八木田杏子 10年09月11日放送


あるお婆さんと蝉

都会と田舎では、セミの鳴き方も違うらしい。

青森の八戸から東京に来たお婆さんは、
排気ガスに咳き込みながら、
セミの鳴き声が違うことに気がついた。

わずかに残された木々にしがみついて、
せわしない鳴き声をたてる東京のセミ。

そんなセミも、
山にかこまれた田んぼが青々と広がる場所では、
のんびりと鳴いているらしい。

明日は日曜日。
せめて、一日のんびりと過ごしませんか。


ある教師の宿題

夏休みを振り返ってみよう。

頑張った夏は、これからのチカラになる。
さぼった夏は、これからもずっと足をひっぱる。

ある小学校の先生は、
漢字ドリルをやらなかった子供に、
その何倍もの夏休みの宿題を出していた。

おどろいた親に、先生はこう言った。

私は厳しいから、
そのときは恨まれるけど、
あとから感謝されるんです。

やり残した夏の課題は、ありませんか。
まだきっと、間に合いますよ。


ある歌手とサトウキビ

昭和20年の夏
沖縄には270万発の銃弾と6万の砲弾が撃ち込まれた。
ロケット弾は2万、機関銃の弾はおよそ3000万発だそうだ。

それでも沖縄の海は青い。
空も高くぬけるように青い。
あの年の夏も、きっと青かっただろう。
さとうきび畑の風も
きっと同じように吹いていただろう。

沖縄から生まれたバンド「かりゆし58」は、
「ウージの唄」に想いをこめる。

ウージの小唄ただ静かに響く夏の午後
あぜ道を歩く足を止めて遙か空を見上げた
この島に注ぐ陽の光は傷跡を照らし続ける
「あの悲しみをあの過ちを忘れることなかれ」と

沖縄に行くと、誰もが癒される。
その居心地のよさは、
辛い体験をした人たちが、破壊された土地の上に
もう一度築きあげてくれたもの

それを忘れないようにしたい。

もうすぐ、65年目の夏が終わります。

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