2012 年 4 月 14 日 のアーカイブ

小宮由美子 12年4月14日放送


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母は教えてくれる① レディ・ガガの母

レディ・ガガがティーンエイジャーだった頃。
周囲から受け入れられずにいじめにあっていたとき、
その個性を肯定し、勇気づけたのは母だった。

子どもの頃 ママはこう言った
「誰もがみんな、生まれたときからスーパースターなのよ」
鏡の前で私の髪を巻いて、口紅を塗ってくれて、こうも言った。
「ありのままの自分を愛しなさい。
神様はあなたを完璧に創った。だから前を向いて、進むのよ」

(『Born This Way』歌詞)

レディ・ガガを支えた母の言葉。
それが、娘であるレディ・ガガのメッセージになり、
今、世界中の、さまざまな人たちの心に響いている。



母は教えてくれる② エジソンの母

父親は彼を、出来の悪い息子だと決め込んだ。
小学校の校長は、彼をおかしな子どもだと言った。
母親だけが、そんな周囲の決めつけを拒んだ。
彼女は息子の風変わりな個性をみとめて、
その個性をさらに伸ばそうと務めた。
そして、息子は努力をした。
「天才とは、99%の努力と、1%のインスピレーション」
という言葉を残すほどに。
彼の名は、発明家トーマス・アルバ・エジソン。

エジソンは、後年になって、
「私をつくりあげたのは、母だった」と回想している。
「(かつて私は)自分が母にとって価値ある人間であることを知り、
 その信頼が間違いではないことを示そうと決心したのだ」



母は教えてくれる③ 小椋冬美の描く母

漫画家・小椋冬美の作品に登場する
炒り卵と紅生姜が入ったおにぎり。

それは、小椋が小さい頃に、
母親が実際に作って食べさせてくれたおにぎりだった。
「具としては変わっていたけど、おいしかった」
あとがきに小椋が書いている。

レストランでは食べられない、お店でも売っていない、
そんな母の味は、いつまでも恋しい。



母は教えてくれる④ ぺネロペ・クルスの母

スペインの女優、ぺネロペ・クルスが
演技に興味を持つようになったきっかけは、母親の仕事にあった。
ぺネロペは学校から帰ると、母の経営する美容室で時間を過ごした。
「変身したい、自分の理想像に近づきたい、そう思って
やってくる女性たち」。「そのほとんどが何かしらの役を
演じている」
ように幼いぺネロペには見えた。
子どものこと。親のこと。結婚。離婚。浮気。不安。
彼女たちがさまざまなことについて語り合い、秘密を共有しあうのを、
ぺネロペは精一杯の注意を向けて観察していた。
宿題をするふりをしながら。

母をとおして見える世界が、娘を、役者の道へと駆り立てた。
ぺネロペは言う。
「この母親の美容室こそが、私にとって最高の演劇学校だった」



母は教えてくれる⑤ 白洲正子

日本がアメリカ軍に占領されていた時代。
あるアメリカ人将校の家のパーティーに白洲桂子は
母・白洲正子とともに招かれた。
まわりの雰囲気に圧倒される桂子をよそに、
異国の人々に溶け込み、楽しそうに談笑する英語堪能な正子。

やがて、子どもたちにプレゼントが配られ、
桂子は見た事もない美しい人形をもらった。だが
突然、金髪の青い目の少女が何か言いながら人形をひったくり、
桂子に違う包みを押し付けた。包みの中には、猫の人形。
あの人形のほうがよかったのに。
桂子は助けをもとめる視線を送ったが、母・正子は気づかない。

家に帰り、娘が泣きながら話すのを聞いて、
白洲正子は慰めるどころか、怒り狂った。
「自分が欲しいと思ったら絶対に手放してはいけない。
なぜ取り返してこなかった、それはお前が悪い」

英語でわからなかった、と娘が言うと、
「日本語や英語の問題ではない、意志の弱さが問題だ」とも。

桂子は、今でも家に飾っている猫の人形を見るたびに、見た事もない
怖い顔をして怒った母・正子を思い出し、その教えを噛み締める。
「自分が手に入れたい物は天から降っては来ないのだ」と。


ari_taka
母は教えてくれる⑥ 舟越保武

「私は幼いときに母を亡くしているので、母の顔を覚えていない。
近頃になって、しきりに母の面影を追い求めていることに
気がつき出した。年をとったせいだろう」

彫刻家・舟越保武は、晩年、聖女の像をよく彫った。
優しく、若く、美しい。
夢の中で見る母が、創作の源になった。

そばにいても、そばにいなくとも、
人が生まれ、還っていく場所。とくべつな存在であり続ける、「母」。


かずっち
母は教えてくれる⑦ 夏目雅子の母

「あなたは何様じゃないんだから(仕事には)電車で通いなさい」

すでに女優として有名だった夏目雅子に、母はそう言った。
そして、夏目雅子はその一言をずっと守り続けた。

「電車の中で見かける人たちの話や仕草が
仕事でとても役に立った。ママ、ありがとう」

のちに、雅子はそう言った。
母は子どもに教えてくれる。いつも、たくさんのことを。


Spicks & Specks
母は教えてくれる⑧ クルム伊達公子の母

テニスプレーヤー、クルム伊達公子。
子どもの頃、試合を応援に来てくれた母を気が散るからと、
試合前に追い返したことがあった。母はそれでも娘を責めることなく、
むしろ気遣って、その気持ちを理解した。
自己主張も負けん気もしかたない。それでこそ世界を目指せると。

「母と私はよく似ている。タフで、行動力があって、負けず嫌い」
伊達自身がそう形容する母は、今でも欠かさず、
復活した伊達の試合を応援に来る。
その母を、もう昔のように追い返すことはない。
家族に感謝し、胸を張って、今の姿を見てもらえる自信があるから。
そう、伊達は言う。

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