澁江俊一 15年12月20日放送

151220-03

エッセイの先駆け

「なんですよ」「あるわけね」「なのだな」

と、すぐそばにいる誰かに
話しかけるように語る文章が、
エッセイスト伊丹十三の最大の特徴。

今では当たり前だが
60年代から70年代にかけて
このような文体のエッセイは、
ほぼ十三の独壇場だった。

映画に出演するために訪れた
当時まだ日本人に縁遠いヨーロッパを描いた
「ヨーロッパ退屈日記」は、
多くの読者を獲得。
スパゲティのアル・デンテを
日本で最初に紹介したのもこのエッセイである。

本の惹句を書いたのは作家、山口瞳。
それはこんな一文だった。

 この本を読んでニヤッと笑ったら,
 あなたは本格派で,しかもちょっと変なヒトです

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