
つくりかたをきかれることがときどきあるので
こちらにひっそりと書いておくことにしました。
全部読むときはこのまま下へスクロール。
メニューを選ぶときは
下の写真をクリックしてください。
下に準備中とあるものは非表示になっています(中山佐知子)

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「東北へ行こう」は
山形の東北芸術工科大学の授業がきっかけで
はじまりました。
東北の良さをひとりでも多くの人に
知ってもらいたい。
そしてたくさんの人に東北を旅してもらいたい。
そんな願いで出発した企画です。
CMもエッセイも紀行文もお知らせも
音声のあるものもないものも、東北をここにまとめています。
最新版から見る:http://www.01-radio.com/tcs/columnindex/tohoku
年代別にみる:
東北へ行こう2018:http://www.01-radio.com/tcs/archives/30174
東北へ行こう2017:http://www.01-radio.com/tcs/archives/29069
東北へ行こう2016:http://www.01-radio.com/tcs/archives/27999
東北へ行こう2015:http://www.01-radio.com/tcs/archives/26848
東北へ行こう2014:http://www.01-radio.com/tcs/archives/25897
東北へ行こう2013:http://www.01-radio.com/tcs/archives/24314
東北へ行こう2012:http://www.01-radio.com/tcs/archives/21722
東北へ行こう2011:http://www.01-radio.com/tcs/archives/19200
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すすき、幻想
広い広いすすきの草原に、
月の光がさしていました。
すすきの穂が、風の中で、
寄せては返す波のように金色にひかっています。
すすきの穂波は、はるかかなた、
草原の向こうにある山のふもとまで、走っていきます。
そして山々は雪をかぶり、
まぼろしのように浮かびあがって見えるのでした。
真夜中に近い時刻のようです。
まだ少年の私は、黒いマントを着て、
左手に重いカバンをぶらさげて
すすきの海を一生けんめい歩いていました。
すると風が吹きぬける中を、
青い着物を着た女性がひとり、歩いてくるのです。
室町時代のあそびめのように、
細い帯を腰のあたりに低くしめ、
黒い髪をうしろにたばねていました。
面長な顔立ち、青白い肌、切れ長の眼、
形のよい唇。
彼女は私の前で、立ち停り、私を見ました。
そして、すーっと何かを呑み込むように笑いました。
赤い唇がすこしひらかれると、
なんだか、あたりの空気がゆらりとゆれて、
ひときわ強く、風の音が聞えてきます。
狐だ!、少年の私はそう思いました。
すると月が雲に隠れ、女性の姿も消えました。
すすきの原は、暗い灰色の、ただのすすきの原に
もどってしまいました。
このカバンは? ふと、少年の私は思いました。
この左手にぶらさげている重いカバンは、
いったい何が入っているのだろう…
気がつくと、私は現実の私にもどっていました。
六十歳をずいぶん過ぎた私が、
無彩色の、夜のすすきの草原に、
カバンをぶらさげて、立っているのでした。
出演者情報:大川泰樹 03-3478-3780 MMP所属
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