2015 年 12 月 12 日 のアーカイブ

福宿桃香 15年12月12日放送

151212-01

ケーキの話 ドリー・バードン・ケーキ

イギリスの国民的作家、チャールズ・ディケンズ。

彼の著書『バーナビー・ラッジ』がきっかけで、
19世紀、ひとつのケーキが誕生した。

それが、ドリー・バードン。
砂糖漬けのドライフルーツを散りばめた、
カラフルで、大きなケーキ。

『バーナビー・ラッジ』に登場する
華やかなドレスを着た女の子、
その名もドリー・バードンに触発された読者が
考案したそうだ。

ドリー・バードンはその後ひとりでに広まり、
今では、ドレスを着た人形の形のバースデーケーキは
総じて「ドリー・バードン・ケーキ」と呼ばれている。

「笑いと上機嫌ほどうつりやすいものもこの世にない。」

そう語っていたディケンズがこのことを知ったら、
とても喜んだに違いない。

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村山覚 15年12月12日放送

151212-02
Akane86
ケーキの話 ザッハトルテ

今から200年ほど前、オーストリア・ウィーンのお話。

16歳のフランツ・ザッハーは宮廷料理人の下で働いていた。
料理長が不在のある日、彼に転機が訪れる。
晩餐会のデザート担当という大役を任されたのだ。

16歳の若き料理人は、見事チャンスをものにする。

パリッとしたチョコレートにふんわりとしたスポンジ。
隠し味のアプリコットジャム。
ザッハーが考案したこのケーキは「ザッハトルテ」と呼ばれ
今や世界中で愛されるケーキになった。

オーストリアにはこんな諺がある。

「幸福は、小鳥のようなものだ」

ホリデーシーズン。あなたとあなたの大切な人が
小さくかわいい幸せに出会えますように。

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福宿桃香 15年12月12日放送

151212-03
mezzoblue
ケーキの話 ピエスモンテ

アメリカやイギリスにおいて、
ケーキは昔から、特別な日の家庭料理だ。
母親が自己流のアレンジを加え、
家ごとにそれぞれのケーキが出来上がる。

フランスのケーキは違う。
ケーキ作りは専門職であり、
味、形、飾りつけの果物の数まで、
決められたレシピに従って仕上げることが
最も重要とされている。

レシピのほとんどは、
18世紀・19世紀の菓子職人達によって生み出された。

彼らの頂点にいたのが、アントナン・カレーム。
エクレアやムースなど、彼が考案したケーキは数えきれない。

カレームの最大の功績は、
ピエスモンテと呼ばれるデコレーションケーキ。
クリームやアイシングを建築物のように高く積み上げる、
いまや結婚式に欠かせない、あのケーキである。

類まれなる創造性でケーキを創り続けた彼は、
生前こう語っていた。

「芸術には五種類ある。絵画、彫刻、詩、音楽、建築。
 そこから分かれた大きな枝が菓子だ。」

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上遠野茜 15年12月12日放送

151212-04
Tomomarusan
ケーキの話 藤井林右衛門

クリスマスにはやっぱりイチゴのショートケーキ。
実はそれ、日本だけの文化だと知っていますか?

不二家の創始者、藤井林右衛門。
アメリカで出会ったショートケーキを、
日本人好みの味に改良してクリスマスシーズンに売り出した。
それが、ジャパニーズ・クリスマスケーキの始まりだと言われている。

そもそもアメリカのショートケーキは、
サクサクのビスケット地を土台にした、全くの別物。
ふわふわのスポンジと生クリームが層になり、
イチゴがのったあの形は、日本発祥なのだそうだ。

しかも、なんでクリスマスに?
たしかに生クリームは白い雪を、イチゴは赤いサンタを
イメージしているようにも見えるが、
「あのおめでたい色合いがウケたのだ」と言う人もいる。
クリスマスに紅白を取り入れるなんて、
なんとも日本らしいアイデアだ。

「不二家」の名前には、3つの由来がある。
創業者・藤井家。2つとない、不二の店。
そして最後は日本のシンボル、そう、富士山。

うーん、日本人にウケるもの、
やっぱりわかっていますね、藤井さん。

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藤本宗将 15年12月12日放送

151212-05

ケーキの話 サヴァラン

「新しい星を発見するよりも、
 新しい料理を発見するほうが人間を幸せにするものだ」

ブリア=サヴァランは、
著作『美味礼讃』でこんな言葉を残した。

フランス革命前後の激動の時代を
法律家・政治家として生きながら、
一方で食に対する興味を探求し続けた彼。
食べることの楽しみについて語る
蘊蓄たっぷりの表現は、いまも人々を魅了する。

そんな稀代の美食家としての彼に
敬意を表して名付けられたケーキが、
「サヴァラン」。

バターと卵をたっぷりと使ったブリオッシュを切って
ラム酒やシロップを染みこませ、
生クリームやフルーツで飾り付けた
おなじみのあのケーキだ。

もしもサヴァラン自身が
このケーキの味を試したら、いったいどんな言葉で
その幸福を表現するだろう。

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