2020 年 1 月 25 日 のアーカイブ

野村隆文 20年1月25日放送

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サマセット・モームの秘密

今から150年ほど前のこと。
パリのシャンゼリゼに、「美女と野獣」と噂された夫婦がいた。

大使館の顧問弁護士をつとめる教養人の夫と、
名家の出身で、たいそう美人な妻。
パリの社交界でも花形だったその夫婦に、1874年の今日、
六人兄弟の末っ子が生まれた。

少年の名は、サマセット・モーム。
のちに「月と六ペンス」を執筆し、
世界的なベストセラーとなる。

 思い煩うことはない。人生に意味はないのだ。

と語った大作家の、数奇な人生がはじまった。


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野村隆文 20年1月25日放送


サマセット・モームの秘密

サマセット・モーム。
数々のベストセラーを生んだ大作家には、
実は裏の顔があった。

語学が堪能で、旅行好きだったモームは、
あのジェームズ・ボンドと同じイギリスのスパイ機関
MI6に所属していた。
コードネームは“サマーヴィル”。

1917年には、革命の渦中であるロシアにも潜入。
後にその経験を下敷きに、
スパイ小説の古典『アシェンデン』も執筆している。

 矛盾だらけのさまざまな性質を
 束ねたものが人間だ


激動の時代に作家をつづけていくための、
一級の処世術だったのかもしれない。


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野村隆文 20年1月25日放送


サマセット・モームの秘密

イギリス人作家、サマセット・モームは、
旅行好きで有名。
ここ日本にも、生涯で4度訪れている。

「日本を題材に、なにか書くつもりは?」という質問には、
「わたしはもう死火山ですよ。フジヤマのようにね」と答えたが
実は、神戸を舞台に短編を残している。
その内容はなんと、人がときに見せる矛盾した一面について。

サマセット・モームの名言がある。

 ユーモアのセンスを持っていると、
 人間性の矛盾を楽しむようになる。


大作家は、自分の矛盾した一面さえも
楽しんでいたようだ。


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野村隆文 20年1月25日放送


サマセット・モームの秘密

 自分の四分の三は正常で、四分の一だけが変だと
 言い聞かせようとしていた。
 でも、実際の割合はあべこべだった。


作家のサマセット・モームは、
晩年、甥に向かってそう語ったという。

モームが生きた時代のイギリスでは、
同性愛は違法だった。
彼が二十一歳のときにも、
オスカー・ワイルドが投獄され、衝撃を与えている。

生前、公言は避けてきたモームだったが、
実はジェラルド・ハクストンというアメリカ人のハンサム・ボーイと、
繰り返し長旅に出ている。

社交家のハクストンは、
内気だったモームと、旅先で出会った人々の橋渡しをしたり、
真っ先に原稿を読んでアドバイスしたりと、
晩年までパートナーとして寄り添いつづけた。

いまや、同性愛への認識は、
世界中で大きく変わりつつあるが、
その裏側には、知られざる物語がある。


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野村隆文 20年1月25日放送


サマセット・モームの秘密

イギリス人作家、サマセット・モーム。

波乱万丈の人生を送り、
「人生に意味はない」と語った作家は、
91歳で没する、その晩年まで筆をとりつづけた。

彼の代表作は、「月と六ペンス」。
月は、幻想的な美。
六ペンスは、安っぽい日常のことを表しているという。

天才と凡人。善人と悪人を、公平に描きあげる。
そして、一人の人間のなかにも、矛盾があることを暴く。

矛盾した人間に呆れ、
先の読めない人生に諦めを覚えながら、
それでもそれをそのまま書き上げることで、
彼は人間を信じようとしたのかもしれない。

今日は、サマセット・モームの誕生日。


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