藤本組・藤本宗将

藤本宗将 17年6月10日放送

170610-05

時の記念日 体内時計

人は誰でも、体の中に時計を持っている。

日本人の体内時計の平均周期は、24時間10分。
24時間にかなり近いものらしい。
もちろん個人差はあるが、
標準的な体内時計を持っている人は、
自然と規則正しく生活できるというわけだ。

しかし体内時計の周期が長い人は、
気を抜くと夜更かしのほうにずれていってしまう。
逆に周期が短すぎれば早寝早起きになる。
心当たりのある人もいることだろう。

でも社会全体を見れば、
それにはちゃんと意味がある。
夜勤に強い人がいる。早朝から働ける人がいる。
それも社会に必要な多様性なのだ。

私たちは、時計によって
人類共通の時間を手にいれた。

けれどときどきは、
体の中にある自分だけの時計に
意識を向けてはどうだろう。

きょうは、時の記念日。

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村山覚 17年6月10日放送

170610-01
keso
時の記念日 上原ひろみ「Time Travel」

ジャズピアニスト、上原ひろみは
10年前に「Time Control」というアルバムを出した。
収録曲はすべて《時間》をテーマにしている。

音楽は、時間の芸術であると言われる。
ミュージシャンが放つ一音一音は
矢のように飛んで、あっという間に消えていく。

アルバムの3曲目「Time Travel」という
曲の解説で、上原ひろみはこう綴っている。

 研究に研究を重ねても、出来ない時間旅行。
 科学的には無理でも、心の中では常にしている。
 過去を思い、未来を想う。

いまこの瞬間に聴いた音は、二度と戻ってこない。

しかし私たちは、
ラジオから好きな曲が流れてきた瞬間、
時間も空間も飛び越えられる。
そう、音楽はタイムマシンなのだ。

きょうは、時の記念日。

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村山覚 17年6月10日放送

170610-02
Agent Smith
時の記念日 上原ひろみ「Time Control」

ジャズピアニスト、
上原ひろみのアルバム「Time Control」。
収録曲はすべて《時間》をテーマにしている。

アルバムの7曲目のタイトルが、
ちょっと長くて興味深い。
「Time Control, or Controlled by Time」

本人による楽曲解説にはこう綴られている。

 忙しい毎日の中で生まれる、
 時間に追われているような感覚。
 時間を支配するのは自分だろうか、
 それとも支配されているのか。

いいミュージシャンには
時間をコントロールする特殊能力がある。
時を止めたり、巻き戻したり、
あっという間に早送りする力だ。

8曲目は「Time Flies」。時間が飛んでいく。
そしてアルバム最後の9曲目のタイトルは
「Time’s Up」。

きょうは、時の記念日。

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永久眞規 17年6月10日放送

170610-03

時の記念日 ベンジャミン・フランクリン

早寝早起きは、人を健康で、裕福で、賢明にする。

 Early to bed and early to rise,
 makes a man healthy, wealthy and wise.

アメリカ建国の祖のひとり、
ベンジャミン・フランクリンは大変な倹約家だった。

夜明けとともに起き、日没とともに眠れば、
ろうそくも節約できるという考えから、
フランスの新聞「Journal de Paris」でサマータイムを提案。

しかし、18世紀当時は人々の理解を得られず、
彼の考えは忘れ去られていく。

思いがけないタイミングで
サマータイムのアイデアが見直されたのは、約100年後。
エネルギー不足が深刻だった第一次大戦中。
まさに時代の要求にかなっていたのだ。

人を健康で、裕福で、
賢明にするはずだった彼の考えは、
皮肉にもその真逆にある戦争から
普及していくことになる。

それからさらに100年。
サマータイムは、人々にどんな時間をもたらしているのだろう。

きょうは、時の記念日。

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福宿桃香 17年6月10日放送

170610-04
per.olesen
時の記念日 デイビッド・ブラング

数字に色がついて見えたり、音から味を感じたり。
世界には、複数の感覚が混ざり合う「共感覚」の持ち主がいる。

その中でも特に珍しいと言われているのが、時間空間共感覚。
時間を見ることができる人たちである。

2010年、心理学者デイビッド・ブラングは、
200人近い学生を集め、こう問いかけた。
「1年を図として視覚化してください」
するとその実験を受けたうちの4人が、
何度実験を重ねても、特定の楕円形を描いた。
そしてそれは、普段から彼らに見えているものだと語ったのである。

 彼らには、1年間の時間の流れが輪っかのような立体として見えていた。
 その特殊なカレンダーは身体のまわりを動きつづけていて、
 今にあたる部分が常に胸の前にくるというんだ。

