薄組・薄景子

小野麻利江 18年9月30日放送

180930-05
Photo by Daniel Sturgess
大地のはなし 大地を深掘りしていくと

大地の成分は、岩と土。

マグマが急速に、あるいは、
ゆっくりと冷やされたことで、できた岩。
生物の死骸が集まり、積み重なって、できた岩。
そんな岩たちが水や風で砕かれたり、
地下の奥深くで強い作用を受けたりして、できた岩。

それら岩石の細かい粒子がベースとなり、
そこに火山灰や、
動物・植物・微生物の死骸と排せつ物、
微生物によって分解された有機物などが
混じり合って、土になる。

土の中にはたくさんのすき間があり、
そのすき間は水と、
二酸化炭素や窒素を多く含んだ空気で満ちている。
たくさんの微生物や、動物たちも生きている。

大地を深掘りしていくと、
はるか宇宙の、
見知らぬ惑星のような風景が見えてくる。

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小野麻利江 18年9月30日放送

180930-06

大地のはなし 『菜根譚』より・天地と心根

 天地は、元来、広大なものであるが、
 心根の卑しい者が、自ら狭くする。

これは、明の時代末期の中国で書かれた、
『菜根譚』という処世訓の中にある言葉。

すべては心の持ちかた次第。
いまの自分の環境が
何だかせせこましいなと思ったら、

視野を広げて、広い自然・広い大地の中に、
身を置いてもいいのかも。

それをするには、
これからますます、いい季節です。

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茂木彩海 18年9月30日放送

180930-07
Photo by Gabriel Jimenez
大地のはなし 癒しの土

動物たちはミネラル不足を補うために
自ら進んで土を食べることがあるそうだが、
ネイティブ・アメリカンたちも土を「イワーキー」と呼び、
心労回復のために食べる習慣があるという。

イワーキー。意味は、癒しの土。

大地はいつでも動物たちの亡骸を静かに受け止め、木々を育て続ける。
数百万年もの間、優しく、ゆっくりと。

私たちの足元には、そんな究極の癒しが広がっている。

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茂木彩海 18年9月30日放送

180930-08

大地のはなし 土偶の秘密

女性や妊婦、精霊を表現して作られたと言われている
土から生まれた偶像、土偶。

土偶が盛んに作られた縄文時代は、世界にも類を見ない平和な時代であり、
1万年という長い年月でありながら争いで人が死ぬことなど
ほとんどなかった、と言われている。

現代人が夢見る争いのない社会。

縄文時代の平和な大地から生まれた彼女たちなら
その秘密を知っているのだろうか。

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小野麻利江 18年8月26日放送

180826-01

宿題のはなし 溜めてしまった宿題に

8月最後の日曜日。

夏休みの宿題を溜めてしまい、
頭を抱えているお子さんが、
もしいたら。

江戸時代中期、山形は米沢藩の
財政を立て直した名君、
上杉鷹山(うえすぎようざん)公が
家臣に示した、
こんな言葉を贈りたい。

 なせば成る なさねば成らぬ 何事も

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小野麻利江 18年8月26日放送

180826-02

宿題のはなし 先延ばしの偉人

明日やろう。明日こそはやろう。
子どもの頃の「夏休みの宿題」に始まり、
人は、幾つになっても、
気が進まないことを先延ばしにしがち。

しかし、安心してください。
かの天才、レオナルド・ダ・ヴィンチも、
先延ばしすることが、多かった模様。

たとえば、7ヶ月で完成させる契約だった
「岩窟の聖母」という絵画が、
実際に完成したのは、なんと25年後。

好奇心旺盛でひとつのことに集中できず、
途中で投げ出した作品も多いそう。

あなたにも、もし、「先延ばしグセ」があるとしたら。
ひょっとするとそれ、
「天才のしるし」かもしれません。

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熊埜御堂由香 18年8月26日放送

180826-03

宿題のはなし 音読の効用

宿題をする子どもも大変だが、宿題を見る親も実は大変だ。
1年生の宿題の定番、「音読」。
子どもは文章を読む。親はそれを聴く。
この宿題、文字通り、お父さん、お母さんにとっても
もしかしたら耳が痛い宿題かもしれない。

姿勢良く読めたか?
声は大きかったか?
気持ちはこもっていたか?
親が採点をして学校に提出する。
全部マルで出すと、それはそれでちゃんと聴いていたのかと
先生に思われるかも・・・とたまにサンカクやバッテンも
織り交ぜながら、採点する。

繰り返し、繰り返し、なぜ毎日、
おんなじ文章を読み上げなければないならいのか?
諸説あって、声に出すと黙読では読み流していた
言葉に意識が向き理解が深まるだとか、
唾液が多く分泌されて、虫歯予防になり、成績もアップする
という説も。

ある先生は、こんな説を持っている。
「声を出す」ことを続けると、「自分の意見を言う」気持ちにつながる。
だから音読は毎日、コツコツやるんです。

なるほど、ルーティンだと思ってしまえばつまらない
音読も、いつか自分自身の言葉を持つための準備運動と
思うと、今日も一緒に頑張ろうとやる気も湧いてくる。

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薄景子 18年8月26日放送

180826-04

宿題のはなし 宿題の日

夏休みの終わりに
溜め込んだ宿題を必死で片づける。
そんな記憶は誰にでもあるだろう。

8月31日は「宿題の日」に制定されているという。
イギリスのあるチャリティー団体が
学ぶ喜びに気づいてもらうことを願って定めたもの。

世界には教育の機会に恵まれない子どもたちが
6千万人以上いるという。
学べることへの感謝に気づけば
夏の終わりの宿題も、きっといい思い出に変えられる。

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石橋涼子 18年8月26日放送

180826-05
kazutan3@YCC
宿題のはなし 自由研究のはじまり

夏休みの宿題の定番でもある、自由研究。
それは、大正デモクラシーと同時期に起こった
大正自由教育運動から生まれたという。
それまでの一方的な教育ではなく、
こどもが主体の学びを目指そうという
現代に於いても斬新な思想を持った教育運動だ。

その時代に、特に多くの新教育を実践したのが、
東京府立第五中学校の初代校長をつとめた伊藤長七だ。

当時では珍しい課外活動や実験を重視し、
学生の自由な発明工夫を集めて展示する
創作展も開催した。
それまでの権威主義的な教育や教師を嫌い、
学生の意見をつねに聞く姿勢を崩さなかった。
先生は偉い、教育は権威だ、という時代に
伊藤長七の学校には自由と活力が溢れていたという。

夏休みの最後に残りがちな自由研究。
肩の力を抜いて向き合ってみると、
自由なひらめきも沸いてくるかもしれません。

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石橋涼子 18年8月26日放送

180826-06

宿題のはなし 遊牧民の進み方

8月最後の日曜日。
夏休みの宿題とにらめっこをしている人も
多いかもしれない。

厳しい自然や天候と常に向き合いながら生きる
遊牧の国モンゴルにはこんなことわざがあるらしい。

 山が高いからといって戻ってはならない。
 進めば越えられる。

 仕事が多いからといってひるんではならない。
 行えば必ず終わる。

宿題だって、一問ずつ、1ページずつ。
ゆっくり進んで行けば必ず終わるもの。
焦りも、その後の解放感も、この夏の思い出です。

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