小山佳奈 10年01月23日放送

01-simon

サイモン&ガーファンクル

二人は怒っていた。

自分たちの曲を
プロデューサーが無断で
ロック調にアレンジして
発売してしまったのだ。

一人は大学に戻り、
一人は母国に戻る。

その曲があっという間に
全米ナンバーワン・ヒットに。

サイモン&ガーファンクル、
「サウンド・オブ・サイレンス」。

そういえばいまだに
彼らはライブでこの曲を
アコースティックバージョンで
歌うことの方が多いとか。

その人間臭さもまた魅力。

02-yoshiyuki

吉行淳之介

作家、吉行淳之介は、
女性の気持ちがよくわかっている。

女優、宮城まり子の部屋に
初めてやってきたときに
本棚を見てつぶやく。

「僕の持っている本と似ているね」

その一言で、37年間、
彼女は彼から離れられなくなる。

男が女を口説くとき、
大仰な愛の言葉は必要ない。

03-minagawa

皆川明

色と線を無限に組み合わせ
一枚の布に物語をつむぐ。

テキスタイルデザイナー、
皆川明はこう言う。

「短期間で魅力がなくなるのは
 デザインの力が弱いからだと思うのです。」

そんな彼のブランド「mina」は
必要があれば、
何年前のコレクションの服でも
修繕を引き受ける。

「100年後にも愛される服。」

彼の辞書に、
ファストファッションなんて
文字はない。

04-joe

ジョー・ストラマー

パンクというものが、
労働者階級の特権だとしたら、
彼はパンクではないかもしれない。

ザ・クラッシュのボーカル、
ジョー・ストラマー。

彼は中産階級の出身だったし、
父親は外交官だった。

ただやみくもな怒りの暴走では
世界は何も変えられない。
音楽にできることは何か。

ライブ中にウイスキーの空ボトルを投げつけられた彼は、
笑ってこう言った。

「こんなことぐらいしかできないのか。」

そして、
降り注ぐウイスキーのボトルにも、
彼は笑って歌うことをやめなかった。

05-yoshimoto

林正之助

吉本興業二代目社長、
林正之助は商いの天才だ。

1959年。
新しい舞台を始める際、
作家の原稿料に悩む
社員を叱りつけた。

「書いたことある人間に
 書かせるから高いんや。
 うちの社員なら金がいらんやろ。
 おまえが書け。」

その舞台はじわじわと評判になり、
50年たった今でも、
大阪の土曜のお茶の間を沸かせる
「吉本新喜劇」となる。

無茶もあるいは
商才のひとつ。

06-yasai

西健一郎

色割烹「京味」の亭主、西健一郎は
初物好きのお客をこう諭す。

「早ければいいってものじゃない。
 美味しいものと、
 変わったものは違います。」

素材の一番美味しい時期を知って、
料理を作る。すなわち、

「味を迎えに行く。」

脂のよくのったブリ大根、
ぷりぷりのカキと味噌の土手鍋。

さぁ今日は、
どんな冬を迎えに行こう。

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