2013 年 3 月 30 日 のアーカイブ

渋谷三紀 13年3月30日放送


Destructive Compliments
チームワーク1 作家と編集者(高橋一生)

文藝春秋社で38年間、
名だたる文芸雑誌の編集者をつとめた高橋一生さん。

ある作家に雑誌への執筆を頼んだときのこと。
その雑誌の最新号を送るようにと言われ、
すぐに送ったところ、無事に承諾を得る。

何が決め手だったかという尋ねる高橋に、作家はこう答えた。

「新人の小説」を読んだ。
著名でない新人の作品は、
編集者が納得いくまで書き直しを求めるはずだ。
それを見れば、編集部の求める水準がわかる。

文学の世界では、助産婦に例えられる、編集者。
最高の文学を生み出すために。
優れた編集者は優れた作家を求め、
優れた作家もまた優れた編集者を求める。
出会いもまた才能のひとつ。

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高田麦 13年3月30日放送


thefoxling
チームワーク2 クエンティン・タランティーノ

爽快な黒人西部劇、「ジャンゴ 繋がれざる者」が公開中の
クエンティン・タランティーノ監督。
いつだって、あふれる映画への愛を作品に込めてきた。
彼の撮影現場ではこんな言葉が飛び交う。

テイクを撮り直す時、
タランティーノが「もう1回!」と言うと、
スタッフは「なぜ?」と返す。
そうしたら、監督もスタッフもみんなで
「なぜなら俺たちは映画が好きだから!」と叫ぶ。

まるで、子供同士の合い言葉。
同じものを好きだからこそ、
信頼し合い、まっすぐにゴールへと走っていける。
これを完成まで繰り返すうちに、
タランティーノ組の結束はさらに強いものになっていく。

類は友を呼ぶという言葉があるが
純粋な「好き」を共有できる仲間の仕事は、
よりよいものになるようだ。

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高田麦 13年3月30日放送



チームワーク3 ロバート・キャパ

世界で最高の戦場カメラマンと
称えられることも多いロバート・キャパ。

実は、「ロバート・キャパ」という名前の人間は存在せず、
これは元々、二人組のユニット名だった。

ロバート・キャパこと、
22歳のユダヤ人青年アンドレと3歳年上のゲルダ。
アンドレはゲルダに撮影技術を教え、
ゲルダはアンドレの作品作りにインスピレーションを与えた。

戦場に二人で赴き、写真を撮った。
スペイン内戦中、史上初めて兵士が撃たれる瞬間をとらえた
「崩れ落ちる兵士」という作品は
ロバート・キャパの名前を一躍有名にした。

残念ながらゲルダは内戦中、
27歳の若さで命を落とす。
彼女の死後、アンドレはキャパを名乗り、
より精力的に活動するようになる。

ふたりでひとり。ふたりだからできたこと。

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岡安徹 13年3月30日放送


eelsmann
チームワーク4 ジャンパーとテストジャンパー

冬期オリンピックで、数多くのメダリストを生んできた
スキージャンプ。

その裏方に、テストジャンパーという存在がいる。
安全に競技を行える状況にあるかを確かめるため、
自らを実験台としてジャンプする危険な役目だ。

1998年の長野オリンピックは、まさにテストジャンパーの勇気が
メダルを引き寄せた大会だった。

競技当日、会場は吹雪。
ジャンプ台に雪が積もりスピードが出ない上、
視界不良で安全にジャンプが出来ない状態だった。
もし今競技中止ということになれば、日本のメダルはない。

そこでテストジャンパー達が行った驚くべき作戦。
それは、前も見えない吹雪の中連続でテストジャンプを行い、
日本選手のために滑走路の雪を踏み固めること。
そして、安全に着地し競技続行を訴えること。

決死の覚悟で次々と大ジャンプを繰り広げる日本のテストジャンパー達。
かくして競技は続行され、日本は金メダルを掴み取る。

金メダルを決めたジャンプの後、原田選手は涙声で言った。
「…俺じゃないんだよ…、みんなで掴んだんだよ…」

何もない空中へ1人で飛び出す、究極の個人競技に見えるスキージャンプ。
その翼には、多くの仲間の想いが乗っていた。

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高田麦 13年3月30日放送



チームワーク5 高畑勲

たくさんの人が関わり、
ひとつの作品ができあがっていく、
アニメーションの制作現場。
いかに、チームとしてまとめていくか、について、
日本を代表する監督・高畑勲は、こう語っている。

チームワークの礎として大事なことは、

仕事の最中というよりは、むしろ、

仕事が佳境に入る以前のことでしょう。


いざ修羅場だというときにも、
おたがいに詳しく話しあわなくても

仕事を進めていけて、
それが悪い結果にならないこと。


仕事を通じてチームワークを築いていく、
というのは、当たり前のことなのかも知れない。
高畑のチームは、その先を行っている。

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高田麦 13年3月30日放送


Bsodmike
チームワーク6 開高健

昭和を代表する文豪、開高健。
彼は、1本の万年筆、
モンブラン149に特別な情を抱き、こう述べている。

こんなに長年一緒に同棲すると、
かわいくてならない。
かわいいというよりは、
手の指の一本になってしまっている。
つねに手もとから話さないようにと心がけているが、
何かのはずみで見つからなくなると。
不安で不安でジッとしていられなくなる。

世の中にはさまざまなチームというものがあるが、
それが、人間同士であるとは限らない。

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渋谷三紀 13年3月30日放送



チームワーク7 宝塚歌劇団

来年で創立100周年を迎える、宝塚歌劇団。

思わず現実を忘れてしまうほどの
キラキラとまぶしい夢の舞台。

しかし、タカラジェンヌへの道のりは険しい。

女だけの、きびしい競争社会。
宝塚音楽学校への入学から退団まで、
芸を高め、最高の舞台をつくりあげることに
情熱を注ぎつづける。

タカラジェンヌのことばが、
ツイッター上で、ひそかなブームとなっている。

 「スポットライトが当たらないんだったら自分で当たる工夫をするの」

 「娘役に笑顔になってほしかったら、あなたから笑顔をむけなさい。」

 「365日の現実より1秒の夢。」

夢を見るのが少しむずかしくなった時代。
舞台裏のタカラジェンヌもまた、
わたしたちに夢を見させてくれる。

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