2020 年 8 月 のアーカイブ

佐藤日登美 20年8月9日放送


nauleyco
映画音楽  ひこうき雲

ジブリ映画、『風立ちぬ』。
大正時代の日本、堀越二郎は美しい飛行機をつくることを夢見ていた。
やがて国は戦争へと突入し、彼は戦闘機・零戦を設計することとなる…。

映画制作中、宮崎駿監督と鈴木敏夫プロデュサーが集う部屋に、
ある曲が流れてきた。
絵コンテに追い込まれていた監督は、
その歌を聴いて人知れず涙を流したという。

それが、松任谷由実の「ひこうき雲」。
『風立ちぬ』の主題歌となる曲である。

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蛭田瑞穂 20年8月9日放送


Olivier Strecker
映画音楽  エンニオ・モリコーネ1

映画音楽の巨匠、エンニオ・モリコーネが先月、91歳で逝去した。

『夕陽のガンマン』
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』
『ニュー・シネマ・パラダイス』
『海の上のピアニスト』
『ヘイトフル・エイト』

60年以上に及ぶキャリアを通じ、
600を越えるオリジナル楽曲を手がけてきたエンニオ・モリコーネ。

彼がこの世を去っても、その魂は人々の心の中で響き続ける。

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蛭田瑞穂 20年8月9日放送


breatheoutnow
映画音楽  エンニオ・モリコーネ2

映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネの「Chi Mai」は
1971年に公開された映画『Maddalena』のためにつくられた。

映画自体はヒットせず、日本では公開されることもなかった。

しかし、「Chi Mai」はその後、数々の映画やドラマに使用され、
映画音楽史に残る作品となった。

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森由里佳 20年8月9日放送


Haags Uitburo
映画音楽  ヒドゥル・グドナドッティル

第92回アカデミー賞で、映画「ジョーカー」が作曲賞を受賞した。

作曲したのは、アイスランド人の女性チェリスト
ヒドゥル・グドナドッティル。
人間の複雑な内面を捉えたサウンドトラックは見事なもので、
主演のホアキン・フェニックスが、
役作りのターニングポイントになったと明言しているほどだ。

実は彼女は、撮影前にすべてのスコアを仕上げていた。
セットや衣装をまとった俳優たちを目にする前から、
彼女には、監督と同じ「ジョーカー」の世界が見えていたのだ。
ヒドゥルは受賞スピーチでこう語る。

映画作曲家の創造性は、監督との対話によってのみ生まれます。

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森由里佳 20年8月9日放送



映画音楽  ハートビート

映画音楽は、しばしば、映画よりも愛される。

その証拠に、音楽そのものは、
テレビやウェブでBGMとして登場することはもちろん、
街なかのカフェで流れたり、
フィギュアスケートやダンスなどの身体表現の創作を支えたり、
一人ひとりのスマートフォンに入っていることもある。

ジェームズキャメロン監督は、映画音楽についてこう話している。

映画音楽は、映画の鼓動なんだ。

時と共に、忘れられていく物語もある。
それでも、その映画音楽が脈うつ限り、
映画は生きつづけられるのだ。

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星合摩美 20年8月9日放送



映画音楽  星に願いを

ディズニー史上初の、アカデミー歌曲賞を受賞した映画「ピノキオ」。
主題歌「星に願いを」は、しっとりとしたロマンチックな名曲だ。

劇中でこの歌を歌うのは、
ピノキオを良い行いに導くコウロギ、ジミニークリケット。

ジミニー役のクリフ・エドワーズは、
ウクレレ奏者として活躍していたが、
この映画を機に、ディズニーを代表する人気声優となった。

星に願いをかけるとき
君が誰でも関係ないさ
心に願うことはなんでも叶うはず

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星合摩美 20年8月9日放送



映画音楽  Rhapsody in Blue

「ニューヨークを夢の国のように撮りたい」
ウディ・アレン監督自ら、
その想いが完全に満たされたと語った、映画「マンハッタン」

オープニングはガーシュウィンの「Rhapsody in Blue」の調べにのせ、
ニューヨークの街並みが、モノクロで映し出される。

夜明けの摩天楼、ブロードウェイのネオンサイン。
ノスタルジックな風景に、
ウディアレン演じる、主人公のセリフが重なる。
「ニューヨークは常にモノクロの街であり、偉大なガーシュウィンの曲だった。」

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永久眞規 20年8月8日放送


Jose Luis RDS
ヒゲと芸術

世界で最も有名な口髭の持ち主に選ばれた、
サルバドール・ダリ。

あの上向きにはねた口髭は、
一度見たらなかなか忘れられないものがある。
しかもあのひげは、実は水あめで固めていた、
なんていう逸話も。

そんなダリの口髭が、
再び話題になったのが2017年の出来事。

ダリの娘と名乗る女性が出現。
その関係性を証明するため、
裁判所が遺体の掘り起こしを命じたのだ。

1989年に亡くなり、
約30年ぶりに掘り起こされたダリ。
身体はミイラ化していたが、
なんとその口元には生前と変わらない口髭が。

死してなお、トレードマークは変えないようだ。

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藤本宗将 20年8月8日放送



ヒゲと将軍

戦国の世において、
ヒゲは武士の強さの象徴だった。
ところが江戸幕府ができると
官僚化した武士にヒゲを剃る習慣が広がる。

荒っぽいヒゲは「傾奇者」と呼ばれる
アウトローたちのものとなり、取り締まりの対象に。
そして4代将軍・徳川家綱の代に
とうとう「大髭禁止令」が発令され、
ヒゲが一掃されるに至った。

確かにそれ以降の浮世絵を見ても
ヒゲを生やした者は見当たらない。
泰平の世ともに、ヒゲは居場所をなくしたのだ。

ただし、禁止令にも例外が。
長谷寺に残る家綱自身の肖像画には、
堂々たるヒゲが生えている。
武士のトップに許された特権だったのだろうか。

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村山覚 20年8月8日放送



ヒゲと時代

明治や大正の頃、立派な髭は男の勲章だった。
政治家も、経営者も、街の人々も、皆が当たり前のように髭をたくわえた。

昭和の後半、いわゆる高度経済成長の頃からバブルが弾けるまで
髭を生やす人はどんどん少数派になっていった。
髭なしスタイルは「安定・秩序・平和」の象徴とも言われた。

平成になり、男たちは再び髭を生やし始めた。
特に急成長を遂げたインターネット業界では髭率が高い印象。
安定や秩序よりも、変化を望んでいるという意思表示にも見える。

そして令和。
家で過ごす時間が増えて「コロナ髭」なんて言葉も生まれた。
この先、髭の経営者や政治家が増えるのだろうか?
それとも、さっぱりとした髭なしスタイルが好まれるのだろうか?

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