藤本組・永久眞規

永久眞規 16年10月8日放送

161008-05 Daniel Wehner
読書の話 佐野洋子

小学生の時から、
夏目漱石もモーパッサンも読んでいた。
児童書から大衆小説まで、
それはまるで活字を食らうように。

「100万回生きた猫」で名を馳せた
絵本作家の佐野洋子。
読書家の彼女は若いころを振り返り、こう言う。

 次、生まれるならバカな美人に生まれたい。
 本を読む中途半端なインテリは、
 生意気で感じが悪くて口ばっか。
 気づいたら、そんなやつに自分がなっていたの。

彼女が気づいたのは、
背伸びして大人ぶっていた自分の
人としての「未熟さ」だった。

けれど若いころに読んできた本が
作家としての彼女をつくったのも事実だ。
100万回生まれ変わったとしても、
きっと彼女は本を愛してしまうだろう。


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永久眞規 16年9月10日放送

160910-03 Mark Giuliucci
かつてないをつくる人 山内溥

ババ抜き、七並べ、大富豪。
子供の頃、誰もが遊んだことのあるトランプも、
かつては大人の遊び「賭博」の象徴だった。

そのトランプに目をつけたのは、
当時任天堂の社長だった山内溥だ。

これは「賭博」以上の何かになりえるぞ。

そう考えた山内は、ある工夫をトランプに加えた。
それは、「プレイガイド」をつけること。
トランプの遊び方が書かれた説明書をオマケにつけて販売したのだ。

山内に考えは見事にあたり、瞬く間に子供を中心に大ブームに。
トランプは大人の賭博から、みんなのゲームになったのだ。

「トランプ」というハードに、
「プレイガイド」というソフトをつける。
後に任天堂が世界に名を馳せる基礎となった、
コンピューターゲームにも通じる考えだ。

カリスマ経営者として語られる山内は、
ゲームクリエイターとしても一流だったようだ。


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永久眞規 16年8月13日放送

160813-01 aes256
昆虫採集 養老孟司

夏を彩るセミの声。
その声が年々減っていることに
気を留める人は、どれほどいるのだろう。

現代人にとって虫はいないも同然になった、
と憂うのは脳科学者の養老孟司。

虫好きとしても知られる彼は、
人々がそんな小さな生命に
思いを寄せるきっかけになればと、
鎌倉の建長寺に「虫塚」をつくった。
毎年6月4日の「虫の日」には
昆虫採集家たちが集まり、
虫を供養する法要が営まれている。

たかが虫に、と思うだろうか。

けれど、騒々しいセミの声が聞こえない夏が
どれほど味気のないものになるか想像してみてほしい。

私たちは虫の音で季節を感じ、
虫を通して自然と共生してきたのだ。


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