小野麻利江 19年9月29日放送


月のはなし 田毎の月

「棚田」と呼ばれる、
階段状に小さく区切られた水田。
その棚田の一つ一つすべてに月が映るさまを
日本人は「田毎の月(たごとのつき)」
と呼んできた。

数々の浮世絵師がこの構図を好み、
俳句では、秋の季語となっている。
特に有名なのが、歌川広重による浮世絵、
「信州更科田毎月鐘台山
(しんしゅう さらしな たごとのつき きょうだいさん)」。
段々になった田んぼそれぞれに、
満月を浮かばせている。

しかし、「すべての田んぼに1つずつ月が映る」というのは、
実際には不可能な光景。
どんなに田んぼがたくさんあっても、
月が映るのは一つだけ。

創作の世界で花開いた、月の表現。
与謝蕪村の一句でも、
朧げながらも沢山の
月の光の明るさが、立ちのぼる。

 帰る雁 田毎の月の くもる夜に



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