2020 年 1 月 のアーカイブ

田中真輝 20年1月19日放送


NASA
検証不可能な宇宙

1908年の今日は、
日本天文学会が設立された日。

最新の理論物理学では、宇宙は1つではなく、
複数存在するという「マルチバース理論」なるものが
提唱されている。それが意味するのは、宇宙の全体像は
観測によって検証することができない、という事実。
果たして、理論は正しくとも、検証ができないものを
実在すると言えるのか。

理解が進むほど、わからないことが増えていく。
宇宙はまだまだ限りなく遠く、広い。

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福宿桃香 20年1月18日放送


Rahul Narain
占いのはなし おみくじ

1月といえば初詣。初詣といえばおみくじ。
この年明けに、今年の運試しをした人も
多いのではないだろうか。

おみくじの原型が誕生したのは1100年ほど前。
「元三大師百籤」と呼ばれるそれは
100本の棒の中から1本を引き、
同じ番号の漢詩で吉凶を占うというもので、
現在も多くの寺院でこの方法が受け継がれている。

和歌山の熊野那智大社もその一つだが、
特筆すべきはその大きさ。
なんとおみくじ筒が133cmもあり、
参拝客は体全体を振ったり、ジャンプをして棒を取り出す。
ビッグなおみくじの大吉は、特別いいことがありそうだ。

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福宿桃香 20年1月18日放送



占いのはなし タロット占い

78枚のカードで運勢を占うタロット占い。
占いの中でも格式高いイメージがあるが、
元々はギャンブル用のカードゲームとして
誕生したものだった。

最古のものは
15世紀半ばにイタリアで制作されたカードデッキ。
当初は貴族のために画家が1枚1枚手書きしていたが
木版画の量産品が出回るようになると、
ヨーロッパ全土へ広がっていった。

人々がタロットの絵柄に意味を持たせ、
未来を知る手がかりとして扱い始めたのは1780年代―
そう、フランス革命の真っ只中だ。
占いはいつだって、不安と表裏一体なのだ。

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福宿桃香 20年1月18日放送



占いのはなし 星座占い

もっとも身近な占いのひとつ、星座占い。
そのルーツは紀元前2000年から続く占星術にある。

古代バビロニアでは、
星が神様からのメッセージだと信じられていた。
人々は惑星の配置や動きとともに
その時々の自然現象を粘土板に記録。
それを繰り返すことで、
天体は、決まった出来事の予兆として
占いへと取り入れられていったのである。

紀元前3世紀ごろの粘土板には、次のような記録がある。
「木星が現れる時はお金持ちになり、長生きできる」

驚くことに、現在でも占星術の世界で
木星は成功を司る星とされている。
2020年の一年間は、山羊座のそばに木星がいるそうだ。

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福宿桃香 20年1月18日放送



占いのはなし 手相占い

古代インド発祥の手相占い。
その歴史は古く、日本には、
平安時代に中国を介して仏教とともに伝わった。
現在でも手相を信じる人は多く
手相を変える整形手術が存在するほどだが、
実は今から500年ほど前にも、手相を自ら変えた人物がいた。

その人物とは、天下統一を掴みとった男―
そう、豊臣秀吉である。
彼が変えたのは、手のひらの中心に縦に伸びる運命線。
秀吉の運命線は、
なんと中指の第一関節近くまでまっすぐに伸びていた。
手相学を信じていた彼は、
あるとき運命線を刀で彫って伸ばしたのだ。
文字通り、運命を自ら切り開いたわけである。

ちなみに秀吉の手相は、
静岡の久能山東照宮で見ることができる。
様々な勝負が待ち受ける2020年、
唯一無二のその手相に、パワーをもらうのも悪くない。

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福宿桃香 20年1月18日放送


cincity
占いのはなし 血液型占い

血液型占いは日本にしか存在しない。

それもそのはず、日本人は
A型が4割、B型が2割、O型が3割、AB型が1割と
うまい具合にばらけているが、
たとえばグァテマラでは国民の95%がO型で、
そもそも占い自体が成り立たないのだ。

血液型占いの元となったのは、
1927年に古川竹二教授が発表した論文「血液型による気質の研究」。
科学的根拠は全くなかったにも関わらず、一気に人気に火がついた。

そしてその人気は、終わるのも突然だった。
2004年、放送倫理・番組向上機構が
「血液型で性格が規定されるという見方を助長してはいけない」と発表し、
血液型占いはテレビから姿を消したのである。

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蛭田瑞穂 20年1月12日放送


Okinawa Soba (Rob)
和服  フライトアテンダントの着物

着物を着たフライトアテンダントがかつて存在していた。

1954年、日本航空が初の国際線となるサンフランシスコ便を就航させる。
その便ではファーストクラスを担当するフライトアテンダントは
機内で制服から着物に着替え、旅客をもてなした。

元旦のフライトではエコノミークラスにも足を運び、
お屠蘇を振る舞うサービスもおこなわれたという。

着物のフライトアテンダントはジャンボジェットの時代に至るまで
30年以上に渡って続けられたが、1990年に惜しまれつつ終了した。

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蛭田瑞穂 20年1月12日放送


時事通信社
和服  大発会の着物

東京証券取引所の年始最初の取引日を大発会と呼ぶ。

昭和の時代、大発会の日は、女性社員は晴れ着で出社し、
着物姿で伝票の仕分けなどをしていた。

人の手からコンピュータシステムに変わった今も
晴れ着を着る風習は続いている。

大発会には晴れ着を着た証券会社の女性社員が並び、
新年にふさわしい華やかさを添える。

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佐藤日登美 20年1月12日放送


首相官邸
和服  即位礼正殿の儀の装束

令和元年、10月22日。
即位礼正殿の儀が執り行われた。

天皇陛下が国内外に即位を宣明する儀式。
そのお言葉とともに、装束姿も注目された。

平安時代を思わせる黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)と呼ばれる装束を身にまとった天皇陛下に続くのは、十二単姿の皇后さま。
一番上の御唐衣(おんからぎぬ)は白と萌葱色、その下に薄紫色と赤のグラーデーションが美しい。

時代の変わり目にしか見ることができない、雅なお姿だ。

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佐藤日登美 20年1月12日放送



和服  国民祭典の着物

令和元年、11月9日。
「天皇陛下御即位をお祝いする国民祭典」の場で祝辞を述べた、女優・芦田愛菜さん。
彼女が着た着物は、老舗呉服店・鈴乃屋が用意した。

生成色に菊の花の刺繍が施され、豪華ながら上品な佇まい。
着物に描かれた「紗綾形(さやがた)」と呼ばれる文様は「卍」の文字を斜めに崩し、
連続的につなげたもので「家の繁栄」「永遠」「長寿」を意味する。

100年ほど前から、誰も袖を通したことがないという貴重な着物。
新しい時代の幕開けに彩りを添えた。

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