呼吸のはなし サン=テグジュペリの愛の言葉
星の王子様の作者、サン=テグジュペリが
愛について残した言葉がある。
私たちは同じ目的によって隣人と結ばれるとき、
初めて呼吸することができる。
愛するとは、お互いに見つめあうことではなく、
ともに同じ方向を見ることだ。
大事なひとと喧嘩になったら、
思ってもいないひどい言葉を投げるより、ひと呼吸。
窓をあけて、ふたりで深呼吸しよう。
呼吸のはなし サン=テグジュペリの愛の言葉
星の王子様の作者、サン=テグジュペリが
愛について残した言葉がある。
私たちは同じ目的によって隣人と結ばれるとき、
初めて呼吸することができる。
愛するとは、お互いに見つめあうことではなく、
ともに同じ方向を見ることだ。
大事なひとと喧嘩になったら、
思ってもいないひどい言葉を投げるより、ひと呼吸。
窓をあけて、ふたりで深呼吸しよう。
don2g
呼吸のはなし 長田弘の詩と呼吸
ふと気がつくと、
まともな呼吸ができないくらい
追われるように暮らしている。
そんな慌ただしい日々を
風のように吹き抜けることばがある。
詩人、長田弘の詩、「窓のある物語」
ことばが信じられない日は、
窓を開ける。それから、
外にむかって、静かに息をととのえ、
齢の数だけ、深呼吸をする。
ゆっくり、まじないをかけるように。
その詩のままに、そっと目を閉じ
ただただ呼吸をゆったり深める。
齢の数まで呼吸しなくとも、
ひと息ごとに胸のざわめきが
静かにやさしくなってゆく。
そうだ。
ことばが信じられない日こそ
ことばを、呼吸を、信じてみよう。
めまぐるしさを時代のせいにするのは
もうやめて。
呼吸のはなし 書道家の呼吸
吐く息がすーっと溶け込み、吸う息が自然に体に流れ込んできて、
溶け合うことを入我我入と言うんです。
自然に息を吸って、その息が自然に出て行くように毎日を過ごしていれば、
どこかに行き着くのだと信じているのです。
御年97歳の書家、関頑亭(せきがんてい)の言葉である。
生きることは呼吸をすること。
流れる筆のようなしなやかな呼吸が、健やかな心と体の糧となる。
呼吸のはなし ぜいたくな呼吸
いい役者には空気を変える力があるとはよく聞くが、
その場の空気を一緒につくりあげる、それが舞台役者なのかもしれない。
歌舞伎役者、中村勘九郎は「四谷怪談」でお岩さんを
演じたときのことを、こう振り返る。
舞台の上でお客さんの呼吸が聞こえるくらい集中してくれた。
私はぜいたくにも舞台と客席がいまひとつになった瞬間を感じ取った。
一緒に息をのんで、一緒にホっとため息をつく。
その一体感こそが舞台を楽しむ醍醐味なのだろう。
jackyczj
喫茶の話 村上春樹のジャズ喫茶
村上春樹は小説家になる前、ジャズ喫茶を数年営んでいた。
窓のない地下の静かな店だった。
村上は店を開いた時の想いをこう語った。
小さな店でもいいから、自分ひとりで
きちんとした仕事をしたかった。
喫茶店という空間は、その店主だけが生み出せる
特別な時間が流れている。
Shin Takeuchi
喫茶の話 狭山茶の歌
日本三大茶とも言われる埼玉県入間市の名産、狭山茶。
大正時代から製造を続ける新井園本店には
小さなカフェが併設されている。
狭山茶で、地元のひとの合間の
空き時間を豊かにしたい。
そんな想いで始めた。
色は静岡、香りは宇治よ、味は狭山でとどめさす。
とお茶摘みの女性たちが
収穫の合間に歌いながらお茶を育ててきた。
その甘く濃厚な味わいは、
地元の味を誇りに想う気持ちに、今も支えられている。
Querfeld GesmbH
喫茶の話 ツヴァイクとウィーンのカフェ
2011年に、ユネスコの無形文化遺産に登録された
ウィーンのカフェ文化が花開いたのは、19世紀後半だ。
その頃のカフェには、政治家から、音楽家、
演劇家、芸術家、文学者など、様々な種類の人が集った。
逆に言えば、集う客の種類によって、
その店の個性が育まれたとも考えられる。
例えば、
建築家アドルフ・ロースが設計したカフェ・ムゼウムは
画家のクリムトを始めとする芸術家や建築家たちが集まり、
新しい時代のデザインについて語り合った。
ブルク劇場のそばにあるカフェ・ラントマンは、
役者や政治家が多く集い、
エレガントな雰囲気を売りにした。
当時のウィーンで裕福なユダヤ人家庭に生まれ、
後に亡命せざるを得なくなった作家のツヴァイクは
後年、若かりし頃のウィーンの文化を回想して、こう語る。
あらゆる新しいものに対する最良の教養の場は、
常にカフェであった。
コーヒーと共に、多くを学べる場でもあった
19世紀末のウィーンのカフェからは、
ウィーン分離派や合理主義、青春ウィーン派など
多くの文化が巣立った。
nicocarver
喫茶の話 トルコ・コーヒーの価値
水から煮たてたコーヒーの、上澄みだけを飲む
トルコ・コーヒーを、ご存知だろうか。
トルコで一般的な飲み物と言えばチャイだが、
おもてなしの際にふるまわれるのは、トルコ・コーヒーだ。
美味しいトルコ・コーヒーは、
つくるのに手間と時間がかかるのだ。
トルコには、こんな古いことわざがある。
一杯のコーヒーには40年の思い出がある。
それだけの想いを込めて淹れているとも、
その味はずっと記憶に残るとも、解釈できる。
KathrynW1
喫茶の話 ヘンリー・ジェイムスの言葉
英国で生まれた午後の優雅な喫茶習慣、
アフターヌーンティー。
ふわりと立ち上る高貴な香り。
紅茶とともに、サンドイッチやスコーンを
2、3段重ねのティースタンドにのせて楽しむ
上流階級文化の精髄である。
かつてイギリスでは、1日2食が主流だったため
小腹を満たすために始まった習慣らしい。
上流階級の女性たちにとって、
夕方は観劇やオペラを楽しむ社交タイム。
夕食前の空腹を紛らわすのにちょうどよかったことも
広まった理由だとか。
そんなアフターヌーンティー文化に
魅せられた小説家、ヘンリー・ジェイムスは
こんな言葉をのこしている。
午後のお茶という名で知られる儀式に
費やされる時間ほど、
心地よい時は人生でそうたくさんはない。
yu-sui.net & cooperators
喫茶の話 談話室滝沢
かつて東京に4店舗あった喫茶店、「談話室滝沢」。
広々とした店内は、長居のできる落ち着いた雰囲気。
黄緑色の椅子とカーペット、
そして、錦鯉が泳ぐ小さな滝がトレードマーク。
また、従業員は、すべて正社員。
社員寮で徹底した接客教育を行っていた。
しかしそんな滝沢も、
2005年に、惜しまれながら閉店。
従業員の確保とサービスの質を保つのが
難しくなったというのが、その理由だった。
喫茶というサービスにかける、並々ならぬプライド。
社長の滝沢次郎氏は、かつてこう語っている。
滝沢がお客様に売るものは
コーヒーではなく、
社員の人格・礼儀作法である
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