2020 年 5 月 9 日 のアーカイブ

長谷川智子 20年5月9日放送



上野公園を作った医師

明治6年、154年前の今日5月9日は、上野公園が開設された日。
戊辰戦争で焼け野原になった上野の山には、
病院が作られることになっていた。

異を唱えたのは、オランダ人医師、アントニウス・ボードウィン。
東京の近代化にやっきになっていた明治政府に、
豊かな自然を失くしてはいけないと進言する。

今、その恩恵を享受する人々を見て、
ボードワンは喜んでいるだろう。

噴水の西側、緑あふれる林の中に
その銅像はたたずんでいる。

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長谷川智子 20年5月9日放送



上野公園を作った医師の銅像

明治6年の今日5月9日は、上野公園が開設された日。

自然を残し公園にせよ、と進言した
オランダ人医師、アントニウス・ボードウィン。
その功績をたたえ1972年に作られた銅像は、
2006年に作りなおされている。

新旧の銅像はまるで別人。あごひげもなくなった。

最初の銅像は、
手違いで、彼の弟の写真をもとに作ってしまったのだ

弟のアルベルトゥス・ボードウィンは、オランダ駐日大使。
日本の新時代を支えてくれた兄弟だった。

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長谷川智子 20年5月9日放送



上野公園と森鴎外

今日5月9日は、上野公園が開設された日。

上野動物園の裏手には、
新婚の森鴎外が住んだ家が残る。

結婚の直前、
留学先のドイツから追ってきた恋人と別れさせられている。
事件を素材にした、処女小説「舞姫」は上野の家で執筆された。

新婚家庭で、別れた恋人を思い浮かべ筆をとる夫。
見守る妻の心はいかばかりか。
理由は定かではないが、
わずか1年半で離婚する。

鴎外にとって
上野公園は、ほろ苦い思い出の地であろう。

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長谷川智子 20年5月9日放送



上野公園と夏目漱石

今日5月9日は、上野公園が開設された日。

「二人は別にいくところもなかったので、
 (竜岡町から池之端へ出て)上野の公園の中に入りました」

夏目漱石 こころ。
恋のライバルKを自殺に追い込む冷たいことばを
主人公が投げつける、クライマックス。
その舞台が冬の不忍池。
褐色の杉木立と人気のない池が、
主人公のこころのごとく寒気を誘う。

一方、今、初夏の不忍池は新緑に包まれている。
夏がくれば蓮の花が池を彩る。見ごろは早朝。

都会の真ん中に、
さまざまな顔を見せる豊かな自然がある。

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長谷川智子 20年5月9日放送



上野公園の大楠

今日5月9日は、上野公園が開設された日。

上野東照宮のご神木、
大楠は幹の太さ8メートルで上野公園最大。
樹齢は600年。

明治6年、上野公園ができたときも
江戸のはじめ上野東照宮に徳川家康がまつられたときも
数々の戦争や災害のときも、
大楠はそこにあり、人の営みを見つめてきた。

英語でcamphor tree
樹液はカンフル剤に使われたこともある。

上野の山の大楠は、
どんなときも気力を回復させる力を
東京の人に与えてきたのだろう

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