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礒部建多 16年12月18日放送

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屋根の上で

キリストの生誕を祝うための祭日。
そんなクリスマスが、
今のように変化していった背景には、歌の影響がある。

ベンジャミン・ハンビーによってつくられた、
邦題”屋根の上で”は、
初めてサンタがクリスマスソングに登場した曲となった。

「サンタクロースは、
 たくさんのおもちゃを持って、
 煙突をおりてくる。」

サンタクロースのお茶目なキャラクターや、
楽しげな雰囲気は、この曲から広がっていった。

心踊るクリスマス。
それこそが、先人たちの想像力がつくりあげた、
最高のプレゼントなのかもしれない。

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礒部建多 16年12月18日放送

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きよしこの夜

世界で300を超える言語に
訳されるクリスマスソング「Silent Night」。
日本名「きよしこの夜」。実は6番まで存在する。

1816年、
戦争の長い苦悩から解放された、
作詞者のヨゼフ・モールは、
「人類はみな兄弟である。」
と、平和への願いを4番の歌詞に綴った。

約100年後の1914年、
第一次世界大戦で起きた「クリスマス休戦」は、
ドイツ軍が「Silent Night」を歌い始めたことが
きっかけとなった。

平和への願いとともに、
これからもずっと歌い継がれますように。

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礒部建多 16年10月23日放送

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泣く女

「私にとって、彼女は泣く女だった。」

パブロ・ピカソの愛人、
ドラ・マールをモデルとした作品「泣く女」。

感情を露にし、
大声で泣き、怒る彼女を、
ピカソはこよなく愛した。

その姿に、ピカソはインスピレーションを受けた。
拷問のような姿のまま、彼女を描いた時もあった。

絵が完成し間もなくして、
ピカソは新しい愛人をつくる。
捨てられたドラの精神は、確実に狂っていった。

心の無い言動に向けられる数々の批判に、
ピカソはこう答えた。

「女は、苦しむ機械なのだから。」

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礒部建多 16年10月23日放送

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自画像を描く女

体から蔦を伸ばす女。矢の刺さった鹿。
メキシコの女性画家、フリーダ・カーロは
作品の中の顔に、自画像を描く。

理由を聞かれた彼女は、
「ひとりぼっちだから。」と答えたと言う。

いじめに苦しんだ幼少期。
全身骨折の事故で、長く続いた病床生活。
そして、最愛の夫にも裏切られた。

誰よりも痛みと向き合い、
誰よりも人生と向き合った。

その時間の長さが、
彼女の中に芸術的な才能を育んだ。

「人生万歳」

それが彼女の47歳という短い
人生最後の作品に残した言葉だった。

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礒部建多 16年8月28日放送

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Holy [K]
童話の解釈

今日は童話作家
ミヒャエル・エンデの命日。

エンデは、よく
こんな愚痴をこぼしていたという。

「大人は、すぐに何かと結びつけて読むから困る」

老若男女を問わず、
広く愛される作品を生み出してきたが、
54歳で出版した
「鏡のなかの鏡」は、特に不評だった。

ある人は、当時の社会批判と結びつけたり、
フロイトやカフカと照らし合わせ、
学術的に分析しようともした。

「分析されたり解釈されることを望まない。
 それは体験されることを願っている。」

奇しくも、副題は「迷宮」という。
解釈しようとせず、
文字通り「迷宮」のように
ただ作品の中で迷い続けるのも、
エンデが望む楽しみ方なのかもしれない。

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礒部建多 16年6月12日放送

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OiMax
ナンシー関の名付け親

世界初の消しゴム版画家にして
すぐれたTVコラムを書き続けた、ナンシー関。
今日は彼女の命日である。

多くの人がナンシーの
その辛口な書評を讃える中、
作家のいとうせいこうは、
こう追悼の意を表している。

 自らの身辺もきれいでユーモラスで、
 意地悪のようでいながら
 おおらかに優しい人が一人いなくなった。

ナンシーの稀有な才能を発掘し、
名付けたのはいとう本人だった。
テレビを鋭く批評する言葉の裏には
生みの親にしか見せない、
優しさがあったのかもしれない。

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礒部建多 16年6月12日放送

160612-08
Fabio Sola Penna
ナンシー関の成功

世界初の消しゴム版画家、ナンシー関。
今日は彼女の命日である。

この世界で成功するためには、
 平凡な幸せを望んじゃいけない。

そう語るナンシーは、人生を仕事に捧げた。

膨大な量の連載を抱えながら、
1日15時間以上も寝ずにテレビ鑑賞。
過度なストレスと、不規則な生活。
39歳でこの世を去った。

死後14年経過しても、
命を削りながら生み出した作品たちは、
多くの人々に愛されつづけている。

ナンシーにとって、これは
思い描いていた
一つの成功なのかもしれない。

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礒部建多 16年4月17日放送

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恐竜のif

「もし恐竜が絶滅していなかったら。」
そんな問いを研究する古生物学者がいる。

デイル・ラッセル。
提唱するのは、ディノサウロイド。
進化を続けた結果、
人間に似た形態を採りえるという仮説だ。

見た目はまるで、
爬虫類の頭を持った人間のよう。
二足歩行で、言語に近い文明さえ持つという。
突飛な仮説に、一部の学者からは批判を受けた。
しかし同時に、そのSFのような内容に
多くの人々が胸を踊らせた。

絶滅の本当の理由など、
恐竜にはまだまだ謎が多い。
謎がある限り、学者たちの夢は絶えることはない。

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礒部建多 16年4月17日放送

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恐竜の声

本当の恐竜の鳴き声を、まだ誰も知らない。
現代で再現されているそれは、
骨格を参考に考案された音にすぎない。

映画、ジュラシックパークで、
音響デザインを担当したゲイリー・ライドストロームは、
想像の斜め上をいく方法でそれらを再現した。
ヴェロキラプトルという恐竜のうめき声は、亀の交尾の音。
荒々しい鼻息の正体は、馬の声。
そしてティラノサウルスの声は、
彼の愛犬の鳴き声が使われたという。

とある専門家は、
そもそも恐竜は鳴き声を発することが出来なかったとも言う。
本当の恐竜の声はどんなものなのか。
ゲイリーが生み出したそれは、覆されるのだろうか。

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礒部建多 16年2月28日放送

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バカヤローとロックンロール

2月28日。
今日はバカヤローの日。

「愛し合ってるかい?」

奇抜な風貌で、
愛と平和を歌い続けたロックンローラー、
忌野清志郎。

本名は栗原清志。
その中身は、誰よりも純粋無垢。
心の底からにじみ出る詞で、貫く信念を、
真剣に、そして時におどけるように歌う。

 バンドマンは、どんなにまずしくたって
 働いちゃいけないんだぜ!

常に世の中のために、
「忌野清志郎」であり続けたその男は、
愛すべきバカヤローである。

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