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厚焼玉子 19年11月17日放送



あの人の料理帖 吉田兼好の“大根の兵隊”

九州で警備隊長の職についていた人が
大根を薬であると信じて毎朝2本づつ食べていた。
あるとき、館に人がいなくなった隙を見て
敵が襲って来たが、
見たこともない兵隊がふたりあらわれて
敵と戦い、とうとう追い返してしまった。

助かりました、あなたは誰?と訊かれて
兵隊は答えた。
「日頃目をかけていただいている大根でござる」

「食は人の天なり」と徒然草に書いた吉田兼好の
ちょっと気楽な食の話である。

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厚焼玉子 19年11月17日放送



あの人の料理帖 鴨長明の“飢饉”

二年に渡る飢饉を経験した鴨長明は
方丈記でこんなことを書いている。

相思相愛の妻、または夫は
愛情の深いものが必ず先に死んでいった。
親子であれば親が先に死んだ。

鴨長明はその人生で4度も大きな災害を経験した。
大火、竜巻、飢饉、大地震と津波….

それでも62歳まで生きたのは
そこに食があったから。

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厚焼玉子 19年11月17日放送


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あの人の料理帖 道元の“心”

永平寺を開いた道元は
中国へ留学したときに食事の大切さを学んだ。
禅寺の料理係は典座(てんぞ)と呼ばれ
信認の厚い人が任命される。

道元の著書には
料理をするとき、三つの心が大切だと書かれている。
もてなすことを喜びとする心、
かたよりのない大きな心、
そして子供を慈しむ親のような心である。

禅寺に限らず、料理を作るときはそうありたい。

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厚焼玉子 19年11月17日放送


lkonstanski
あの人の料理帖 ターシャの“ドレッシング”

絵本作家、園芸家
さまざまな肩書を持つターシャ・テューダーは
料理の本も出している。

自慢のドレッシングのレシピを見ると
オイル、ビネガーなど11種類の材料と
4種類のハーブが並び、
ハーブは刻んではいけないと書いてある。

つまり、売っているドライハーブではなく
庭や窓辺の植木鉢で育てた生のハーブがないと
実現しないレシピなのだ。

タイム、チャービル、タラゴン、バジル。
さて、どこまで育てられるだろう。

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厚焼玉子 19年9月28日放送



秋の虫 虫聞き

秋の夜、野山に出て虫の声を楽しむことを
「虫聞き」と言うそうだ。

虫の声を楽しむ習慣は日本にしかない。
ラフカディオ・ハーンは日本に来て
虫の声を楽しむ人々を見てかなり驚き、
虫を売る商売があるのを知って
さらに驚いたという。

なぜ日本にしかないのか、
左右の脳の機能の問題とは思うが、
面倒な話は置いておいて
虫の声を楽しむ文化のある国で
秋をじっくり楽しみたい。

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厚焼玉子 19年9月28日放送



秋の虫 枕草子

「春はあけぼの」からはじまる
清少納言の枕草子。
読み進むと、「虫はすずむし」というくだりがある。
その後に続くのがヒグラシ、蝶、松虫。

ヒグラシは9月になっても鳴いている。
松虫は8月から鳴きはじめる。
いつ夏が終わり、いつ秋がきたのか。
清少納言の時代は
もっと鮮明に見えたのだろうか。

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厚焼玉子 19年9月28日放送


ろごきっと
秋の虫 熊楠のコオロギ

コオロギは「つづれ刺せ」と鳴くと昔から言われ
ツヅレサセコオロギと言う種類もいる。
「つづれ刺せ」は
着物のほころびを修理しようと言う意味だが、
実際にコオロギの声を聞いてもそうは聞こえない。

天才生物学者の南方熊楠は
コオロギの鳴き声を
「寿司食って餅食って酒飲んで、つづれ刺せ、夜具刺せ」
と書いている。

どうも。天才にしか聞こえない声があるようだ。

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厚焼玉子 19年9月28日放送


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秋の虫 カンタン

カンタンは儚げな姿の小さい虫で
その鳴き声は秋の虫の女王と言われるほどだ。

秋も深まった水辺で
少し冷たい風に吹かれながらカンタンの声を聞くと
誰もが風情があって美しいと言う。

カンタンは滅多に捕まらないが、
捕まえて部屋で声を聞いた人の話によると、
けっこう大音量でうるさいそうだ。

やはり虫の声は野山で聞くべきと思う。

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厚焼玉子 19年9月28日放送


風の花
秋の虫 カネタタキ

チッチッチという声が
庭や公園の木のあるところから聞こえたら
それがカネタタキだ。

カネタタキは1センチかそこらの小さい虫で
鳴き声も小さいが
気温が下がると昼間も鳴くようになるので
ああこの声だとわかるようになる。

姿も声も万事に控えめなカネタタキだが
オス同士が出会って競い合うと
俄然激しい鳴きかたになる。

小さくてもプライドはしっかりと。

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厚焼玉子 19年7月27日放送


かがみ~
戦場ヶ原の夏 アザミ

奥日光、戦場ヶ原。
標高1400メートルに位置するこの湿原は
夏の花がほぼ7月でピークを終える。

ノハナショウブ アカヌマフウロ ヤマオダマキ
イブキトラノオ、ウマノアシガタ…

7月の花々の隙間からノアザミの蕾がのぞいている。
ノアザミの赤紫の花は
戦場ヶ原の夏の終わりに咲く。

湿原の夏は駆け足で去って行く。

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