薄景子 13年11月17日放送



アーティストの話 淡谷のり子

20世紀を駆け抜けた
ブルース界のアーティスト、淡谷のり子。
戦時下で多くの慰問活動を行っていた淡谷の楽屋に、
ある時、若い兵士たちが来てこう言った。

自分たちは特攻隊員だから、
歌の途中で出ていくこともある、
その無礼を前もっておわびに来たのだと。

淡谷が一番を歌い終わると同時に、
その兵士たちはいっせいに立ち上がり、
舞台に向って敬礼をして出て行った。

もう帰ってこないかもしれない。
彼女は涙で、歌えなくなった。

 歌手は舞台で泣くものではありません。

淡谷のり子の信条が破られたのは、
生涯でこの一度だけ。

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