道山智之 14年7月12日放送

140712-03
tokitsu-kaze
北原白秋 3

詩人、北原白秋。
彼は生涯に、1200もの童謡を残した。
そのうち多くの曲が、
ひとつ年上の作曲家・山田耕筰とのコンビでつくられている。
「この道」「ペチカ」「待ちぼうけ」など、
時をこえて今も愛される歌は多い。

「からたちの花」もそのひとつ。
10歳で父を亡くし、印刷工場で働きながら苦学した山田耕筰。
工場でしごかれ、近くにあった、からたちの垣根にかくれて泣き、
酸っぱいその実を食べ空腹をしのいだ。
そんな耕筰の思い出を、白秋が詩にした。

白秋が故郷の小学校に通った道にも、
からたちの垣根があり、それは彼にとっての原風景だった。
ふたりの想いがとけあって、かたちとなったのだ。
耕筰が、言葉の1音に対して1つの音符をつけたこの曲は、
言葉の響きをやさしく伝える。

 からたちのそばで泣いたよ。
 みんなみんなやさしかったよ。

ふたりは仲がよかった。
耕筰の家でいっしょに酒を酌み交わし、
白秋が酔って、耕筰の坊主頭をペロリとなめたときも、
耕筰は笑っていたという。
そんなふたりが魂をひとつにしてできた歌をうたうとき、
私たちの魂も彼らとひとつになる。

タグ:

«    »

topへ

コメントをどうぞ

CAPTCHA



login