2019 年 11 月 30 日 のアーカイブ

名雪祐平 19年11月30日放送



水があふれる  ヤマタノオロチ

それはそれは大きな蛇がいた。

八つの頭、
八つの尾っぽ、
赤い目玉。

日本神話に登場する巨大生物、
ヤマタノオロチ(八岐大蛇)。

いま出雲地方を流れる斐伊川こそ、
ヤマタノオロチと伝わる。

古来より大洪水をくりかえし、
暴れ狂う様子が大蛇に例えられ、
神話となった。

川は蛇。
そして、あなたの家にも忍び込んでいる。

ほら、蛇口。

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名雪祐平 19年11月30日放送



水があふれる  禹王

いま日本で、
ある記念碑がつぎつぎ見つかっている。

禹王の碑。

禹王とは、紀元前2100年頃の
中国の皇帝であり、
大洪水をふせいだ英雄。

泥の中を這いずり回って
脛の毛がすべて抜けるほど
治水に苦心したと伝わる。

その禹王の史跡が、
いま日本全国に124か所。
どれもが洪水のあった
暴れ川のそばに立つ。

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名雪祐平 19年11月30日放送


© 国土画像情報
水があふれる  信玄堤

武田信玄の旗には、風林火山。
その四文字に、水はないが。

今年襲った猛烈な台風19号から
甲府盆地西部を守ったのは、
450年前に信玄が築いた「信玄堤」だった。

信玄堤は、あえて堤防に
隙間を造るという逆転の発想。

じわっと水をあふれさせ、
台風が過ぎ去れば
再び隙間から川に戻っていく。

信玄は知っていた。
この世に決壊しない堤防などない。
人間は、自然の力を
完璧に抑え込めるはずがないことを。

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名雪祐平 19年11月30日放送



水があふれる  腹が減っては

田んぼがほしい。

戦に出かける
兵に食べさせる米を作る
田んぼがほしい。

田んぼには、水がいる。

こうやって、日本の土木技術は
戦国時代に飛躍的に進んだ。

なかでも加藤清正は
「土木の神様」といわれるほど。

田んぼに水を引くための
堰や用水路を数多く整備。

阿蘇山からの水は、
田んぼから地下に浸透し、
良質な地下水を育んだ。

いまでも熊本市民の水源は
100%地下水でまかなわれている。

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名雪祐平 19年11月30日放送


tokyoform
水があふれる  水戦争

牛丼一杯つくるために
使う水の量は?

2400リットル。

牛の飼育から、米・玉ねぎの収穫、
原材料製造、調理まで、
お風呂の湯船10杯ほどの水がなければ
牛丼も食べられない。

水不足。
石油のように、いつか水の利権を奪い合う
戦争になるかもしれない。

日本は、じつは牛丼のように
仮想される水の輸入大国。

きょうも、世界中の水を飲んでいる、
あなた。

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