大友美有紀 17年8月6日放送

170806-05

「軽井沢ソサエティ」吉川英治の軽井沢の家

軽井沢には作家や文化人たちの別荘も数多くあった。
国民大衆作家、吉川英治が別荘を手に入れたのは
行きがかり上のことだった。
昭和22、3年頃、知人に「このままでは年が越せない、助けてほしい」と
拝み倒され、軽井沢の一軒家を購入した。
間取りも場所もよくわからない、どんな家かも下見もせずに
成り行きで買ってしまった。
数年後、夏場涼しいところで執筆したいと考えた吉川は、
軽井沢に家があることを思い出した。
いざ探してみると、とても住めたものではなかった。
大掃除をし、仕事場を建て増しし、ようやく腰を落ち着けると
いっぺんで気に入った。以来毎年、夏になると軽井沢を訪れた。
夏休みが終わり家族が東京に帰っても10月半ばまで滞在した。
その時期には知人の作家たちも引き上げてしまう。
残ったのは吉川と画家の梅原龍三郎ぐらいになる。

 秋たけてのこる浅間と画家一人

大作家も寂しさに素直になれる。
それも軽井沢の魅力なのかもしれない。

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