‘佐藤日登美’ タグのついている投稿

佐藤日登美 20年5月10日放送



ナイチンゲール

看護教育の母ナイチンゲール。

上流階級に生まれた彼女が志した看護師。
当時は下流階級の女性が就く職業と考えられていたため、
家族は猛反対した。
それでも意志を貫いたのは、神の啓示を受けたから。

クリミア戦争の野戦病院に派遣されたナイチンゲールは、
その献身的な看護と負傷兵の死亡率激減という実績から
一躍注目される存在となる。

帰国後も、看護学校の設立や教本の執筆など精力的に活動し、
看護師は雑用係から高い教養を必要とする専門職に認められるようになった。

医療従事者への感謝を込めて。

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佐藤日登美 20年4月12日放送


VV Nincic
パンの話 クロワッサン

ミルフィーユ状に重なったサクサクの生地をかじると、
バターの香りがふわりと広がる。
クロワッサンはどのようにできるのだろう。

食感の要となる層を作るために、
大きなバターをそのまま生地に包み、何度も薄く伸ばして丁寧に折りたたむ。
成形したあとはオーブンの中へ。
生地の中のバターが熱で蒸発すると、パン全体がふわりと持ち上がる。

そういえば、映画『ティファニーで朝食を』では
主人公役のオードリー・ヘップバーンがコーヒーとともにクロワッサンを口にしていた。

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佐藤日登美 20年4月12日放送


Johannes Lietz
パンの話 バゲット

1920年代のフランス。
過酷な労働環境を改善するため、午後10時から午前4時の間、
パン職人が働くことを禁止する法が出された。

困った職人たちは、短時間でできるパンを考える。
それまで作っていた大きな丸い形では時間がかかるので、
生地を細長くし、30分ほどで焼きあがるように工夫した。
これがバゲットの始まり。

時間が限られている中でこそ生まれるものもある、
というのはいつの時代も変わらない。

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佐藤日登美 20年3月8日放送


rbanks
彼女に感謝 ローザ・パークス

1950年代のアメリカ南部では、
黒人を不当に扱う人種分離法が平然と施行されていた。
バスの座席は人種によって分けられ、
黒人は白人のために席を譲ることを強制された。
だが、黒人の活動家ローザ・パークスはこれを拒否。
彼女は法令違反で逮捕されたが、
ローザの行動に勇気づけられた仲間たちがバスボイコットを起こし、
やがて公民権運動へと発展していく。

彼女は言う。

 変化とは、恐れずに最初の一歩を踏み出すこと。

今日は国際女性デー。

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佐藤日登美 20年3月8日放送


Recuerdos de Pandora
彼女に感謝 キャサリン・スウィッツアー

1960年代、女性はマラソンを完走できないと言われていた。
大会に参加できるのは男性のみ。
そんな偏見を覆そうと行動に出た女性がいた。
大学のクロスカントリークラブで
長距離走のトレーニングを積んでいたキャサリン・スウィッツアー。
性別を悟られないように名前を「K.V.スウィッツアー」と登録し、
ボストンマラソンに出場したのだ。
走行中、女性だと気づいた主催者がゼッケンを取ろうと妨害するが、彼女は走りきった。

この出来事をきっかけに、女性のマラソンへの参加が認められるようになる。

今日は国際女性デー。

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佐藤日登美 20年2月9日放送



肉  魯山人のすき焼き

芸術家であり、美食家としても有名な北大路魯山人。
彼はすき焼きに並々ならぬこだわりを持っていた。

鉄鍋に牛脂をひき、霜降りの牛肉を入れたら
酒と醤油、ごくごく少量のみりんで味をつける。
いただくときは大根おろしを乗せて。
肉を食べ終えたら鍋に出汁を足し、野菜をほどよく煮る。
その繰り返し。

ねぎは一皮剥く、ほうれん草を用意する、など細かい作法が続くので
彼がすき焼きを食べるときには極意を心得た人が必要だった。

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佐藤日登美 20年2月9日放送



肉  池波正太郎のすき焼き

美食家としても知られる小説家、池波正太郎。
彼は肉の質によってすき焼きの調理法を変えていた。

うんといい牛肉が手に入ったら、
かつおぶし・醤油・みりんで作った割下を鍋に少し入れ、その中で肉にさっと火を通す。
まずは肉を楽しみ、よきときにぶつ切りのねぎを並べる。

牛肉とねぎだけ。
いい肉を味わうときはシンプルに。
そうでないときは砂糖を入れて甘辛く煮る。
「これはこれでいいもんだ」と池波は言う。

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佐藤日登美 20年1月12日放送


首相官邸
和服  即位礼正殿の儀の装束

令和元年、10月22日。
即位礼正殿の儀が執り行われた。

天皇陛下が国内外に即位を宣明する儀式。
そのお言葉とともに、装束姿も注目された。

平安時代を思わせる黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)と呼ばれる装束を身にまとった天皇陛下に続くのは、十二単姿の皇后さま。
一番上の御唐衣(おんからぎぬ)は白と萌葱色、その下に薄紫色と赤のグラーデーションが美しい。

時代の変わり目にしか見ることができない、雅なお姿だ。

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佐藤日登美 20年1月12日放送



和服  国民祭典の着物

令和元年、11月9日。
「天皇陛下御即位をお祝いする国民祭典」の場で祝辞を述べた、女優・芦田愛菜さん。
彼女が着た着物は、老舗呉服店・鈴乃屋が用意した。

生成色に菊の花の刺繍が施され、豪華ながら上品な佇まい。
着物に描かれた「紗綾形(さやがた)」と呼ばれる文様は「卍」の文字を斜めに崩し、
連続的につなげたもので「家の繁栄」「永遠」「長寿」を意味する。

100年ほど前から、誰も袖を通したことがないという貴重な着物。
新しい時代の幕開けに彩りを添えた。

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佐藤日登美 19年12月8日放送


kyu3
こわい お化け屋敷プロデューサー

遊園地の中では地味な存在だったお化け屋敷を、
大人気アトラクションに変えた男がいる。
お化け屋敷プロデューサー、五味弘文。

彼のお化け屋敷の中では、お客さんも演出の一部だ。
例えば、リアルな赤ちゃんの人形を渡され、出口まで届ける。
呪いの歯を素手で抜く。
靴を脱いで暗闇の中を歩く。

そこには物語があり、それを知った上で進むことで恐怖が倍増する。
五味はお化け屋敷に「ストーリー性」という概念を組み込むことで、
新たなエンターテイメントを生み出した。

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