Author Archives: nakayama

酒の肴メニュー


つくりかたをきかれることがときどきあるので
こちらにひっそりと書いておくことにしました。

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kobu
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「東北へ行こう」について

「東北へ行こう」は
山形の東北芸術工科大学の授業がきっかけで
はじまりました。
東北の良さをひとりでも多くの人に
知ってもらいたい。
そしてたくさんの人に東北を旅してもらいたい。
そんな願いで出発した企画です。

CMもエッセイも紀行文もお知らせも
音声のあるものもないものも、東北をここにまとめています。

最新版から見る:http://www.01-radio.com/tcs/columnindex/tohoku

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東北へ行こう2018:http://www.01-radio.com/tcs/archives/30174
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東北へ行こう2015:http://www.01-radio.com/tcs/archives/26848
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東北へ行こう2011:http://www.01-radio.com/tcs/archives/19200
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小野田隆雄 2025年11月2日「すすき、幻想」

すすき、幻想

       ストーリー 小野田隆雄
          出演 大川泰樹

広い広いすすきの草原に、
月の光がさしていました。
すすきの穂が、風の中で、
寄せては返す波のように金色にひかっています。
すすきの穂波は、はるかかなた、
草原の向こうにある山のふもとまで、走っていきます。
そして山々は雪をかぶり、
まぼろしのように浮かびあがって見えるのでした。
真夜中に近い時刻のようです。
まだ少年の私は、黒いマントを着て、
左手に重いカバンをぶらさげて
すすきの海を一生けんめい歩いていました。
すると風が吹きぬける中を、
青い着物を着た女性がひとり、歩いてくるのです。
室町時代のあそびめのように、
細い帯を腰のあたりに低くしめ、
黒い髪をうしろにたばねていました。
面長な顔立ち、青白い肌、切れ長の眼、
形のよい唇。
彼女は私の前で、立ち停り、私を見ました。
そして、すーっと何かを呑み込むように笑いました。
赤い唇がすこしひらかれると、
なんだか、あたりの空気がゆらりとゆれて、
ひときわ強く、風の音が聞えてきます。
狐だ!、少年の私はそう思いました。
すると月が雲に隠れ、女性の姿も消えました。
すすきの原は、暗い灰色の、ただのすすきの原に
もどってしまいました。
このカバンは? ふと、少年の私は思いました。
この左手にぶらさげている重いカバンは、
いったい何が入っているのだろう…
気がつくと、私は現実の私にもどっていました。
六十歳をずいぶん過ぎた私が、
無彩色の、夜のすすきの草原に、
カバンをぶらさげて、立っているのでした。



出演者情報:大川泰樹 03-3478-3780 MMP所属

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