可能との
発表もなされているようだ。

とは言うものの、今回もシステムの不測の事態に
対応すべく多くの人々が稼働することは間違いない。
新たな時代を無事迎えられる背景には
そうした無数の尽力があることも忘れてはならない。

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田中真輝 19年1月20日放送

190120-06

幻の元号

今年は新たな元号が始まる年。

長い元号の歴史の中で、幻の元号なるものが
あるのをご存じだろうか。
その元号とは「光文」。

西暦1926年12月25日午前1時25分、大正天皇崩御。
各社が天皇崩御を報じる朝刊を発行する一方、
東京日日新聞号外には「元号は光文」の文字が。

あまりの情報の早さに人々が仰天する中、
正式発表された元号は、なんと「昭和」。
世紀の大スクープは、一点、世紀の大誤報となる。

果たして誤った情報だったのか、それとも情報漏洩を
知った政府が急遽元号を変更したのか、その辺りの
事実は定かではない。

時代が下り、東京日日新聞は毎日新聞と名を変える。
その毎日新聞が、昭和からの改元の際、小渕長官の
発表の30分以上も前に「新元号は平成」と報じたのは
時代を超えてその雪辱を果たさんとした
記者魂だったのかもしれない。

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田中真輝 19年1月20日放送

190120-07

予想合戦

今年は新たな元号が始まる年。

ネット上では早くも新元号の予想合戦が過熱している。
明治、大正、昭和、平成の表記として頭文字の
アルファベットM、T、S、Hが広く使われているため、
それ以外の文字が頭にくる元号になるだろう、
という予想が大勢を占める中、安心の「安」に「久しい」
と書く「安久」ではないか、との声が下馬評では
優勢であるらしい。

「生前退位」によって、元号予想のタブー感が薄れたことも
予想合戦に拍車をかけているようだが、
いずれの候補にもにじみ出ているのは、
先の読みにくい未来が、できるだけ穏やかであって
欲しいという人々の切なる願いである。

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