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礒部建多 15年11月15日放送

151115-05
酔いどれ
龍馬伝 愛酒詩

 酒は呑むべし酒飮むべし。

 人生只だ酒有りて膽(きも)を開く。

旧暦の今日11月15日が
誕生日であり、命日とされている
坂本龍馬が残した漢詩「愛酒詩」。

龍馬の酒への愛が伝わる詩である。
高杉晋作や、西郷隆盛、勝海舟と、
日本の未来を語りながら
うまい酒を酌み交わしていたのだろう。

そのしめくくりは、
このように詠われている。

 英雄の生涯は夢のようなもの。
 とにかく酒を呑んで、美女に酔おうじゃないか。

英雄たちに愛された龍馬。
女たちにもきっと、
愛されていたに違いない。

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礒部建多 15年11月15日放送

151115-06

龍馬の周波数

旧暦の今日11月15日が
誕生日であり、命日とされている坂本龍馬。

その生涯を描いた大河ドラマ、龍馬伝。
オープニング曲のボーカルには、
オーストラリア人のリサ・ジェラルドが抜擢された。

美しくも、力強い歌声。
しかしその歌に、歌詞はない。意味も存在しない。
彼女は感性で解釈した龍馬を、即興で歌い上げたのだ。

「耳に聞こえないかもしれない言葉、
 “周波数”のようなものを歌っています。
 自分が魂で感じたものを表現しているのです。」

聴いてみれば確かに、
龍馬の波瀾万丈な生涯を感じさせる。
言葉よりも、雄弁な旋律だ。

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磯部建多 15年6月20日放送

150620-03
David Morimoto
開高健と釣り

「何事であれブラジル人は驚いたり、
 感嘆したりするとき、「オーパ!」と言う。」

この一文から始まる、開高健の釣り紀行「オーパ!」。
大河アマゾンで開高は、
まさにオーパ!と発してしまうような魚たちと出会う。

人さえ食べるピラニア、
体重200キロにも達するピラクルー。
美しいホクロのあるトクナレ。
そして全身金色のドラド。

しなる竿。糸が擦れるリール。
釣り上げるまでの一瞬一瞬の興奮や、感動は、
まるで直接語りかけられているかのように伝わってくる。
開高の釣りに思いを馳せるたび、
中国のこんな古い諺が頭をかすめる。

「永遠に幸せになりたかったら、釣りを覚えなさい。」

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礒部建多 13年7月21日放送



沖縄のサンゴ

2011年7月、
世界で初めて、サンゴの全ゲノム解読に成功したと
沖縄の研究チームが発表した。

チームを指揮したのは
佐藤矩行(さとう のりゆき)。
沖縄科学技術大学大学院教授で、
進化発生学の権威である。

珊瑚礁の海はこの星の海洋面積の0.2%に過ぎないが
海の生物のおよそ25%の命を支えている。
観光や漁業など日本国内でサンゴがもたらす
経済効果は2,500億円にも及ぶという。
佐藤たちの研究は、地球温暖化で
絶滅の危機に瀕するサンゴを守る、確かな一手だ。

世界のサンゴを救うための発見が
沖縄の海で生まれたことは、きっと偶然ではない。

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礒部建多 13年4月20日放送



タモリの上京

「誰の弟子にもならない。」
芸能界へ入る際、タモリはこう決めた。
しかし赤塚不二夫との間柄は
誰が見ても、師匠と弟子の関係だった。

上京して間もないタモリを、
赤坂の自宅で住まわせる代わりに、
自分は事務所で寝泊まりをしていた赤塚。
毎晩のように杯を交わしては、芸を説いた。

 タモリは今まで会ったことのない、ものすごい才能だ。

 ああいう都会的でしゃれたギャグをやる奴は、贅沢させないと。

 貧しい下積みなんかさせちゃダメだ。

そう語った赤塚は、タモリにとって師匠以上であり
父のように慕う存在でもあった。
そんな赤塚へ読んだ、タモリの弔辞。

 私もあなたの数多くの作品の1つです。

「バカヤロー」と後頭部を掻きながら
恥ずかしそうに怒鳴る、赤塚の顔が目に浮かぶ。

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礒部建多 13年3月24日放送



別れと狼

明治38年、奈良県の小さな村で、
ニホンオオカミの最後の一匹が確認された。

アメリカ人青年マルコム・アンダーソンは
最後のニホンオオカミを大英博物館へ運んだ人物である。
彼は東南アジア小型哺乳類収集団の一員として、
その村を訪れていた。

地元の猟師が手にしていたニホンオオカミの死骸を
マルコムは8円50銭で買おうとした。
猟師たちは、交渉の末、死骸を売り渡した。
それが日本での最後の一匹になるとは知らずに。

奈良県の東吉野村には、いま
等身大の日本オオカミのブロンズ像が立っている。

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礒部建多 13年2月9日放送


Peter from Perth
チョコと戦争

1965年の日本といえば
東京オリンピックを経て経済成長のまっただなか。
子供たちの目はテレビから流れる宇宙もののアニメに釘付けだった。

そんな1965年に出版されたのが
児童文学の傑作「チョコレート戦争」

舞台は、ある地方都市。
高級洋菓子店に飾られたチョコレートの城は
子供たちのあこがれだった。
ある日、そのショウウインドウのガラスが砕け散る。
たまたまそこにいた2人の少年は
ガラスを割った犯人にされてしまう。
そんな大人たちへ抗議するため
チョコレートの城を盗み出す計画がはじまる。

タイムマシンも空を飛ぶ乗り物も、光線銃も出て来ない。
登場するのは普通の子供と普通のオトナ。
でも、ドキドキするような
エンターテインメントになっている。

「童話だって、大人が読んでも
おもしろくなくては駄目であると思った」
と語るのは著者の大石真。
当時読者だった子供たちは今、
その子供たちに、この本を手渡している。

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磯部建多 13年1月26日放送


Thanos Lazopoulos
海の向こうで愛されている日本人 服部匡志

海のむこうで愛されている
日本人の話を
知っているだろうか。

服部匡志(はっとりただし)。
ベトナムで6,000人の患者を失明の危機から救った
“神の手を持つ男”と呼ばれる眼科医だ。

まだまだ貧しい患者の多いベトナム。
服部は治療の報酬を、一切受け取とることはない。
人々の眼に光を取り戻すことこそ
自分の生きがいなのだ、と彼はいう。

その献身的な活動は、
ベトナムの人々に確かな希望を
見せてくれている。

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