2018 年 10 月 27 日 のアーカイブ

福宿桃香 18年10月27日放送

181027-01

文字の日「ひらがな」

平安時代。
1日に何通も恋文を書いていた女性たちは、
徐々に漢字を省略して書くようになっていく。
草書体をさらに崩した、やわらかく流れる丸い文字 ―
こうして生まれたのが、ひらがなである。

オリンピックを控えた今、ひらがなは再び注目を集めており、
今年の春にはひらがなを擬人化したアニメまで制作された。
誕生からおよそ1000年が経っても、
かわいらしい46種の文字は私たちを魅了し続ける。

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福宿桃香 18年10月27日放送

181027-02

文字の日「カタカナ」

ひらがなと同じく漢字を崩して生まれたカタカナ。
そのカタカナを日本語の中心としよう
という動きがあったことはご存知だろうか?

大正9年に設立されたカナモジカイは、
当時小学校で習う漢字が1356字あったのに対し
実際に覚えられるのは600字程度であることを突き止めた。
そこで、習う漢字の制限の他、
駅名や公的文書のカタカナ化を訴えたのだ。

ワープロ等の普及により漢字の読み書きが容易くなり、
運動は自然と下火になったが、
漢字の数がへらされなかったのはすこし残念である。

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藤本宗将 18年10月27日放送

181027-03

文字の日「チェロキー語」

アメリカ先住民族のチェロキー族に、
シクウォイアという銀細工師がいた。

白人と交流があった彼は
「文字」という概念に触れ、感銘を受ける。
そしてめざしたのは、
文字を持たないチェロキー語の
読み書きを可能にすること。

苦労の末に完成したのが
85文字の「チェロキー文字」。

形はアルファベットやアラビア数字にも似ているが、
表す音はまったく違う。
シクウォイアは既存の文字を参考にしたが、
それらを理解することはできなかったためだ。

ひとりの力で民族に文字体系をもたらす。
後にも先にも例のない偉業である。

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永久眞規 18年10月27日放送

181027-04

文字の日「絵文字」

世界最古の文字、と言ったら
何を思い浮かべるだろうか。
エジプトのヒエログリフ?メソポタミアの楔形文字?
諸説あるが、中部イラクのウルク遺跡から
発掘されたシュメール文字が特に有力だ。

シュメール文字が使われていたのは、
紀元前3500年ごろで、紙もまだない時代だ。
ウルク遺跡から発掘されたシュメール文字も、
粘土板に刻まれていた。
そこには魚や人、記号などが並んでいて、
まるで絵のような、見ていて楽しいものだった。

そして、それから5000年以上たった現代。
世界中の人々がチャットやSNSで使っているのは、
笑った顔や怒り顔など、かわいい絵文字たち。

今や国や文化を超えても共通で使われ
非常に親しまれている「絵文字」の歴史は、
思ったよりずっと長いものかもしれない。

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永久眞規 18年10月27日放送

181027-05
©️ Christophe MOUSTIER
文字の日「点字」

指先の感覚で読む、
視覚障害者のための文字「点字」。
その起源は、思いも寄らないところにある。

1819年フランス。当時砲兵大尉だった
シャルル・バルビエ・ド・ラ・セール。
彼は、明かりがない夜でも
兵士たちに正確に命令を伝達するため
「夜間文字」という暗号を開発した。

それは、厚紙に点を浮かびあがらせ、
12の点で音節や発音、単語を表すというもの。

そして、それが後にパリの盲学校で改良され、
「点字」として広く普及していくことになる。

後世に残るような発明は、
意外と当初の目的とは少し違うところで
重宝されているのかもしれない。

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