小野麻利江 19年6月30日放送



半分のはなし スタンダールの恋と情熱

僕の魂は、もし燃え上がらなければ苦しむ業火なのです。

フランスの小説家・スタンダール。
『赤と黒』の作者として知られる彼の生涯は、
いくつもの情熱で彩られていた。

7歳の時に失った、母への渇愛。
ナポレオンへの、心酔。
そのナポレオンの遠征軍に参加し
ミラノの土を踏んだことで、
イタリア人のような生き方に傾倒したこと。
女優から人妻に至るまでの、数々の恋愛。
そして、ミラノでの
マチルデ・デンボウスキとの実らぬ恋…

憧れと絶望を繰り返しながらも、
スタンダールは生きて、書いて、そして愛した。
彼は、こんなことも言っている。

 情熱を持って恋したことのない人間には、
 人生の半分、それも美しいほうの半分が隠されている

美しいほうの半分も、醜いほうの半分も。
知りつくした作家だからこそ、
作品たちは、今も色あせない輝きを放っている。

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