ふきのとうについて考える。
ふきのとうのことを書いてくれ、と言われたので書きます。
ふきのとう…。自分の人生とはあんまり関係ない。
食べないか、と言われたら、食べる。
春だね〜とか言いながら。ちょっと苦いとこが人生ポイねとか…
さすがにそんなことは言わないけど、まあ美味しく食べる。
子どもはこんなもん食わんだろうと思う。
苦いからな。自分も子どもの頃は好きではなかった。
なんで大人になると、うまいって思うんだろうねーとか言いながら食う。
酒があるからかな?とか思っているが、口には出さない。
そう言えば、酒と言えば梅酒のソーダ割りしか飲まないあいつは、
あんまり苦いものは食べないような気がするなあ。
…いかんいかん。飲みながらだと話が酒から離れられない。
気を取り直して。ふきのとうのいいところを考えてみる。
春が近づいてるイメージが85%。
とか言いながら実はまだまだ寒いんだけどな…を23%含む。
寒いとこにちょこっと見える春がみんなは好きみたいだ。
だよな。実はふきのとうのイメージは冬だ。
もっと正確に言うと、まだ春が来てない季節。
それがみんな好きなのかもしれない。
「春の予感」という歌があって「秋の気配」という歌がある。
春の訪れは待ってる中にやってくる。
秋は気がつくとそこにいるってことだな。
「恋の予感」って歌があって「別れの気配」って歌がある。
恋は春で、別れは秋なんだな。なんかうまく出来ている。
いかんいかん。
どうも飲んでて、店に安い歌謡曲なんかかかってると
どんどん話が逸れていってしまう。
ふきのとうのいいところ。残りの15%は名前だ。
おいおいそれで100%になっちゃうわけ?と言われそうだが、
なっちゃうんだな〜。
ふきのとうは漢字じゃ書かない普通。
それはもちろん難しいから…なんだけど、
ひらかなで書くところに、なんかいい感じが生まれてる。
ひらかな5文字ってのは曲者で、
日本語のいい感じの言葉にはひらかな5文字が多い。
ありがとうとか、さようならとか。たぶん優しい響きがいいんだと思う。
リズムが平板で、跳ねたりしない。
初めて会ったのに、お、こいついい奴だな、というリズム。
特徴としては、5文字それぞれが独立している。
隣の文字に寄りかかったりしていない。
そういう言葉を日本人は好きなんだな。
んでこの5文字がまた地味で。
そもそも「ふき」って地味だよね。
明治の終わりに、ふき、という名の少女が
その後の動乱の時代をたくましく生きて立派な人になったっていう
朝ドラ作れるくらい地味。
そのベースがあるから
ふきのとうの「その中の花んとこ」って感じがいいんだと思う。
さっきの冬の中の春っていう理屈と同じ。
5つの文字がそれぞれ独立してるから、
じっと見てるとどこで切るのかわかんなくなる。
ゲシュタルト崩壊ぽい感じ。
ふきの、とう。ふ、きのとう。
ふきのさんが、「トゥッ」ってジャンプしたり、
フッと気の遠くなることがあったり、
文字の並びにあんまり意味がないから、
応用範囲が広いって言うかイメージが広がりやすい。
癖がないんだね。
ふきを「帰ってこないの不帰」とうを「高い塔」だと考えると、
…『あの戦争のあと、世界中が冬に包まれた。
そんな中、帰らぬ人を待つ岬の高い塔を人は
「不帰の塔」と呼ぶようになった。』
…という出だしのSFも書けるね。
いかんいかん。飲んでるとなんでもできるような気になるけど、
どうせ出だししか書けないんだよいつも。
…そろそろまとめないと。
でも自分が酔っ払ってまとまんない今の状況を考えると、
まとまるとは思えないわ。
冬眠してた熊が、目を覚まして最初に食べるのが、
ふきのとうなんだってね。
そんときお酒もあるといいのにね〜。
あ、やっぱりまとまんなかったね。
もう一杯飲んでから帰ります。読み返さないね。んじゃ
出演者情報:遠藤守哉 青二プロダクション http://www.aoni.co.jp/