
つくりかたをきかれることがときどきあるので
こちらにひっそりと書いておくことにしました。
全部読むときはこのまま下へスクロール。
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下の写真をクリックしてください。
下に準備中とあるものは非表示になっています(中山佐知子)

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「東北へ行こう」は
山形の東北芸術工科大学の授業がきっかけで
はじまりました。
東北の良さをひとりでも多くの人に
知ってもらいたい。
そしてたくさんの人に東北を旅してもらいたい。
そんな願いで出発した企画です。
CMもエッセイも紀行文もお知らせも
音声のあるものもないものも、東北をここにまとめています。
最新版から見る:http://www.01-radio.com/tcs/columnindex/tohoku
年代別にみる:
東北へ行こう2018:http://www.01-radio.com/tcs/archives/30174
東北へ行こう2017:http://www.01-radio.com/tcs/archives/29069
東北へ行こう2016:http://www.01-radio.com/tcs/archives/27999
東北へ行こう2015:http://www.01-radio.com/tcs/archives/26848
東北へ行こう2014:http://www.01-radio.com/tcs/archives/25897
東北へ行こう2013:http://www.01-radio.com/tcs/archives/24314
東北へ行こう2012:http://www.01-radio.com/tcs/archives/21722
東北へ行こう2011:http://www.01-radio.com/tcs/archives/19200
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台南の忘れられない夏
北半球では、夏至の日に、太陽の高さが最も高くなる。
北回帰線が通る場所では、夏至の瞬間、太陽は頭の真上に来る。
そのため、太陽の下に立っても影がまったく見えない
不思議な現象が体験できるという。
北回帰線は台湾島を東西に横切っている。
ある夏の日、私は台北から特急自強号に乗って南へ向かっていた。
台北で仕事を終えた後に、
短い休みを取って台南を旅しようと思いたった。
台湾の原点と言われる台南を歩いてみたいと思ったのだ。
嘉義を通過してほどなく、列車は北回帰線を通過した。
と言ってもガタンと揺れたりはしない。
北回帰線は北緯23.26度の緯線。
温帯と熱帯をわける境界線でもあるという。
気のせいか窓の外の日差しが強くなった。
南国っぽい植物が多くなった。
台南の駅に降り立つと、ぎらぎらする光が私を迎えてくれた。
通りの向こうには店や屋台が並び、
街路樹の下には濃い影ができていた。
台南の太陽は私を有頂天にさせた。
ホテルに荷物を投げ込むとすぐに外に飛び出した。
旅に出るとじっとしていられない。
どこへ行こうか決めていないまま街を歩き出した。
台北の友人が、
台南に行ったらこれを食えとすすめてくれた食べものがあった。
台湾では料理の名前はたいがい四文字熟語で表す。
「蝦仁肉圓(シャーレンバーワン)」。
蝦と肉と団子の字が興味をそそる。
友人は店の地図まで書いてくれた。
よし、まずはこれを食おう。
ホテルからは思ったよりも遠かった。
日差しの照りつける通りを何度か行ったり来たりしてから、
やっと見つけた細い路地に入った。
迷路のような道を歩いていると突然不思議な空間が現れた。
狭い道が集まって三叉路になっている。
駄菓子屋の前に遊具が置いてある。
子どもたちが遊んでいる。
のんびりとした空気、ただよう幸福感。
私が子どもの頃にいた世界にそっくりだった。
パラレルワールドではないかと思った。
迷路の出口で目指す店を見つけた。
「蝦仁肉圓」はプリプリのエビ入り肉団子のあんかけだった。
やわらかくて甘くておいしい。
台南の街を私は3日間歩き回った。
朝、街に出ると、歩道の上に豆乳の屋台が出ている。
出勤する人を眺めながら豆乳と揚げパンを食べた。
この時間はまだ日差しがやわらかい。
ガイドブックの地図を見て、今日はどこへ行こうかと考える。
歩き始めると、太陽はすぐに強さをむき出しにして、
じりじりと照りつけてきた。
その強い光は日没まで衰えることはない。
真上から降り注ぐ熱線が、道路をフライパンのように焼く。
自分の影が、短く、墨のように黒い。
北回帰線直下の太陽を私はなめていた。
私は道に迷っていた。
暑さのせいで方向感覚を失った。
たまたま横にあった店にふらふらと入り、道を聞いた。
店にいた女の人が、私の地図を手に取ってじっと見た。
それから片言の英語で、身振りを交えながら説明してくれた。
二人とも英語はあまりうまくはなかったが、
なんとか意思は通じ合った。
私は「謝々!」と言って歩き出した。
そうしてかなりの距離を歩いた頃である。
後ろから呼び止める声がして、振り向くと、
さっきの女の人が走って追いかけてきた。
「私のお父さんは日本語が話せます」
片言の英語で言った。
「日本人が道に迷っていたと話したら、
すぐに呼んできなさいと言いました」
どうしようかと思った。
炎天下をまた引き返すのはちょっと気が重い。
しかし彼女は「ぜひ戻ってほしい」と懇願するように言った。
店には一人の老人が待っていた。
私を見るなり、なつかしそうに日本語を口にした。
日本統治時代の教育を受けた世代には、
今も日本語を話せる人が多くいると聞いていた。
ひさしぶりに日本語を話したかったのだろうか。
しかしお父さんの日本語は、
残念なことにほとんど意味が通じなかった。
長い時間の中で風化してしまったのかもしれない。
娘さんが心配そうに私を見ていた。
私は、お父さんに何度もうなずきながら、
わかるふりをして最後まで聞いた。
娘さんはホッとしたように笑った。
お父さんもうれしそうに笑っていた。
二人に見送られて、同じ道をまた引き返した。
まだ外は暑かった。
古都である台南には、何百年も前に建てられた城や寺院が残っている。
その中には島の外から来た文明が建てたものもある。
為政者が変わるたびに何度も壊され、建て直され、形が変えられ、
そして今はお寺として生き残っている。
人々は外から来たあらゆるものを自分たちの暮らしに取り込んだ。
こうして独自の文化や食べものが生まれてきた。
この暑さの中で、人々は人間らしく生きることを貫いた。
この島の人々の芯にある強さを思う。
台南の旅をしたのは、今から25年ぐらい前のことである。
あれ以来、台南には行っていない。
もしもう一度行く機会があったら、やりたいことが二つある。
一つは「蝦仁肉圓(シャーレンバーワン)」をまた食べること。
そしてもう一つは、あの迷路のような三叉路に行って、
パラレルワールドがまだあるのか確かめてみたい。
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出演者情報:大川泰樹 03-3478-3780 MMP所属
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