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礒部建多 19年10月20日放送


イザナギとイザナミ

10月20日(はつか)、今日は頭髪の日。

神々を生み出した、イザナギとその妻イザナミ。
イザナミは、火の神を生むと同時に、火傷の為に亡くなってしまう。

イザナギは悲しみ、死者の国・黄泉国(よもつくに)へ
妻を迎えに行ったがイザナミは姿を現さず、
あなたと一緒に帰れるかどうか確かめてくる間、
私の姿は絶対に見ないでくださいと言った。
しかし、イザナギは約束を破って
イザナミの変わり果てた姿を見てしまった。

恐ろしくなったイザナギは、黄泉国から逃げ出すが、
イザナミは、姿を見られた事への恥ずかしさのために憤慨し、
悪霊たちにイザナギを追わせた。

必死に逃げるイザナギは、
頭につけていた黒御鬘(くろみかづら)という髪飾りや櫛を投げ捨てると
そのたびに悪霊たちの足を止めることができたという。

江戸時代の国学者本居宣長によると
古代の日本人は長い髪を編んで草花や葛(かずら)を
飾っていたそうだ。



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礒部建多 19年10月20日放送


洗髪休暇

10月20日(はつか)、今日は頭髪の日。

日本の歴史上、
最も有名な剣豪と言っても過言ではない、宮本武蔵。

人生のほとんどを放浪武士として過ごし、
13歳から29歳までに、60数回の決闘を行い、無敗だったいう伝説も残る。

映画やドラマに登場する武蔵は
ボサボサの長髪を、後ろで結わえているものが多い。

一説によると、
一年のうちでも余程の事がない限り、
髪を切るどころか、洗髪をする事もなかったという。

現代ほど、身なりを綺麗にする文化がなかったとはいえ
武蔵は別格だったようだ。

伝説の剣豪。
その強さの秘訣は、
身なりを整える時間も惜しまず、
剣技を磨いていた事にあったのかもしれない。



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礒部建多 19年8月18日放送

omoon
祭りの意味

日本では一年を通して、多くの祭りが行われる。
しかし、四季によって「祭り」の意味は変わる。

春は、豊作祈願。
夏は、作物が損なわれないように「風除け」や「虫送り」。
秋は、収穫に対する感謝祭。
冬は、田の神をねぎらい、新年を迎えるための新春祝い。

一貫して、農耕と結びつくが、
夏の祭りには、「厄除け」や「鎮魂」を意味したものが多い。

例えば日本三大祭りの祗園祭は、
疫病や災厄から暮らしを守るための厄除けとして始まった。
日本各地で行われる盆踊りは、
盆に帰って来る先祖の霊を迎える鎮魂の儀式である。

