2010 年 6 月 5 日 のアーカイブ

厚焼玉子 10年06月05日放送


宮沢賢治の音

ぷりりぷりりと震えるウメバチソウ
サァン、ツァンと揺れる竜胆の花
しゃりんしゃりんとそよぐ鈴蘭。
そしてツリガネソウは
カンカンカン、カエコカンコカンと響き合う。

宮沢賢治はもの言わぬ植物から歌を聴いた。

どっどど どどうど、と風が鳴る。
ツンツンツンと月は明るい。

宮沢賢治にとって
この星の天と地の間にあるものはすべて生きているのだ。
生きているから歌を持っているのだ。

ルルルルル、とハチスズメが飛ぶ。
ギュッギュッ、ギッギッと蛙が鳴く。

私たちもこの星の歌に耳を澄ませよう。
一本の木に鳥が来て、一輪の花に虫が来る。
ひとしずくの水にだって無数の微生物が棲んでいる。

小さな命の歌と歌が
美しく響き合う地球であるように。


火の鳥から野菜へ

野口種苗研究所の野口勳さんは野菜の種と苗を売っている。
その種は固定種と呼ばれるもので
親の種を取って撒くと親と同じ野菜が生えてくる。

種を撒いたら生えてくるのは当然のようだが
いまの野菜の多くはF1と呼ばれる種からできている。
F1は一代雑種で大量生産には便利だけれど
その種から同じ野菜はできない。

野口勳さんは大学の頃から手塚治虫の大ファンで
念願の虫プロに就職して「火の鳥」の初代編集者になった。
手塚治虫の生涯のテーマは
「生命の尊厳と地球環境の持続」

これに感銘を受けた野口さんは家業の種苗店を継いだとき
日本の伝統的な固定種を扱うことに決めたのだ。

種を撒いたら親と同じ野菜が生えてくる。
こんな当たり前のことを守っていくのも
地球に生まれた生命の尊厳と地球環境の持続だと思う。


海は森を恋いながら 熊谷龍子

 森は海を 海は森を恋いながら 悠久よりの愛紡ぎゆく

この美しい言葉は宮城県の歌人熊谷龍子さんが詠んだ歌。
熊谷さんは森のなかの家に住み
山から海を考えたことはあったけれど
海から山を見たことはなかった。

誘われて海へ行った。
海の水で洗っただけのまっ白な牡蠣を食べた。
その牡蠣は森の恵みだと教えられた。
びっくりした。

森の落ち葉が腐葉土になり
森に降った雨が腐葉土にしみ込んで
その養分を川に運ぶ。
その川はやがて海につながっていくのだ。

海と森には深い絆がある。
太古からの地球の営みのなかで
海と森はつながっている。

森は海を、海は森を恋い慕っている。
この言葉を忘れないようにしよう。


森は海の恋人 畠山重篤

宮城県気仙沼の海が茶色になったのは
昭和40年代から50年年代にかけてのことだった。

その原因は多過ぎるほどあった。
工場排水、一般家庭からの排水、農薬に除草剤、
手入れのされない針葉樹林からの赤土…

気仙沼で牡蠣の養殖をしていた畠山重篤さんは
まっ白なはずの牡蠣の身が赤くなったことに驚き
ヨーロッパまで視察に行って勉強をした。

いままでの海を取り戻すには何をすればいいのだろう。
海ばかり見ていたのではダメなんだ。

海には植物プランクトンの森がある。
海の森を育てるのは山の森だ。
山の森の養分を川が運んで海の森を育てることがわかった。

いま、畠山さんは「森は海の恋人」というNPO法人の代表として
海に生きる人たちの手で山の森を育てる活動をしている。

木を植え、森を育て、里山をつくり
気仙沼の海は少しづつキレイになっている。

「森は海の恋人」という言葉は歌人熊谷龍子さんの歌からもらった。
  森は海を 海は森を恋いながら 悠久よりの愛紡ぎゆく
美しい言葉に負けない美しい海を…


照葉樹林 宮脇昭

マレーシアの、
再生不可能と言われた熱帯雨林をよみがえらせ
万里の長城の壊滅した森も復活させた。
2006年には地球環境に貢献したことが認められ
ブループラネット賞を受賞した宮脇昭さん。

宮脇さんが木を植えるときは
その土地にもともと生えていた木をさがして植える。
しかし、たとえばいまの日本でその土地本来の森は
0.06%しか残っていない。

困ったとき、宮脇さんは鎮守の森の木を調べる。
鎮守の森は神さまの領域なので
昔から木を伐られることがあまりないからだ。

宮脇さんの森は人の管理を必要としない。
地球の太古の森がそうだったように
自然にまかせておけば元気に生きている。

人は自然をもっと信じて生きなければ。


10年めの三宅島 ジャック・モイヤー

かつて200種類を超える野鳥が棲み
バードアイランドと呼ばれた三宅島。

噴火直後は小鳥の声も聞こえなくなったといわれたけれど
10年たったいまでは賑やかなさえずりが聴こえる。
海では魚と伊勢エビが増えている。

三宅島に住んでいた世界環境保護スペシャリスト
ジャック・モイヤー博士は
島に帰る日が来る前に亡くなってしまったけれど
博士が教えてくれたことは、いまも三宅島に生きています。


宇宙ゴミ ニコラス・ジョンソン

5,500トンのゴミが地球の周囲をまわっている。
その内容は人工衛星やロケットの残骸から
宇宙飛行士が落とした手袋や工具まで。

これらをまとめてスペース・デプリと呼ぶ。
日本語で言うなら宇宙ゴミ。

宇宙ゴミは活動中の人工衛星と衝突することがある。
たとえば1996年のフランスの軍事衛星は
10年前のロケットの破片と衝突して損傷を受けた。
直径10センチのゴミで宇宙船ひとつが破壊されてしまうというから
宇宙のゴミは危険物そのものなのだ。

アメリカの航空宇宙局NASAには宇宙ゴミ問題の主任科学者がいる。
お名前はニコラス・ジョンソン。
ジョンソン氏は宇宙ゴミ国際調整会議の米国代表団の団長をつとめ、
国際宇宙科学学会の宇宙ゴミ小委員会の共同議長、
さらに米国航空宇宙学会の宇宙ゴミ標準化委員会の委員も兼ねている。
また1995年には国際宇宙ステーションの
宇宙ゴミ安全管理委員会の委員でもあった。

地球は宇宙へつながっている。
地球環境はもう地球だけの問題ではなくなってしまったようだ。

頭の痛い宇宙ゴミ問題に取り組むジョンソン氏を
心から応援したい。

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