小林慎一

小林慎一 14年3月15日放送

140315-04

空手

伝説の格闘家は、現代に生きていたらどのくらい強いのか。
格闘技ファンの好きな議題である。

例えば、極真空手の創始者、大山倍達の場合。
もし、全盛期の大山倍達が、現代にタイムスリップし、
総合格闘技に参戦したとしたら、もちろん勝つ事はできないだろう。
理由は明白だ。
総合格闘技ルールを想定した、トレーニングをしていないからだ。
では、大山倍達が総合格闘技のトレーニングをしていたら勝てるのかどうか、
という仮定は、想像の余地があまりにも多く意味がない。

では、ノールール、つまり、ケンカをしたらどうだろうか。
全盛期のロシアの王者ヒョードルや、
クロアチアのミルコ・クロコップが相手であれば、
体格も違うし、技術の洗練度も違うため、
勝つことは難しい、と結論づけることは簡単だ。

しかし、極真空手ルールをつくる前、大山倍達が得意としていたのは、
変幻自在の目つぶし攻撃と、
どんな角度からも打ち込むことができる急所蹴りだったという。
時代は変わり、格闘技のルールと技術は洗練され、
そして、実践を極めようとする格闘家は少なくなった。

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小林慎一 13年12月14日放送


Kerri Lee Smith  
強さは重さ 猫

二匹の猫を飼う。
一匹は茶虎のオス。もう一匹は黒猫のメス。

オスはゆったり、メスは俊敏である。
エサをあげると、真っ先に口につけるのはメス猫で、
猫じゃらしに対する前足の反応も鋭く、
ジャンプ力も比べ物にならないくらい高い。

しかし、ケンカをすると必ずオス猫が勝つ。
メス猫が得意のアジリティを発揮し、
鋭い前足のジャブで徐々にオス猫を追いつめる展開は、まずない。

猫博物館の館長、今泉忠明先生によると、猫科の動物は
「獲物を捕らえるという目的に向かって
 ひたすら進化した究極の生き物」だそうだが
同じ猫同士で戦うと、強い弱いは、ほぼ体重が決める。

技を磨き、鍛錬を重ね、
小よく大を制するのは、人間だけである。

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小林慎一 13年12月14日放送


Andy Hay
プロは強い 肉食動物

森の王ゴリラ。
体重200キロ、握力1トン。
手が使え、知能が高い。
さぞケンカが強そうだ。
しかし、ゴリラの研究者ジョージ・シャラーは
体重50キロ程度のヒョウに捕食された実例を報告している。

イタチの仲間、グズリ。オスの平均体重は15キロ。
雑食で果物や小動物を食べているが
食料の乏しい冬には
体重150キロのヘラジカを捕らえるという。

インド象のオスが、トラに殺された例がある。
7cmにもなる牙を使い、じょじょに体力を奪い、失血死させたようだ。
足場が悪く、ゾウは実力を発揮できなかったと見られる。
しかし、条件が有利な場所で襲うという狡猾さを持つのもまた、
肉食動物の特徴だ。
どの世界も、やはり、プロは強い。

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小林慎一 13年12月14日放送


Cojharries
秘められた強さ 草食動物

動物学者のグッギイスベルクは
世界動物記「シンバ」で、こう書いている。

「ライオンがいる地域では
 ライオンの餌食となりえない動物はほとんどいない。
 しかし、ゾウとサイのみ別格である。」

体重3.5トン、時速45キロで突進し、
強烈な角の一突きが武器のシロサイ。
そして、体重7トン、皮膚の厚さ10cm、牙の長さ3m、
足踏みの衝撃は100トン以上のアフリカゾウは、
まさに陸上動物最強。

しかし、カバの強さも忘れてはいけない。
体重2トン、150°開く口、50cmの牙、噛む力1トン以上。
縄張りに侵入者があると獰猛になり、
ワニ、ライオン、人だろうと容赦なく襲う。
アフリカでもっとも人間を殺している動物がカバである。
キレるヤツには、近づかないのが得策なのだ。

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小林慎一 13年12月14日放送


Ryan Kilpatrick
地上最強の動物は

古代コロッセオでの
ライオン対トラの対戦成績は、7勝3敗でトラの勝ち。
しかも、トラはアムールトラよりも小さなベンガルトラで、
ライオンは大型のバーバリライオンだった。

また、ケンブリッジ大学動物学部は、
一対一ならカバはライオンに勝るとの見解を示している。
ライオンに捕食されたことのないゾウ、サイが別格だとすると、
ゾウ、サイ、カバ、トラ、ライオン
が強さの序列だろうか。
この結論は、動物学者小原秀雄の記した
「猛獣もし戦わば」に近い。