華やかさの裏にある、
先人たちの切なる願いに想いを馳せれば、
夏祭りの尊さに、改めて気づかされる。


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礒部建多 19年8月18日放送


消えた花火師

夏といえば、花火大会。

令和になった今でさえも、
「玉屋」の掛け声を耳にすることがある。

「橋の上 玉屋玉屋の声ばかり なぜに鍵屋と 言わぬ情無し」

これは、花火師である玉屋の人気を裏付ける狂歌である。

当時の玉屋人気は相当なものであり、
浮世絵の画題として描かれる花火も、
ほとんどが玉屋のものだったとか。

しかし天保14年、
玉屋は失火によって全焼、
街並みを半丁ほども焼失させてしまい、江戸から追放処分に。
わずか一代で家名断絶となってしまう。

人々を虜にする魅力。
あっという間に消えゆく儚さ。

ふと思う。
玉屋こそが、花火のようだと。


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礒部建多 19年6月16日放送

monicamüller
位を授かった和菓子

今日は、和菓子の日。

透明感があり、瑞々しいわらび餅。
これからの暑い季節を彩ってくれる。

一説によれば、
平安時代の醍醐天皇の好物であったのだ。
こんな逸話も存在する。

醍醐天皇はわらび餅の味を
ひどく気に入ったあまりに、
太夫の位を授けたとか。

上品な甘さ、モチっとした力強い弾力。
原料となるわらび粉は、希少価値も高い。

天皇ほどの人が、虜になるのも無理はない。


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礒部建多 19年6月16日放送


おかずだった和菓子

今日は和菓子の日。

元はポルトガルから伝来したカステラも、
日本人のアレンジによって確立した、立派な和菓子である。

そんなカステラは、お菓子ではなく、
おかずとして食されていた時期があった。

砂糖が貴重だった江戸時代。
今のように甘くはなく、
大根おろしをかけたり、お吸い物の具に入れて食す、
栄養食だったというのだ。

明治以降の経済成長と共に、
カステラの味は、今のような甘さ広がる、
豊かな味わいへと変わっていった。

カステラの歴史。
それはどこか、
この国の発展の歴史と重なるところがある。


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礒部建多 19年4月21日放送


沈黙の音

騒々しい毎日の中で、
「沈黙の音」を感じられる瞬間。
それが、茶の湯。

茶の湯には、
三音という、茶を点てる時の心得がある。

釜の蓋をずらす音、
茶筅の穂を茶碗の湯に通すこと、
茶碗に茶杓をあてる音。

異説もあるが、
これ以外の音を立てないことが理想とされている。
しかし、むしろ限られた音を意識してたてるという発想に近い。

茶の湯では、言葉を使わない。
その分、音が声となる。
心遣いを、音に託すのである。

「沈黙の音」。
それは何よりも雄弁な音なのかもしれない。


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礒部建多 19年4月21日放送


ビジネス茶道

ビジネス茶道が広まっている。
茶の湯の所作や、教養を学び、癒しを得ることで、
仕事の質の向上を目指すものだ。

しかし、
デジタル機器から離れられることも、
大きな効果の一つである。

そもそも当時、茶の湯が流行した理由には、
茶室に武器である刀を持ち込めなかったことがあった。

現代における「戦い」が、「仕事」であるならば、
その「武器」は、「デジタル機器」ということになるだろうか。

現代を生きるすべての武士たちへ。
殺伐とした日常を離れ、
静寂に身を委ねてみてはいかがだろう。

もちろんその後に、
「戦い」は待っているのだが。


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礒部建多 19年2月10日放送

Kristian Kangasniemi Photography
北欧メタル

北欧は、メタルミュージック先進国である。
メタルバンドの数は、
スウェーデン、デンマーク、ノルウェーを含む
スカンジナビア半島で高く、
特にフィンランドでは、
人口10万人あたり53.2組と、世界トップだ。

その理由は諸説ある。
メタルのエモーショナルな暗さは、
北欧の長く寒い冬を映し出すものだという説や、
メタルの持つ怒りや暴力性は、
北欧のヴァイキングと呼応するという説もあったとか。
もちろん、本当の理由は分からない。

しかし事実として、
北欧諸国では国が教育の一環で
音楽活動・バンド活動に対して
資金や場所を手厚くサポートしてくれるのだ。
すべての文化や、創造性を支援する。
寛容で温かな国民性だからこそ育まれたのは、
間違いなさそうだ。


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礒部建多 19年2月10日放送

Doug Oines
ニッケルハルパ

スウェーデンの伝統楽器「ニッケルハルパ」。
「ニッケル」は鍵盤を意味し、
「ハルパ」はハープを意味する。
形はバイオリンに似て弓で弾くが、
弦ではなく、鍵盤を押さえて演奏する。

4本のメロディーを鳴らす弦のほかに、
12本もの共鳴させる弦を持つのも特徴的だ。
構造は複雑だが、演奏は簡単で、初心者でも扱いやすい。

その音色はとても豊かで、
16本の弦が織りなす、エコーがかかったような柔らかい響き。
どこで弾いても、
まるで天井の高い教会で演奏しているかのように、音に包み込まれる。
国の持つ豊かさは、きっと楽器にも宿るのだろう。
繊細かつ雄大な音色を、是非試してみてほしい


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