今この瞬間が何月何日の何時何分なのか、いつでも分かる能力。
それだけ時間を意識して過ごせば、私たちの毎日もなにか変わるだろうか。

きょうは、時の記念日。

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福宿桃香 17年5月20日放送

170520-01

計量の話 ダンカン・マクドゥーガル

きょうは「世界計量記念日」。
アメリカの医師、ダンカン・マクドゥーガルが
人間の魂の計量を行ったのは、今から116年前のことだ。

彼は、もしも魂に重さがあるなら、
魂が身体を離れる瞬間に体重が減るはずだと考え、
末期の患者を秤の上にのせた。
すると、患者が息を引き取ると同時に秤が動き、
21gの減少を示したのだ。

さらに彼は体重が減少するまでの時間も計測し、
次のように発言している。

 患者の中には、体重が減るまでに1分かかった者がいた。
 考えや行動がゆっくりしていた人は、
 魂も身体を離れるまでに時間がかかるのかもしれない。

現在では信憑性がないとされているが、
みんなをちょっとワクワクさせてくれた彼の計量は
偉大だったと言っていいのではないだろうか。

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村山覚 17年5月20日放送

170520-02
kamums
計量の話 具志堅用高

きょうは「世界計量記念日」。
計量が欠かせないスポーツといえば、ボクシング。

43年前、沖縄から上京した若きボクサー、具志堅用高。
トレードマークのアフロヘアは、
身体を大きく見せるための工夫でもあった。

試合前の減量は1ヶ月前からはじめる。
住み込みでバイトをしていたとんかつ屋のマスターが
仕入れてくれたヒレ肉と、野菜サラダで身体を絞った。

試合当日。計量後の定番メニューは、
ステーキ、鰻、スッポンの血、そして、アイスクリーム。

 世界チャンピオンになったら楽しいよ。
 モテるし、誘いも多いし、おいしいもの食べれるし!

伝説のチャンピオンの原動力は、おいしいもの。

でもやっぱり体重は気になりますよね。
あなたは食べる前に計る?それとも、食べてから計る?

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村山覚 17年5月20日放送

170520-03
small-life.com
計量の話 舞の海

きょうは、メートル条約が結ばれた「世界計量記念日」。
数センチメートルの差に泣き、それを克服した男のお話。

ときは平成元年。大学の相撲部で活躍していた小柄な男が
大相撲の新弟子検査にのぞんだ。規定の身長よりも背が
低かったので、鬢付け油を頭の上で固めて身長計にのった。
しかし、暑さで油が溶け、規定に達しなかったため不合格…。

翌年、その男は頭にシリコーンを埋めて、見事合格する。
そこまでやるかという声もあったが、
相撲への情熱は誰よりも強かった。

彼の名は、舞の海。のちに「平成の牛若丸」「技のデパート」
と呼ばれ、体重が2倍も3倍もある小錦や曙といった
巨漢の力士とも張り合った。

 大きい力士も小さい力士と組むのは怖いんですよ。
 どんな相撲をされるか分からないから。

男の情熱、そして巧みな戦術を、数字で計ることはできない。

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永久眞規 17年5月20日放送

170520-04

計量の話 柴田音吉

きょうは「世界計量記念日」。
日本人初の本格テーラーとして知られる柴田音吉。
10歳の頃から裁縫を学んでいた彼は、
神戸で洋服店を開いていた英国人に弟子入りし、腕を磨いた。
その丁寧な仕立てと着心地のよさは評判となり、
あの伊藤博文も通うほどであった。

あるとき、明治天皇の洋服を依頼された柴田。
しかし、直接採寸することは許されなかった。
最高の一着をつくるには、どうしても採寸が欠かせない。
あくまでその点にこだわった柴田は、

 陛下のお身体には触れないので、
遠くから目測でサイズをお測りしたい。

と願い出たという。
柴田のこだわりがつまったその仕上がりには、
明治天皇も非常に満足したそうだ。

やがて明治政府によって
「礼服は洋装にする」という太政官布告が出され、
日本にも洋服が広く定着していくことになる。
その陰には、採寸にこだわる天才テーラーの活躍があった。

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永久眞規 17年5月20日放送

170520-05

計量の話 香川綾

きょうは「世界計量記念日」。
今ではどんなレシピにも使われている
計量スプーンと計量カップ。
もとは、日本に栄養学を普及させた
香川綾が考案したものだ。

戦後、日本の計量はメートル法に変わったが
一般家庭にはなかなか浸透せず、
匁やグラムが混在していた。

調味料の単位がバラバラだと
塩分や糖分の摂取量が把握しにくく、
日本人の健康を損なうかもしれない。

そう考えた香川は、
計量スプーンと計量カップを製作。
さらにヘラをつけることで、
すり切り1杯や2分の1杯など
より細かく正確に計れるよう工夫を凝らした。

たった1グラムの違いも、
毎日口にすれば大きな違いになる。

おいしくて栄養のある料理が
家庭で手軽に作れるのは、
彼女の細やかな思いやりのおかげなのだ。

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