2009 年 12 月 12 日 のアーカイブ

小山佳奈 09年12月12日放送

01-takata

高田渡 息子

もしも子どもができたとしたら
何をしてあげよう。

フォーク史上最高のシンガーであり、
最高の酔っぱらい、高田渡。

彼は息子に歌を贈った。

 「見えるものはみんな人のものだよ
 見えないものはぼくらのものだよ」

いま、息子の高田漣は
父と同じくギターを弾いている。

見えなくてかけがえのないものを
たしかに奏でている。

02-takada02

高田渡 反骨

本当の反骨精神とは何だろう。

フォーク史上最高のシンガーであり、
最高の酔っぱらい、高田渡。

反体制をこれみよがしに
カメラの前で叫ぶ人々を横目に
高田は歌った。

 「自衛隊に入ろう
 自衛隊に入れば この世は天国
 男の中の男はみんな
 自衛隊に入って 花と散る」

一級の皮肉は
何よりも雄弁だ。

03-takada03

「高田渡 寂しさ」

フォーク史上最高のシンガーであり、
最高の酔っぱらい、高田渡。

寂しがりやの彼は
ツアーに出ても落ち着かず。
吉祥寺に帰ってきては
朝まで仲間とくだを巻く。

そのお酒が彼の体をむしばんで
ついにはどうにもならなくなっても
彼はやっぱり仲間を誘いつづけた。

そんな高田渡の歌は
やさしくて、
やっぱり少し寂しい。

 「歩き疲れては 夜空と陸との
 隙間にもぐり込んで
 草に埋もれては 寝たのです
 所かまわず 寝たのです」

04-janis

「ジャニス・ジョプリン」

ロックの女王、
ジャニス・ジョプリン。

彼女は27年の短い人生にたくさんの恋をした。
しかし本当に愛したのは最後の恋人だけ。

世界を放浪する恋人に何通も手紙を書く。
しかしその手紙はいつも国境ですれちがい
彼が受け取ることはなかった。

雑誌でジャニスの死を知った彼は
レコード屋で彼女の最後の新曲を聴き
さめざめと泣いた。

 「Cry baby, cry baby, cry baby,
 Honey, welcome back home.」

帰ってきて。

たったそれだけの言葉が
届かなかった。

それが、
女王という称号への代償だとしたら、
世界は悲しすぎる。

05-love

「コートニー・ラブ」

ラブという名前を持ちながら、
愛で人を救えなかった女性。

コートニー・ラブ。

夫のカート・コバーンは
カリスマの重圧に耐えきれず
ドラッグに溺れ自ら命を絶った。

コートニーは歌う。

 「もしあなたが私と一緒に
 この世界を生きてくれるというのなら
 あなたのために死んであげる。」

その覚悟は
たしかに本物だったはずなのに。

神様は人間に、
どれほどの愛を要求すればいいんだ。

06-17

「ジャニス・イアン」

ジャニス・イアン、
「at seventeen」。

「美人でもなく醜い私は
 他の人へのうらやましさで一杯になりながら、
 たった1人だけで愛の語らいをつぶやく、
 そんな17歳でした。」

自分のすべてが足りなくて
自分のすべてが腹立たしくて。

年を重ね、
たいていのものは
受け入れてしまえるようになった今、
ときどきあの頃に戻ってみたいと思う。

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