渋谷三紀 12年1月28日放送

A. Davey
つくる男/映画/三谷幸喜

三谷幸喜監督の撮影現場でのこと。

大工役に
たくさんの老人俳優をキャスティングしたところ、
どうも思うような絵が撮れない。

撮影前は元気なのに、
カメラの前に立つとパワーダウンして
話し方までゆっくりになってしまう。

思い悩むうち、三谷は気づく。
彼らは老人を演じているのだ。

ご老人役にはご老人俳優という作り手の意図。
そこに、演じるという演じ手のプロ意識が加わることで、
いかにもすぎる不自然な老人ができあがってしまうのだから、
なるほど、映画づくりはむずかしい。
三谷監督は俳優たちにこう声をかけた。

普通な感じで演じて下さい。
心配はいりません。
皆さん、普通のままでも十分お爺さんですから。





acaben
つくる男/ファッション/三宅一生

アップルの前CEOスティーブ・ジョブスのトレードマークとなった
黒いタートルネックは、三宅一生のデザイン。
すでに生産中止になった商品にもかかわらず
全く同じ色合い、肌合い、袖を捲り上げたときの感触のものを、
100枚以上つくらせて積んでおくほどの気に入りようだったという。
考えてみれば、

きれいで終わる服じゃなく
着たいと思う服を作ろう。
という三宅一生のデザイン哲学は、

どう見えるかでなく
どう機能するか。
というスティーブ・ジョブスの哲学とみごとに重なる。

シンプルな哲学でつくりあげた
シンプルなプロダクツは
人の身体にも心にもよく馴染むようだ。



hakkaku
つくる男/笑い/萩本欽一

天然ボケ。
いまでは普通に使われているその言葉を
初めてつかったのは、欽ちゃんこと萩本欽一。

当時明石家さんまの運転手をしていたジミー大西に、
「天然にボケてる人だ」と言ったことが始まりだとか。

悪意がなく、みんなを笑わせてくれるボケ役は、
周囲を和ませ、誰からも愛される。

ボケ役について欽ちゃんはこんなことも言っている。

自分の欠点を突かれてニコニコしていられる人は
いいボケができるよ。

それができたら、お笑いの世界じゃなくても、最強かもしれません。



hello_hiroki
つくる男/歌詞/松本隆

書いた曲は2000曲以上。
51曲のオリコン1位は日本一。
アイドルからロック、クラッシックまで
40年以上ヒットメーカーとして走りつづける作詞家松本隆。
現在も依頼がひっきりなしの松本は、
作詞についてこんなことを言っている。

「愛してる」と連呼されても信用できないでしょう。
どうしたら「愛してる」とか「好き」って言葉を使わずに
その気持ちを伝えられるか。
それがわかれば歌になります。

ともすれば、
イメージの広がりよりもわかりやすさがもてはやされる
現在の音楽シーン。
その中にあってなお
聴き手の想像力を信頼できるかどうかが
消費されない作詞家の条件かもしれない。



steevil
つくる男/エンターテイメント/ウォルト・ディズニー

決して忘れてはならない。
すべての始まりが一匹のネズミだったことを。

黒くて丸い耳に、大きな白い靴。
世界中で愛されているミッキーマウスの生みの親
ウォルト・ディズニーの言葉。

貧しかったウォルトは、
ガレージに古いカメラを据えてやっとの思いでつくった
アニメ『うさぎのオスワルド』の権利を配給会社に奪われてしまう。
うなだれて帰る汽車の中ふと浮かんだのが、ネズミのキャラクターだった。

「蒸気船ウィリー」でのデビュー後は、25年で100本以上
ミッキーシリーズの映画が制作され
ドナルド、プルート、グーフィーなど
多くの人気キャラクターがミッキーとの共演から巣立っていった。

ディズニーの成功は映画だけにとどまらなかった。
カルフォルニアを皮切りに世界中にディズニーランドを開園。
現実に夢の世界をつくりあげた。

夢が現実を変え、それがまた、世界に夢を与えつづける。
そのきっかけは複雑な理論でも難解な思想でもなく
たった一匹のネズミだった。




David_Reverchon
つくる男/詩/ジャン・コクトー

フランスの芸術家、ジャン・コクトー。
小説や演劇、舞踏、評論、デッサンと、その活躍は多岐にわたるが
すべての活動の根底には「詩」があり、
彼自身、「詩人」と呼ばれることを好んだ。

あるインタビューで
「あなたは死んだら、地獄と天国のどちらにいくと思いますか?」
と聞かれたコクトーは、こんな風に答えた。

どちらでも。そのどちらにも会いたい友人がいるのでね。

詩人、ジャン・コクトー。
「人生」という作品の根底にもやはり「詩」があった。



Edwin Leung
つくる/建築/アントニオ・ガウディ

サグラダファミリアにグエル公園、カサミラと、
スペインのバルセロナを歩けば目に飛び込んでくる独創的な建物の数々。
それらを手掛けたのが建築家アントニオ・ガウディ。

「鳥の翼は飛ぶためにあります」といった教師に、
「鶏の翼は走るためにありますよね」と反論した。
というエピソードからわかるように、
少年時代から鋭い観察眼で周囲をあっと言わせていたガウディは
こんなことを言っている。

人間がつくりだすものは、
すでに自然という偉大な書物に書かれている。

つくることは、見つけること。
創造の種は世界中にあふれていると
ガウディは教えてくれる。

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