しかし、サバンナには、まだ強いヤツがいる。
キリンである。
身長5m以上ありながら、時速50kmで走り、
後ろ足の蹴りは、一発でライオンの頭蓋骨を粉砕する。
強烈な首の一撃でジープを破壊したことも。
しかも、キリンはゾウにその広い視野を、
ゾウはキリンに鋭い嗅覚を提供し、
一緒に行動しながら、敵を監視し合っている。
いわば、同盟を結んでいるのである。
強いものを味方につける。
政治力を持ったヤツこそ、最強か。

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小林慎一 13年11月9日放送



女の話 紺屋高尾

実在した吉原の花魁、
五代目高尾太夫をモデルにした落語がある。

神田の染物職人の久蔵は、
花魁の最高位である高尾太夫にひとめ惚れ。
会いたいばかりに必死に働いて、
3年でためたお金は13両。
身分を偽り、ついに高尾太夫と対面する。

「ここに来るのに3年間、必死にお金を貯めました。
 次に来れるのは3年後。」と
泣きながら白状する久蔵。
これを聞いた高尾太夫は思わずほろり。
二人は晴れて夫婦になった。

この話「紺屋高尾」では見請け金なしで結婚しているが
ある大名の側室になった六代目の高尾太夫の身請け金は6千両。
当時のお米の値段で計算すると4億8000万円とか。

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小林慎一 13年11月9日放送



女の話 グーデンホフ光子

日本で初めて国際結婚をした、グーデンホフ光子。
夫である、オーストラリア・ハンガリー帝国の外交官
ハインリッヒ・グーデンホフ伯爵は、東京、横浜に住む
ヨーロッパ人にこう宣言した。
「わが妻をヨーロッパ人女性と同等に扱わないものには、
 誰とでも決闘をいどむ」

しかし、光子の優美さと品のある作法に、みな魅了され、
決闘がおこるようなことはなかったという。

7人の子宝に恵まれた光子は、
領地であるボヘミア地方で子育てをした。
小学校しか出ていない光子は、
ヨーロッパ人の母親が持つ教養を身につけようと必死に勉強し
その姿を見て子供たちは成長した。

次男のリヒャルトは、
「ひとつのヨーロッパ、パン・ヨーロッパ」を唱え
ヨーロッパ統一に向け大きな思想的な影響を及ぼした。
日本の美徳を常に忘れず最高の母親になろうとした光子は、
EUの母を育てたのだ。

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小林慎一 13年11月9日放送


Yudysun Pratama
女の話 アリマキ

福岡伸一郎の著書によれば、
地球上に生命が誕生してから10億年ほどは
女しか存在しなかったという。

たとえば、アブラムシの一種である
アリマキという虫は
メスがメスだけでメスを生み、子を育て、
なんの不自由もなく暮らしている。

ただ、秋口になる例外的にオスが生まれる。
それは、免疫のないウイルスにかかったり、
急な環境変化によって種が全滅する可能性を減らすため。
つまり、遺伝子をシャッフルしリスクを分散する、
そのためにだけにオスは生まれるのだ。

そして、その本によると、
生物は、オスが遺伝子を放出するだけではもったいないと、
メスのために、えさを運んだり、家を建てたり、敵と戦ったりと、
より便利で男らしく進化していくオスを誕生させていったのだそうだ。

その著書の名は、
「男は女のできそこない」。

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小林慎一 13年11月9日放送



女の話 お仙

お仙の茶屋へ腰をかけたら
渋茶を出して
渋茶よこよこ横目で見たらば
米の団子か 
土の団子か

200年以上昔、江戸時代は明和年間のころ、
手毬歌にも唄われた絶世の美女、お仙。

お仙は水茶屋で働く茶汲み女。
いまでいうウエイトレス。
その美少女ぶりが、浮世絵師の目にとまり、
錦絵に描かれてたちまち江戸のアイドルに。

彼女を一目見ようと客が押し寄せ、
お茶屋が大繁盛したばかりか、
お仙キャラクターの
手ぬぐい、双六、人形といったグッズが大いに売れに売れた。
お仙をモデルにした芝居も大当たり。
経済効果は抜群だった。

もうひとりのアイドルだった柳家のお藤も、
錦絵や手ぬぐいを売り出してはみたが
江戸トップアイドル対決の軍配はお仙に。

お仙は人気絶頂の19歳で引退し、幸せな結婚生活を送ったとか。

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小林慎一 11月から参戦

小林慎一さんが
11月からVisionに参戦してくれることになりました。
奇特であります。助かります。
いままで休みが足りなかった人たちが
休めるようになるかもです。

よろしくお願いします。

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