名雪祐平 13年7月28日放送



手紙 谷崎潤一郎

まだ新婚だったくせに、
作家谷崎潤一郎は
人妻に惚れてしまった。

大阪で1,2を争う大商店の人妻は
根津松子。

松子に送った恋分の中で
谷崎はこんな言葉をつづった。

 たとえ離れておりましても
 あなた様の事を思っておりましたら
 それで私には無限の創作力が湧いて参ります。

 しかし誤解遊ばしては困ります。

 私に取りましては
 芸術のためのあなた様ではなく、
 あなた様ための芸術でございます。

そして新妻を捨て、
松子のもとにかけつける。

すぐ二人は深い仲になった。

松子は名作『細雪』の幸子のモデルとなる。

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