村山覚 14年2月23日放送


Hawkeye39
實川欣伸(じつかわよしのぶ)

ミスター富士山と呼ばれる登山家がいる。實川欣伸、70歳。
初めて登ったのは42歳の時で、家族5人で登った。
決して早くはない富士山デビューだ。
以来、28年間で1600回以上も登ることになるとは、
本人も家族も予想だにしなかっただろう。實川さんはこう語る。

 富士山に登るということは、富士山の心をつかむことだ。
 その心をつかまえるには富士山に愛されること。
 富士山が嫌だという日には登らないこと。

風や雪が激しく危険を感じた時は、決して無理はせずに下山する。
ミスター富士山は、常に安全を第一に考えてきた。
富士山に畏敬の念を抱き続けているからこそ、
記録を積み重ねていける。

實川さんは一日に2回登ることも少なくない。50歳の時に、
30時間かけて4つの登山道を連続で登り下りする「一筆登山」に成功。
63歳の時には5合目から山頂まで約55時間で8往復!
その時はさすがのミスター富士山も幻覚を見たそうだ。

そんなに何回も登って飽きないのか? とたずねられると、
「富士山に二度と同じ景色はないから」と答える。
富士山と言えばやはり御来光が有名だが、
雲や星空、山の影、夏に見える花火大会など、
四季折々の光景が世界中から訪れる登山家を楽しませる。

ミスター富士山の最終目標は、2230回、
語呂合わせで「ふじさん」回登頂することだ。
あなたも富士山に登ったら、
誰よりも富士山を愛し、富士山に愛された實川さんに
出会えるかもしれない。

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